先日、スタンプショウ=ヒロシマ2021の後援についてという記事を掲載しましたが、同実行委員会より、講演チラシを作成した旨ご連絡をいただきましたので、ご紹介いたします。
外国切手研究会 第67回Zoom例会レポート
2021年7月31日 20:00PM – 21:35PM開催『外国切手研究会 第67回Zoom例会』レポートです。参加者10人中7人の発表で質疑応答が有りました。
1人目)アメリカより戦前の朝鮮半島宛の絵葉書便を紹介、ワシントン州シアトル発、日付は少し不鮮明だが裏面の文面より1906年10月3日と判断、到着後アメリカに転送されており、YOKOHAMAの印は中継印か転送時か調べたいとの事、質疑応答等より左下の到着印は不鮮明だがおそらく11月4日、YOKOHAMAの印は11月8日と思われ、押されている場所も抹消した住所の上で、転送時に押されたと判断出来る。
余談だが、受取人のハリー・ライス・ボストウィック(Harry Rice Bostwick)とヘンリー・コールブラン (Henry Collbran)は1898年に朝鮮半島で初めて電力事業始めたアメリカ人、歴史的にも面白いマテリアル。
2人目)国内オークションで入手したドイツのカバーを2通紹介、1通目は前回紹介の使用期間が半年しかなかったプロイセンの最終シリーズ、9クロイッツアーペア貼り、1867年7月5日シュバルッエンバッハ発、7月10日オーストリア・ウイーン到着、ドイツ・オーストリア郵便連合での外信便、PHILANIPPON 2021に出品予定の作品にも取り入れる予定との事。
2通目、ハノーファー無目打3枚貼り、ブレーメン経由、アメリカ・ペンシルバニア宛外信便で比較的少ない宛先のマテリアル。
3人目)旧中国・広西「國幣」加刷切手の紹介、1948年9月29日発行、この時期は國幣通貨が粗々終わって金圓に変わる時期だった事、封書料金を想定したと思われる額面は既に三倍に値上され用途が限定されていた為、使用済やカバーが非常に少ない。
台切手の印面寸法が2種類に分類出来るが、この切手の面白い所は加刷の額面表記数字「0」のバラエテイ、その組合せが8通り有り、加刷原版は10×10の100面を2回印刷して1枚のシートに加刷した、少し大きなブロックならプレーテイングが可能との事。
4人目)世界初の三角切手で人気と有名な初期の喜望峰について、収集初期の数十年前に入手整理した状態との事、1番より4番切手迄を紹介。
1リーフ目、1ペニープルーフ、1853年9月1日発行、1ペニーと4ペンス使用済、濃青味紙、シェードもいくつかに分類出来る。
2リーフ目、4ペンス濃青味紙カバー、1858年CAPE TOWN発。
3リーフ目、1ペニーペア濃青紙と白紙、シェードバラェテイ、4ペンス濃青紙、ペアとシェードバラェテイ。
4リーフ目、1855年発行1ペニー白紙、4枚ブロックとシェードバラェテイ。
5リーフ目、1855年発行4ペンス白紙、ペア、4枚ブロックとシェードバラェテイ。
6リーフ目、4ペンス白紙カバー、質疑応答より宛先はHeidelbergではとの事。
5人目)チェコスロバキアのミュシャ・デザインの切手と同図案の10h官製ハガキに5h切手を貼足した使用例、この切手は本来不足料切手として製造されたがその用途では使用されず、FRANCOと加刷して通常切手として使用された物、使用期間は非常に短く1919年5月15日から31日の約半月しかなかった、質疑応答より宛先はSeestadtlではとの事。
チェコスロバキアは1918年に暫定政府が成立、正式に共和国として成立するのは1920年、この使用例は混乱期に当たる為、郵趣的には面白い時期との事。
6人目)オランダ領東インド、1902年発行、数字図案シリーズに加刷されて発行された切手の紹介、1/2セント加刷は1の数字のバラエテイや加刷ズレ、2 1/2セント加刷は濃淡や上下左右の加刷ズレが有る、1/2セントの台切手シートマージンには、円形と3箇所に小さな四角形の目印が印刷されている。
カバーは2通紹介、1903年5月23日メダン発ドイツ宛書留便、1/2セントの2重加刷切手が貼られたジョグジャカルタ発バタビア宛書留便。
7人目)南方占領地、マレーシア・サラワクの官製ハガキに加刷使用されたマテリアルの紹介、バラエテイとして、大日本帝国政府の加刷文字が印面部分以外のPOST CARDの文字部分に有り無し、加刷文字色が紫色、青色、黒色が有る。
このハガキの実逓使用例は非常に少なく全部のバラェテイを合わせて現存約20通程、このマテリアルは日本宛の上、同姓間に送られた非フィラテリック使用例と思われる貴重な1品。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。
外国切手研究会 第66回Zoom例会レポート
2021年7月24日 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第66回Zoom例会』レポートです。参加者9人中7人の発表で質疑応答が有りました。
1人目)ハワイ王国よりアメリカ本土宛カバーで、アメリカ宛基本料金5セントは現金で支払われアメリカ切手のみ貼られたカバーを2通紹介、本来ならハワイ切手を貼付するのが通常だが、当時5セント切手が不足していた為このような使用例が存在する。
1通目、1860年11月26日ホノルル発、マサセッチュー州ウエストフィールド宛、12月21日サンフランシスコ中継、キャプテンフィー2セント+西海岸より東海岸迄の料金(3000マイル超)10セントがアメリカ切手で支払われいる、当時は既に12セント切手が発行されていた為、この1セント切手が貼られたカバーは少ない。
2通目、1861年6月17日ホノルル発、マサセッチュー州ウエストボロ宛、このカバーは通常のサンフランシスコ経由では無く、幾つか有る逓送ルートのひとつ、メキシコ・アカプルコを経由して東海岸に運ばれた物、料金10セントがアメリカ切手で支払われいる 。
2人目)オリンピックマテリアルのカバーを紹介、1992年オリンピック公式スポンサーの表示入りEMSラベルを使っているが、実際は航空ラベルが貼られて印刷物扱い料金分の切手が貼付されている、当時のフィラテリックなカバーだが、EMSのバーコード部分も消印で抹消されており、切手部分と合わせて五輪の円形となっている所も面白い。
3人目)前回紹介したメキシコ・1934年発行航空切手の印刷製造が分からなかった為、改めて拡大画像を紹介、印面下部にOFICINA IMPRESORA DE HACIENDA-MEXICOと入っており、美しい凹版印刷を自国で製造していたと分かった。
坂東収容所の切手2種を紹介、1918年ドイツ人捕虜が印刷製造、収容所内のロールプレイング的に使われたと考えられる、ドイツでもドイツ切手の一部として認識されているとの事、値段の割に比較的出回っているのは、この切手がJPS図入りアルバム1巻に掲載されており、それらが現在市場に放出されているのではと思われる。
4人目)インドネシア独立戦争時期、スマトラで発行されたスカルノ大統領図案の切手の紹介、1946年6月1日発行、40sen書状基本料金、用紙は薄い白紙と薄い粗紙の2種類、カラーバラエテイや印刷ムラも存在。
後にはインフレによる郵便料金値上の為、50sen、1f、1.50f、2.50f、3.50f、5fの額面加刷切手が発行された、加刷のバラエティも多く存在する、この時期スマトラの実逓便カバーは非常に難しく、ジャワに比べて入手は困難、MEDAN宛のフィラテリックカバーは受人がスタンプエージェンシーの物など、当時は数件の切手商が有ったとの事。
オークションカタログのシート画像より、2.50fの額面加刷切手のファースト印刷には、ポジション7のF.の文字がRp.となっているバラエテイが確認出来る、セカンド印刷では修正されている。
5人目)PHILANIPPON 2021に出品予定の作品より、ドイツ・プロイセンのコレクションから最終シリーズのクロイッツアーシリーズを紹介、その為制作途中リーフの一部のみ紹介、このシリーズは北ドイツ郵便連合が発足する直前に発行され使用期間が僅か半年しかなかった為、使用済が少なくカバーは非常に難しい、PHILANIPPON 2021での発表が楽しみです。
6人目)日本で入手可能なヒンジの使用テストを紹介、未使用切手はマウントを使う事が現在では標準ですが、安価な使用済切手などはやはりヒンジが便利、品質の良い米国Dennisonは残念ながら既に製造されておらず、StanleyGibbons、Dennisen、Lighthouse、PRINZの4種類で未使用切手、使用済切手での使用感を発表、個人的な見解の為結果は差控えさせて頂きます、質疑応答より昔の米国Dennisonをオークションで購入して使われている方が数人おられました。
7人目)最近入手した、1912年より発行されたベルギー・キングアルバート1世のロットを紹介、一部バラエティの図版も付いており分類もされている、今後は欠けてマテリアルやカバー等も入手して、コレクションの厚みをつけて行きたいとの事、質疑応答より、このシリーズは銘版有り無しやガッターペアの存在など分類が豊富なシリーズで、日本ではベルギー切手の入手は難しいと思われるが、国内ネットオークションでも時々出品されているとの情報です。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。
スタンプショウ=ヒロシマ2021の後援について
当協会は、公益財団法人 日本郵趣協会 中国・四国地方本部 が主催する「スタンプショウ=ヒロシマ2021」(2021/9/11−12)の後援依頼を受諾しましたので、会員の皆様にご案内差し上げます。
同展覧会には役員を派遣し、初日夜に特別講演を行います。
南方占領地切手コレクターズクラブ第14回ZOOM例会レポート
南方占領地切手コレクターズクラブ 第14回ZOOM例会レポート
2021年7月28日 8:00PM~10:00PM 開催の『南方占領地切手コレクターズクラブ』のレポートです。
参加者は7名でした。
以下、話題に上がったマテリアルについて順番に書き記していきます。
1)北ボルネオ サラワクハガキ実逓
北ボルネオの実逓便はどれも数が少なく貴重です。本品はクチンから日本の小豆島に宛てられたサラワクハガキです。珍しい宛先でとても良い逸品です。
2)ビルマ バッテン二重加刷ハガキ
ビルマのハガキにはタイプの異なるバッテンが二重に加刷されているものがあります。いままでは返信部のみしか見つかっていませんでしたが、今回往復完全品が見つかりました。
3)海軍地域 セレベス電信加刷
セレベス錨切手はその加刷から16種に分類できます。このブロックはそのうち少なくとも2種類の錨加刷がなされています。電信為替加刷自体、バラエティが多いので奥の深い切手です。
4)海軍地域 日本宛て実逓
南ボルネオBandjermasinから日本宛ての実逓便です。海軍地域では防諜上の理由から日付の無いタイプの消印が用いられていますが、本品のような一行印も存在します。
5)自由インド 偽物
自由インド切手はそれなりに残存数のある切手ですが、それでも偽物が存在します。本品は糊と印面が異なる偽物です。他にも別種の偽物があります。
6)フィリピン 戦後使用
その中で、2つ目のカバーは1945年5月Marinduque島差出のニューヨーク宛カバーですが、これは占領切手が郵便料金の支払いに使用された例と考えられます。おそらくMarinduque島は離島であり、切手(VICTORY加刷切手)の配給が遅れたので、残されていた占領切手を使用したのでしょう。(占領フィリピンの権威、故Garret氏の旧蔵品です。)
7)ジャワ 戦前実逓便
日本軍がバリ島に上陸する寸前の使用例です。ジャワ島Kalisatからバリ島に宛てた書留カバーです。日本軍がバリ島に上陸するのが2月19日、このカバーは2月14日引き受けです。裏に着印があることから無事に宛先にも届いたようです。
また、農耕3c切手貼りのカバーはジャワのSoerabajaからアメリカ宛の印刷物ですが、日付が大東亜戦争の開戦日です。このカバーは無事に届いたのでしょうか?
8)ビルマ 青色30c農耕…?
第7回で紹介した青色30c農耕切手とおぼしきものが出品されていました。
しかし、いざ手元に届いてみると光の加減で青色に見えるだけで、実物は濃い緑色であったようです。同様のものはいずれどこからか出てくるでしょうか??
9)ビルマ アンナ加刷 片方加刷漏れ
ビルマのアンナ加刷片方加刷漏れです。しかし、残念ながら字体が異なる偽物のようでした。
昭和切手へのビルマ加刷は偽物が非常に多く、最難関といっても過言ではありません。
10)スマトラ 楕円消印
スマトラでは一部の局で楕円形の消印を使っていました。本品はタパヌリ州のナタル局のものであり、使用切手も中々少ないものです。
11)フィリピン セブゲリラ切手シート
占領フィリピンで抗日ゲリラ軍が発行したとされるゲリラ切手は、1942年末頃から1943年前半にかけセブ島南部で発行されたと言われるセブゲリラ切手と、1943年11月から1945年8月にかけミンダナオ島北部で発行されたと言われるミンダナオゲリラ切手の二つがあります。セブゲリラ切手には2センタボ、4センタボ、16センタボ、20センタボの4額面があるのですが、2センタボと4センタボのシート(2x5の10枚シート)が6月の米国オークションに登場しました。結果、どうやら日本にやってきたようです。
次回は8月25日20時からです。
以下は話題に上がったマテリアルの画像です。
外国切手研究会 第65回Zoom例会レポート
2021年7月17日 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第65回Zoom例会』レポートです。参加者10人中7人の発表で質疑応答が有りました。
1人目)前回紹介の続きで、ラトビア1927-33年シリーズの普通切手と同時期の記念特殊切手で、目打バラエティが存在するものを幾つか紹介。
1928年11月18日発行の6種は、6 SANTIMIと15 SANTIMUが2種類の目打が報告されている、1934年12月12-13日発行分は、基本目打はP10だが、40 SANTIMU以外にコンパウンドを含むバラエテーの存在が報告されている、1937年9月14日発行分は、額面に対して目打が決まっている、これらのラトビア切手は、比較的安価なマテリアルにバラエテイが多く存在し、収集が楽しめるとの事。
2人目)ハワイ王国のスタンプレスカバーについて、切手のファーストイッシューは1851年のミッショナリーだが、切手発行後に使われた2通を紹介。
1通目、ホノルル局1859年1月12日、サンフランシスコ局1858年3月5日、ロードアイランド州ブリストル宛、実は両局共日付が間違っている珍しいカバー、正しくはホノルル局1859年2月12日、サンフランシスコ局1859年3月5日、これらは当時船で運ばれておりそれらを調べた所、該当の船が無く日付が間違いと判明した、郵便料金10セント+キャプテンフィー2セント=12セント。
2通目、ホノルル局1860年3月17日、サンフランシスコ局1860年3月29日、”SHIP 6”の印はクラムシェルと呼ばれるサンフランシスコ宛にのみ使われたタイプで、コレクト料金6セントを表す物、このカバーも運ばれた船は判明している。
3人目)前回の続きで、APS(American Philatelic Society)のHPから無料でダウンロード出来る図入りアルバムページより、ミソニアン博物館編集のEveryCountryのページをダウンロードして利用してみた感想について。https://stamps.org/stamp-albums
世界エリア地域ごとの区分だが、最後の南極大陸や切手発行体行政区分(抜粋)などのページも興味深く、JPS発行の世界切手地図と照らし合わせて分類するのも面白そうです、実際に貼り込む切手は自分の好みで選択して、オリジナルな世界切手アルバムを作って行く過程を楽しめそうです。
4人目)メキシコ・ファーストイッシューより初期のシリーズを紹介、ファーストシリーズは1856年発行で無目打白紙、セカンドシリーズは1861年発行の無目打着色紙だが、これら切手の特徴は印面の左右何方かに発売された州名が加刷されている事、全体でどれだけの種類が有るか分からないそうです、セカンドシリーズの面白い使用例として、額面8レアルが半裁の4レアルバイセクト使用例、3/4にした6レアル使用例、1/4にした2レアル使用例、1/8にした1レアル使用例が有るとの事、後に発行されたシリーズでは、地名に変わり郵便局の番号や年号が加刷されたものとなる。
紹介者はメキシコ切手はセミクラッシックの方が好みとの事で、1934年発行航空切手も紹介、この中の20センタボス切手は発行枚数が僅か800枚で、非常に希少。
5人目)郵便史として数年前に作成した習作作品を紹介、ケダー州1942-1945年郵便史のワンフレーム作品ですが、今後も様々な理由で作り変える予定が無いとの事で、タイトルリーフと最終ページのみ紹介させて頂きます。
6人目)切手が題材の希少な漫画「キッテデカ」の紹介、作画担当はミスター味っ子で著名な漫画家、寺沢大介氏、2010年代連載で単行本全2巻、以下リンクでサンプルを読む事が可能です。https://renta.papy.co.jp/renta/sc/frm/item/102994/
一般の漫画やアニメにも切手がゲスト的な話題として取上げられた事は有るが、この漫画は全話切手を題材とした漫画、ストーリーや題材の好みは別にして、収集家の視点でも切手の扱いは破綻しておらず、非収集家には理解されなかったり誤解されがちな切手について、漫画という題材で表現しており希少、残念ながら2巻で終わったのは、やはり読者の人気を得る事は難しかったと思われる、現在では上記のリンク以外でもAmazon等で電子書籍化されており、購読が可能です。
7人目)第2次世界大戦末期に押された、興味深いドイツのメータースタンプを紹介、ライプヒチで使われた物で戦勝記念記念碑が描かれている、1通目は1944年3月1日、2通目が1944年5月31日だが記念碑右横のスローガンが無いタイプ。
このスローガンはゲーテの言葉で「ドイツを知らんと欲すれば、ライプヒチを訪れるべし」との事です、ライプヒチは第2次世界大戦末期に連合軍空襲で徹底的に破壊され、この言葉も使えなくなった為にスローガン部分を取ったと思われ、このような時期でも真面目な国民性を感じます。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。
外国切手研究会 第64回Zoom例会レポート
2021年7月10日 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第64回Zoom例会』レポートです。参加者9人中6人の発表で質疑応答が有りました。
1人目)前回の続きで、南米チリのマテリアルを紹介、スタンプレスカバーはValparaiso発Santiago宛、日付印は使われていないが、手紙の内容から1851年3月27日と推測出来る、押されている局名の赤い消印は、”V”が少し短いタイプで、通常のタイプと分類出来る。
同国初期の切手は国王や女王ではなくコロンブスの肖像が特徴、大きな分類の要素として、印刷のシャープなロンドン・パーキンスベーコン社印刷とサンティエゴ印刷に分けられる、シェードや紙の分類、料金額面が模様の透かしも表裏正逆の4種類が有る、240面シート。
5センタボスはカバー9g迄の基本料金、10センタボスはカバー14.4g迄の基本料金だが、半裁のバイセクト使用例も比較的見かけるとの事。
2人目)PHILANIPPON 2021に出品予定の作品より、ドイツ・プロイセンのコレクションから4番目シリーズのミックスドフランキング使用例の解説、その為制作途中リーフの一部のみ紹介 、このシリーズはプロイセン初のパーフォレーション(ルレット)が入れられた切手で、1861年よりプロイセンが無くなる1867年迄使われた、PHILANIPPON 2021での発表が楽しみです。
3人目)前回の続きで、ハワイ王国1865年数字切手とアメリカ切手とのコンビネーションカバーなど、世界的に有名なコレクションから紹介。
1通目、5セント(SC#22)1枚貼、ハワイ島コハラ発、ニューハンプシャー州デリー宛、ハワイよりアメリカ宛基本料金の5セント切手のみ貼られていた為、14セントの不足料扱いになっているカバー、内訳はコレクト料金6セントのペナルティ2倍+キャプテンフィー2セント、その為ホノルル局1866年10月1日の消印は、アメリカ料金支払済の赤い消印ではなく、通常の黒い消印が押されている。
2通目、5セント(SC#22)とアメリカ切手3セントと2セントとのコンビネーションカバー、ニューヨーク宛、ホノルル局1867年4月8日消、アメリカ料金支払済の赤い消印が押されている、3セントはアメリカ国内料金で2セントはキャプテンフィー料金、このようにそれぞれの切手が分けられて貼られているカバーは少ない。
3通目、5セント(SC#22)とアメリカ切手5セントとのコンビネーションカバー、サンフランシスコ宛、ホノルル局1866年7月8日消、受人はアドレスにCapitanやU.S.Navyと入っており、比較的有名な軍人の方との事。
4人目)以前から紹介している、図入りアルバムコレクションで、アメリカ切手編に続く世界切手編の話題、切手はAPS(American Philatelic Society)の有料セミナーに申し込んだ時に頂いたプレゼントで、世界切手のパケットも入っていた。
このパケットの整理を考えた時、APS(American Philatelic Society)のHPには誰でも見る事が可能な上、無料でダウンロード出来る図入りアルバムページが有る、その中のEveryCountryのページをダウンロードして利用してみた。https://stamps.org/stamp-albums
ページ区分としては、1840年の世界最初の切手発行年から現在迄、かって存在していた切手発行国や分類を含めた採録で全132ページ、比較的自由に貼る事が出来るレイアウトとなっており、CHINAとJAPANのページを見て頂ければ分かりやすいと思います、こちらもアメリカ切手同様、切手収集の基本的な知識と楽しさを体験出来る面白さ、ワクワク感が伝わりました。
5人目)前回紹介の続きで、ラトビア1920年以降のシリーズを紹介、 額面単位の初期はRUBLI、後にSANTIMIとLATになる、戦前のラトビアではメジャーな切手で1940年辺り迄使用されたが、RUBLI単位のカバーは少ない、この切手の面白さは目打の分類で多くの種類が有る、一部の切手には用紙の製造メーカーの透かしが入っている物が存在する、左右100面シート×2の200面シート構成でガッターマージンを取る事が出来る、不足料扱いのカバーはロシア方式としては定番の、楕円形の印の中に不足料金が記入された物。
1927-33年発行のシリーズは使用例も豊富、白紙と着色紙のバラエテイは裏面を見ないと区分出来ない、尚この時期に発行された記念切手にも、これら普通切手に準じた目打バラエティが幾つか存在するものが有る。
6人目)PHILANIPPON 2021に出品予定の作品より、South Korea 1945-47の冒頭部分を解説、その為制作途中のタイトルリーフと一部のみ紹介 、日本切手の無加刷使用例に続き、ハングル文字が加刷されたタイプでは、スタンペックスジャパン2021に出品後、新たに入手したマテリアルやオリジナル研究等を加えての再構成途中との事、PHILANIPPON 2021での発表を楽しみにしております。
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外国切手研究会 第63回Zoom例会レポート・後編
2021年7月3日 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第63回Zoom例会』レポート後編です。参加者13人中10人の発表で質疑応答が有りました。
5人目)香港の加刷切手の紹介、S.O.やS.D.と加刷された3枚、10年程前はスコットカタログでも未掲載だった、記述によるとS.O.はStampOffice、S.D.は印紙との事で1891年より93年に郵便に使用されたとあるが詳細は不明、又偽物も多いとの事で信用できる切手商より購入。
質疑応答より、当時の香港の印紙にはSTAMP DUTYと入った印が使われており、S.D.加刷をして印紙として発行された物が、何かの理由で一時期郵便切手として使用されたと思われる。
6人目)アラブ土侯国・アジュマンのスタンプレスカバーの紹介、1966年7月23日、航空書留便で差出人はAJMAN POSTMASTER、受取人のBELMONT FARIES氏はAmerican Philatelic Societyの重鎮で雑誌の編集にも携わっており、土侯国が切手の団体や雑誌編集者に新切手案内などの郵便を出していたのではないかと推測できる。
アジュマンは1966年7月5日マナマに最初の郵便局を開設、1964年に最初の切手を発行したが、以前からロイヤルメールが郵便を管轄していた事もあり、そのまま2年間は継続していたと思われる。
7人目)最近某オークションで落札した、シエラレオネとトンガの変形シール切手を紹介、以前この例会でもトンガの実逓便が紹介された事もあり興味を持ったとの事、日本宛の実逓便も1通含まれており興味深い、世界的にも現在このジャンルは人気がありとても良いロットと思います。
8人目)自分のフランス初期作品より、冒頭のスタンプレス・カバーの部分を簡単に紹介、フランスで郵便制度が始まるのが1477年、ルイXI世が民間で行われていたのを接収したと言われる。
1627年は郵便料金という物が出来た最初の年、1725年から1730年に使われた郵便料金前納の最初の印、1762年にはGenova宛外信便も有った事が分かる、16日間しか使われなかった印、フランス革命時代のカバー、受取人払いの市内便、ナポレオン時代の軍事郵便カバー、第2帝政時代の植民地からのカバー、1848年12月31日の郵便切手発行前日のカバーなど。
9人目)戦前の朝鮮半島発の絵葉書便を紹介、1通目、大道門を描く物、切手は裏面貼りで消印は不鮮明だが、表の不足料印より現在の北朝鮮・兼二浦と読める、1918(大正13)年12月24日フランス宛、表にフランス語で印刷物と記入されているが局員の判断か認識出来なかった為、ハガキ料金8銭に対して4銭の不足料扱いとなっている。
2通目、関東大震災を描く物、朝鮮・金泉発ポルトガル宛、1通目と同じく差出人のR.E.C.D.が気になり調べてみると、海外オークションサイトdelcampeのニュースレターに記述が有り、当時の絵葉書と切手の交換会の頭文字で、フランスで1913年1月1日に設立されたという事も分かった。
10人目)最近入手の香港の官製ハガキと英国カバーをの紹介、実はこのFIELD POST OFFICE -1-の印は使用期間が僅か二日間しかなく、水原明窓の書籍にも紹介された事もある貴重な物。
スタンプレス・カバーを1通紹介、LONDONよりHONGKONG・Canton宛、1848年の使用例だが、Cantonの郵便局は1860年代の開設の為、何らかの手段で逓送されたと思われる。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。
外国切手研究会 第63回Zoom例会レポート・前編
2021年6月26日 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第63回Zoom例会』レポート前編です。参加者13人中10人の発表で質疑応答が有りました。
1人目)前回紹介のラトビア・初期の合間に1種類だけ発行された10Kap.を紹介、1919.7.3発行そのデザインからライジング・サンと呼ばれるが、基本額面では無かった為か使用例は少ない、未使用は比較的残っており比較的安価。
用紙も1種類で無目打と目打11 1/2が有り、ガッターテートベッシュも存在するが、この切手の面白い所は定常変種の宝庫、少し大きなブロックなら、何某の分かりやすい変種が存在するのでお勧めとの事、ラトビア関連の資料としては、ドイツ語だがHOFFMAN Harry V.氏の書籍が非常に詳しく図版も豊富で分かりやすいそうです。
2人目)第61回の続きで、ハワイ王国1865年数字切手とアメリカ切手とのコンビネーションカバーで、世界的に有名なコレクションから紹介、ハワイよりアメリカ宛基本料金は当時5セントで、前回ペア貼りは3通確認されていると発表したが、その後の調査で4通の存在が確認されたとの事です。
1通目、5セント(SC#21)とアメリカ切手10セント3枚とのコンビネーションカバー、数字切手とのコンビネーションカバーでは唯一のプロシアン・クローズド・メール使用例、詳細は第53回後編や、The Philatelist Magazine第4号の27ページより謎解郵趣で御本人が詳しく解説されており、一部紹介させて頂きます。
「ここで、このプロシアン・クローズド・メールについて、説明をしておきましょう。 当時プロシアはドイツ・オーストリア郵便連合(German Austria Postal Union)に加盟をしており、そのメンバーはプロシア以外にも、オーストリア、ババリア、サクソニー、ウイルテンベ ルグ(Wurttemberg)、メクレンブルグ–シュベリン(Mecklenburg-Schwerin)、メクレンブ ルグ–スレリッツ(Mecklenburg-Strelitz)、オルデンブルグ、ブレーメン、ルクセンブルグ、ブラン ズウィッグ、リューベックおよびハンブルグがあった。 これらの宛先に手紙を送付する場合、ハワイはアメリカ本国を通じて手紙を送付するしかない のであるが、アメリカ本国とこのドイツ・オーストリア郵便連合加盟国との間で郵便を送付する 手続きとして交換局のニューヨーク局を介して郵便物の送付が1861年から行なわれたが、その郵便料金は前払いで28セント、後払いで30セント(collect paid)であった。 」
2通目、5セント(SC#21)横ペア2枚と1枚、アメリカ切手3セントと5セントとのコンビネーションカバー、このカバーは3倍重量便として15セント分の切手が貼られていると思われるが、アメリカ切手は8セント分の為2倍重量便扱いで詳細は不明。
3通目、5セント(SC#22)横ペア2枚とアメリカ切手5セントとのコンビネーションカバー、この5セント切手のコンビネーションカバーは現在12通が確認されており、(SC#21)に比べ圧倒的に少なくペア貼りとしては現存唯一の物、第61回でも同様のカバーを紹介したが、このカバーは2倍重量便として10セント分の切手が貼られているのでは無く、地方局発信でホノルルと違いアメリカ切手を購入出来ない為、その分を含めてハワイ切手で支払った使用例、ハワイ切手の上からアメリカ切手が貼られているのはその為。
4通目、1セントとアメリカン・バンクノート切手2セント2枚とアメリカ切手5セントとのコンビネーションカバー、5セント切手以外がコンビネーションカバーとして使用された現存唯一の物、この1セントは使用済自体が少なく、非常に希少なカバー。
3人目)以前から紹介している、アメリカ・ミステックスタンプ社で購入したアメリカ切手図入アルバムのカタログコレクションについての続報。https://www.mysticstamp.com/Products/Supplies/M8104/USA
切手パケットはAPS(American Philatelic Society)の有料セミナーに申し込んだ時に頂いたプレゼントで、貼り込み途中だが1番古い切手は1887年シリーズの普通切手、戦後の1954年シリーズ辺りはかなり揃っている、記念切手は1960年代頃から揃い始める、この頃から発行された連刷切手では、図案が独立している場合は別枠、連続している場合は同枠となっており、使用済を整理するのに適したレイアウト、又切手に対するの枠線が大きめの為、耳紙が付いていても切り離なくて良い、1978年のページは、郵便料金値上の可能性で額面が未定だった為、暫定的に”A”額面の切手や、コスト削減の為に実験的に1/3小さいサイズで発行された13セントなどが有り、見開きにその解説が有り便利。
日本ではJPSマーキュリーアルバムに相当すると思われますが、こちらはボストークサイズで値段もかなり安価、使用済み切手の回収率が高いアメリカでは入門にも復活組にも最適な選択のひとつと思われます。
4人目)最近例会でも盛り上りを見せているスタンプレス・カバーより、1851年チリの1品、同国のファーストイッシュー切手は1853年。
首都サンティエゴよりフランス・マルセイユ宛、消印などの情報より、パナマやイングランド経由と思われ、右下の手書き数字はフランスでの徴収料金42デシムと思われる、右上の手書き数字は12と60だが詳細は不明、逓送ルートなどを質疑応答で解読。
尚、スタンプレスカバーは手書き数字の解読が必修だが、信用できるオークション誌などより、参考として幾つかの数字例を提示頂けました。
前編は以上で後編に続きます。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。
外国切手研究会 第62回Zoom例会レポート・後編
2021年6月26日 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第62回Zoom例会』レポート後編です。参加者13人中9人の発表で質疑応答が有りました。
4人目)以前より収集しているベルリン救済強制切手Notopfer Berlinについて、使用済約200枚を入手、目視でも文字の細い太いが分かる切手が確認出来き、これから分類調査していく予定。
この切手に詳しい参加者より情報を提供して頂けました、米英占領地で1948−56年迄発行されたNotopfer Berlinはデザインで4分類、透かしが7種類、目打は無目打〜プライベート目打迄膨大に有り、それらの組合せやポジション研究を記したドイツ語専門カタログが有るとの事で、Peter Harlos著「Die Notopfer- und Wohnungsbaumarken 1948–1956」です。
ミッヘル専門カタログでも詳しく分類されているとの事、また仏占領地区でも米英占領地区への加刷や黄色の別デザインのNotopfer Berlinも発行されています、Webではこのサイトが概要を知るのに良いかと思われます。http://online.fliphtml5.com/immj/qvuq/#p=1
以上ありがとうございました。
5人目)ソビエト連邦・1965年発行のアルミ箔切手の紹介、当時のソ連の印刷技術では綺麗な物は余り無いとの事、このマテリアルは比較的良いコンデイション。
2種類で共に12面シート、当時のソ連の切手シートはもう少し多面刷りだった為、恐らく技術的な理由で小さめのシートになったと思われる、単片に切り離された切手はその材質からコンデイションが悪くなりがちで、状態が良い物が少ない。
6人目)前回紹介のPHILANIPPON 2021に出品予定の作品より、ドイツ・プロイセンのコレクション解説で、製造面のマテリアルを強化の為、150面フルシートからブロックを抽出予定だったが、コレクションの中に同等のブロックを所有している事を思い出したとの事、又この切手購入時に付いていたオリジナルとリプリントとの区別が記入されたメモも紹介、出席者より勿体無いとの声が上がっていた為、ほっとした方がおられました、PHILANIPPON 2021での全容紹介を楽しみにしています。
以前紹介の英領ギアナの1セントに続き、先日オークションで出品されて落札されたモーリシャスのPOST OFFICE 1ペニー切手カバーについて、詳細はスタンペデイアHPに掲載されていますが、やはりそのスタート値と落札金額には驚きでした。
http://stampedia.blog.fc2.com/
7人目)自由都市フューメのカバーを紹介、消印は1921年10月16日、ローマ宛書留便、貼られているのはフューメ司令官ダンヌンツィオを描く切手だが、そのダンヌンツィオが失脚後に暫定政府の加刷がされた物、この加刷切手の実逓便使用は比較的少なく状態の良い一品です。
8人目)オーストリアを中心に収集している紹介者より、スタンプレス時代のカバーを紹介、1840年頃の使用例、スイス国境近くの地方都市ホーエネムス発、南フランス・アビニョン宛、美しいカバーだが比較的リーズナブルに入手出来たとの事、カバーに押されている印や記入されている文字から情報や逓送ルート、料金関係などを勉強しながら収集しているとの事、特に国境便は複雑で大変そうだが、それらを読み解くのも面白そうです。
他の方も各自スタンプレス関連の未発表情報を質疑応答で紹介、ドイツやポーランド、香港などのカバーを紹介して頂きました、今後も順次発表と勉強をしていけると思います。
9人目)アメリカ郵政のプレリリースより、第2次世界大戦時の日系人部隊の切手を紹介、真珠湾攻撃以降、差別されていた日系アメリカ人が国への忠誠心を誓う為、志願して勇敢に戦った第422連隊戦闘団を讃える切手、印面に描かれているGO FOR BROKEとはこの日系人部隊の合言葉で、全力で戦えとの意味になるそうです、日本でもっと紹介されて良いと思います。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。