外国切手研究会 第46回Zoom例会レポート・後編

202136日 2000PM – 22:30PM開催『外国切手研究会 第46Zoom例会』レポート後編です。参加者10人中6人の発表で質疑応答が有りました。

4人目)前回の続きでドイツ・ジャーマンステーツ、2番目の発行国ザクセン王国を紹介、バイエルンの黒1Kr.に対し、ザクセンの赤3Pf.と呼ばれこちらも人気が高い。

ファーストシリーズ3Pf.は印刷物料金、製造面ではプレートⅥ迄存在し、その判別は切手と切手の間に印刷されているラインで判別される、そのラインも横線のBavarian方式と縦線のSaxony方式が有り手がかりとなる。

セカンドシリーズ3Pf.は初期印刷が10面シートで耳紙有だが入手は難しい、後期印刷は10面素版の100面シートで耳紙無、他にインプレッション等で判別可能。

1/2Ngr. 1Ngr. 2Ngr.では王様図案が採用された、10面素版の60面シート構成、1/2Ngr.には間違って2Ngr.の用紙で製造されたエラー切手が存在する、1851に発見され政府で保管されていたが、東西冷戦後の1990年代に市場に放出され25枚存在する。

3人目その2)最近市場では安価で流通しているFDCの話題、日本でも同様だが昔からすると信じられない程の値段で販売されている、最近購入したチェコスロバキア、スエーデン、オーストリア、カナダのFDCを紹介、海外から購入すると送料がそれなりに必要だが、それをプラスしても安価なのは変わりなく、競争展に拘れなければ芸術性の高い切手、様々な初日印、美しいカシエなどが同時に楽しめるのがFDC、発送時に海外から送られてくる実逓便も楽しみのひとつ、最近では郵便物に消印を押さない国も有り収集家としてはやや残念な所です。

5人目)第43回で紹介した中国・日本占領地域・華北の紹介時に触れなかった外信便料金事項の紹介、15分貼のハガキ2通だが、15分の料金期間は1939831日迄、91日から30分に値上されたが華北の日本占領地域では値上げを拒否、料金は据え置きとして、これは19409月位迄続いた、カタログにも掲載されていない項目、天津よりドイツ宛のハガキが不足料金を取られていないのはこのような事情による。

但しこの料金が据え置かれたのはシベリア経由のみで、太平洋経由の場合は華北以外の地域を通る事になり、差出人に落度が無いにも関わらず不足料扱いとなった使用例が有る、25分貼天津発アメリカ宛カバーは19404月と5月の使用例で、経由地からするとこの時期50分料金が正しい為、25分不足扱いの処理がされ配達されている。

eBayで最近購入したカバーの紹介、伍佰圓國幣加刷された緑色の切手が2種類貼られているが、出品者はこれをすごいバラェテイとして説明していた、実は印刷所が違う別種類、偽物の話題が多い中、ほっとする話です。

6人目)第43回で話題の有った、国内インターネットオークションに出品・落札されたハワイクラッシック宣教師5セント切手と同じ出品者より、モルダビアの牛108パラ切手が出品された件について。

出品された切手は偽物です、多少なりともこの切手を知っていれば分かる事ですが、紙質や色調、印面等本物とは全然違う物で、鑑定書も前回と同じく怪しい物、商品説明も間違っており、その内容はすべて嘘と思われます、前回の時は出品者と同一人物かサクラと思われるIDの入札者による質問や釣り上げ行為が行われ、正規の入札者を惑わした形跡も有ります、今回も最初は不落札前提で高額出品し話題となった後、1円スタートを始める予告が有りました、注意して下さい、最後に本物と有名な偽物氏スペラッテイ作成の画像も掲載しておきます、このような詐欺行為が続けば、喜望峰のウッドブロック三角切手、モーリシャスの1番切手なども出品してくるのではと思いました。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第46回Zoom例会レポート・前編

202136日 2000PM – 22:30PM開催『外国切手研究会 第46Zoom例会』レポート前編です。参加者10人中6人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)オランダ領東インドの2番シリーズ、1870年より発行されたキングウイリアムⅢ世肖像図案切手の紹介、1セントより2グルデン50セント迄12の額面、タイプと色違いでカタログメインナンバーは14種類、目打の分類は6種類で日本の小判切手のようなラージホールやスモールホールが存在する。

10セントは国内書状料金、定常変種か偶発変種か分からない版欠点もいくつか存在する、この時期は切手の抹消に番号印が使われており1番から120番迄有る、4番はBatavia局、10セント2枚と5セント貼スイス宛カバーは9Makasser局、締切後受付を示す”NA POSTTIJI” 印やフランスPaquebot印も見受けられる。

12 1/2セントには200面シート182番に存在するBroken “C” と呼ばれる有名な版欠点も有る、12 1/2セント切手付封筒に同料金の切手を加えて外国便に使用したもの、25セント2枚貼スイス宛カバーはイタリアBRINDISI経由を指示する印が押されている事から、割高の料金を支払い、スエズ運河を経由する欧亜航路を利用した速達のような扱いで送られたと思われる、フランスの赤色の鉄道郵便印も押されている。

2人目)前回紹介の第36回で紹介したハワイ王国・1893年発行暫定政府の赤色加刷切手、スコットNo531セントを例にした、偽加刷についての続編、POST OFFICE IN PARADISE – Provisional Government Issue: Beardsley Quantity Analysis (hawaiianstamps.com)

前回要鑑定とした切手は偽加刷と思われるとの事、セカンドプリントの50面シート48番に存在する3の数字抜けエラーは、判別方法として紹介した”Provisional” の最初の”i” の文字の下部セリフが左側だけで右側には無く、2番目の”i” の文字の下部セリフは左右に有るに加えて、9の数字上部が欠損しており、上記サイトの偽加刷データに同様の切手が掲載されていたとの事です。

ゴム印で押されたような加刷も偽物の可能性が高い、加刷切手3枚が貼られた紹介のカバーはそれ自身は本物で、1枚だけ二重の偽加刷に変造されたもの、カバー自体が珍しい物だった為、それが判明した上でそれなりの値段で取引されたとの事でした、インターネットオークションに出品されている切手に鑑定書が付いているのは皆無です、上記サイトには偽加刷についても非常に詳しく掲載されており、こういった切手を入手する機会があれば必ず参考になると思われますが、やはり鑑定書の無い切手の入手はリスクが高いと思われます。

3人目)以前紹介の有った、アメリカ、186118691870年シリーズで使われたグリルについての質疑応答、切手の表面に浅い突起物が多数付いた版を押し付けて紙自体に凹凸を付け、使用済切手の消印を落とし難くする再使用防止の目的で使われた、ナショナルバンクノート社の特許で同社製造の切手に一時期のみ使われた。

前編は以上で後編に続きます。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

第4回南方占領地のフィラテリー展の展示作品の募集について

今年で4年連続の開催を迎える「南方占領地のフィラテリー展」では、一人でも多くの方が南方占領地切手の展示を楽しむことができるように、非競争展覧会を開催することと致しました。

同展覧会の募集要項を発表しますので、コレクションを所有されていらっしゃる方のご参加をお待ちしております。

 

展覧会名  :2021年度 第2回 郵博 特別切手コレクション展
企画展名  :第4回南方占領地のフィラテリー展
切手展の性格:非競争切手展
開催期間  :2021/6/12(土)〜2021/6/20(日) 9日間 *1
開場時間  :10:30-16:30(初日12時開場予定) 最終入場時刻は閉館時刻の30分前です
開催場所  :郵政博物館(東京スカイツリータウン ソラマチ9F)
主催団体  :郵政博物館、特非)郵趣振興協会
展示団体  :南方占領地切手コレクターズクラブ
*1 展示期間につきましては、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行状況等が原因で、博物館の開館スケジュールが変更される可能性がございます。

 

展示作品の募集について

募集作品 南方占領地切手および関連するコレクション
募集形態 フレーム単位のコレクション(1〜8フレーム)
作品郵送 2021/6/5前後を予定しております。なお、コレクションの持参を希望される方にも対応いたします。
作品返却 2021/6/25前後を予定しております。会場引取もしくは着払返送等をご選択頂けます。
出品費用 無料
展示規模 約30フレーム
ご連絡先 hobbyshop@web-more.jp 守川 まで
募集締め切りは設けませんが、既にいくつかの作品の展示が決定しておりますので、ご関心のある方は早めのご連絡をお願いいたします。ご相談も歓迎いたします。

 

作品のセキュリティについて

郵政博物館は、東京スカイツリータウン・ソラマチに立地する、我が国の郵趣に関するナショナルミュージアムです。東京スカイツリータウン自体の物理的セキュリティに加えて、同博物館自体が物理的セキュリティの高い施設として運営されています。
人的セキュリティとしては、入場口すぐ横の多目的ホールを使用する事に加えて、博物館の警備スタッフが巡回を行っています。一方で、長期間運営される特別切手コレクション展に、専任の会場スタッフは常駐しません。そこで、受付や巡回警備スタッフの視認性を高める為、切手コレクション展示パネルは、ゆったり目に死角がない様に配置します。
展示団体としては許容できるセキュリティであると考えておりますが、ご出品いただく作品のセキュリティに関するリスクは一切負いませんので、ご出品作品の応募にあたり、この点をご納得いただいた上でご出品ください。

第16回 活動報告

特定非営利活動法人 郵趣振興協会(以下「当協会」と略す。)は、その活動について広く伝えるため、3ヶ月に一度レポートを発行し、電子メール等で賛助会員にお伝えすると共に、無料でご掲載いただける雑誌媒体に同一内容を提供しております。今回より同レポートを公式ホームページでも発表させていただきます。ダウンロードしてご覧くださいますようお願い申し上げます。

活動報告対象期間:2020年12月4日~2021年3月6日

第16回活動報告 ダウンロードしてご覧ください。

 

外国切手研究会 第45回Zoom例会レポート・後編

2021227日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第45Zoom例会』レポート後編です。参加者11人中6人の発表で質疑応答が有りました。

3人目)ハワイ王国宛インカミングカバーを紹介。

1通目、189793日、日本・大阪発、94日横浜経由、923日ホノルル着、小判型2銭郵便封皮にUPU小判切手1銭と2銭が貼り足されたカバー、サンフランシスコを経由せずダイレクトにハワイに送られたと思われる。

2通目、189876日、アメリカ・サンフランシスコ発、713日ホノルル経由、アメリカ最初の記念切手、世界コロンブス博覧会と2番目の記念切手、トランスミシシッピ博覧会の記念切手が貼られたリターンレセプト書留カバー、郵便料金は20セント必要だがこのカバーは18セント分しか貼られていない、不足料金を取られた形跡も無く2セント分は現金で支払われたかもしれないが、詳細は調査中との事、情報も募集中との事です。

3通目、1900130日、ドイツ・ワイズバーデン発、310日ナアレフ着、薄い印影も有るが両面に多数の中継印・到着印が押されている、ホノルルは見当たらずワイルクの中継印が押されている事から、サンフランシスコより直接ワイルクに送られた可能性も有るハガキ。

番外編 、第36回で紹介したハワイ王国・1893年発行暫定政府の赤色加刷切手、スコットNo531セントを例にした、偽加刷についての解説、POST OFFICE IN PARADISE – Provisional Government Issue: Beardsley Quantity Analysis (hawaiianstamps.com)

4枚の拡大図を提示して頂きましたが、画像1枚目左側は要鑑定、右側は偽加刷、画像2枚目左側は本物、右側は偽加刷との事です、簡単な判別方法として、”Provisional” の最初の”i” の文字の下部セリフが左側だけで右側には無く、2番目の”i” の文字の下部セリフは左右に有るとの事。

昔から偽加刷は存在し、定常変種やエラー加刷になると評価が大きく変わる為、鑑定書は取った方が良いとの事、最近の海外ネットオークションにも偽加刷は出品されており、安易に飛び付くと高価な勉強代になるとのお話でした。

4人目)最近力を入れているオランダ領から、オランダ領東インドの版欠点コレクションを入手し整理途中ながら紹介。

第一次世界大戦後より1930年代頃に使われていた数字図案切手1/2セントでは、オランダ語で非常に細かく分類と書込みがされており、分かりやすい例として額面文字”CENT” の”E” に欠点が有る切手など面白そうなロットでした、南方占領地に詳しい方より版欠点に詳しいカタログも紹介して頂き、他の切手も含め色々と調べて行きたいとの事です。

蘭印関係は本例会でも話題になる事が多く、以前のレポートより、AMERICAN SOCIETY FOR NETHERLANDS PHILATERY を今一度紹介しておきます。http://www.asnp1975.com/

このサイトのBackIssuesでは1975年から始まる過去の会報を見る事が可能です、英語で書かれている件も有難く、Indexから蘭印の記事も見つける事が出来ます、参考にして下さい。

5人目)第43回の続きでドイツ・ジャーマンステーツ、バイエルンのセカンドシリーズを紹介、1849年発行ファーストシリーズの1Kr. は黒色印刷だったが、イギリスを始め多くの国のファーストシリーズで辿る黒色印刷に黒消印は見えない問題から、1850年に1Kr.はセカンドシリーズとしてピンクに色を変えて発行された、印刷物料金の色としてはザクセンやプロイセンも赤系統だった。

図案も少し変更され、3Kr. 6Kr.と同じく数字の周りが塗り潰されている円となった、又その円が不完全なのが1番シリーズ、完全な円が2番シリーズとなる、新たな新額面として、9Kr. 12Kr. 18Kr. 3種類が発行された。

1Kr.はプレート1の未使用が少ない、逆にプレートIIは使用期間が短く次のシリーズが発行された後に回収された為、使用済は非常に少ない。

カバーはラッパーとして差し出されたが、文面が入っていた為に封書として判断され、重さも有った為3倍重量便不足料として扱われたもの、切手が新聞面に貼られて消印され残ったもの。

6Kr.はファーストシリーズに比べ、残っている数は多いがプレート1は少ない、フラン宛書留カバーはその書留料金も切手で支払われたもの、この時期はまだ書留料金だけは現金で支払われたのも多い。

9Kr.はシェードバラエテイが非常に多く、タイプの分類も多い、1枚のシート中にタイプが分散している上、熱心な方の研究結果より、プレートによってはポジションの確定が出来るペアやブロックが存在する。

18Kr.はフランス宛書状基本料金に相当、12Kr.はフランス間の郵便量が増えて値下げされた為、他の額面より遅く1858年に発行された。

これらシリーズの文献としては PETER SEM 氏のものがあげられ、色に関する小冊子や印面に関する小冊子が発行されている。

6人目)トピカルとして鉄道図案切手の実逓カバーを集めておりその紹介。

1通目、世界一小さな共和国として知られるサンマリノより、1932年発行の美しい凹版印刷が貼られたカバー、イタリア・アッシジ宛、このアッシジはフランシスコ会の創設者である聖フランチェスコの出身地として知られており、キリスト教の巡礼地としての性格を持つ都市との事です。

2通目、アフリカのジンバブエより199192日、首都ハラレ・エアポート消、アメリカ宛 、この数年前に40年近く独裁政権を行っていた大統領がクーデターで失脚し、反白人感情も現在程ではない比較的安定していた時期の郵便物。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第45回Zoom例会レポート・前編

2021227日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第45Zoom例会』レポート前編です。参加者11人中6人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)オランダ領東インドでは、日本の敗戦後1945817日スカルノ大統領が独立を宣言したが、再植民地化を狙うオランダとの間で1949年迄インドネシア独立戦争が続き、その間2つの郵政が存在する事となった、第33回と第34回でこの時期のインドネシア共和国側の切手を発表したが、今回はオランダ側の切手を紹介。

1945年大型風景図案切手と、1945-46年ウイルへルミナ女王肖像図案切手が発行された、インドネシア共和国側とは対照的なアメリカ製凹版印刷の立派な切手。

カバーは3通、1946927日オーストラリア宛、この時期には既に外国航空郵便が問題無く送られている、194742日アメリカ宛、かっての海軍担当地区からの外国航空郵便、1946520日オランダ本国宛。

当時の勢力図によると、19477月頃は共和国側がジャワ島の大部分を抑えていた、19478月頃にはオランダ側が攻勢を掛けて共和国側を追い詰め、19481月頃にはジャワ島中部の一部を残すだけとなっていた、しかしながら国際世論がオランダ側に圧力を掛ける事になり、オランダ側も2度に渡る警察行動を起こしたが、最終的には19491227日、インドネシアの主権をインドネシア連邦共和国へ譲渡した、オランダ領東インドの切手が有効だったのは同年1231日迄だった。

1946年小型風景図案切手発行、ガッターペアは線が太いタイプと細いタイプが有る、加刷切手や版欠点など、大型オンピースは1946124日アメリカ宛、カバーは1948313日オランダ本国宛。

1947年、無加刷で残っていた切手に新額面や年号を加刷したウイルへルミナ女王図案切手が発行された、カバーは194869日オランダ本国宛、派手な罫線やアルファベット・数字の入ったコーナーブロックなど。

1948年踊り子図案切手発行、1941-45年に発行されていた同図案の切手を額面や色を変更した物、版欠点やアルファベット・数字の入ったコーナーブロックなど。

1948年ウイルへルミナ女王肖像図案切手発行、前年本国発行切手と同図案、ウイルへルミナ女王在位50周年記念切手発行、そして同女王は退位され、ジュリアナ女王即位記念切手がオランダ領東インド最後の発行となった、派手な罫線やアルファベット・数字の入ったコーナーブロックなど、カバーは19481217日オランダ本国宛、アメリカ宛大型封筒を紹介。

2人目)前回の続きで中国・日本占領地域・華南の紹介、前知識として第43回でも紹介した華南の通貨は毫銀券、一時期日本の軍票を使っていた、又毫銀券より華中の儲備券に変えた後、加刷切手をやめて無加刷切手を流通させた後、軍票立で支払いをさせた、その後元に戻して儲備券に変えたという複雑な事を行っていたとの事。

1リーフ目1通目カバー、1941520日、廣州市内便無加刷使用例、2通目カバー、1942617日、廣州市内便「粤区特用」加刷、発行5日目使用例。

2リーフ目カバー、194431日廣州発、日本・愛知宛航空便、郵便料金の詳細はリーフに記述されているが、航空料金は日本の軍票立で支払う必要が有り、その航空切手も華中で発行されていたが1943年頃には使用をやめていた、但しその料金形態だけは残っていた為、このような複雑な計算が必要だったとの事。

前編は以上で後編に続きます。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

スタンペックスジャパン2021実行委員会より、ボランティア募集のご案内

来月の開催を予定している全国切手展「スタンペックスジャパン2021」まであと一月強となりました。COVID-19の感染流行状況は慎重に見極めなければなりませんが、現時点では展覧会を開催できる見通しです。つきましては、展覧会の運営にあたりボランティアを募集しますので、ご応募ください。

募集:全国切手展「スタンペックスジャパン2021」ボランティア

募集日程・人数・内容
2021年4月8日(木)12:30-16:30 4名 設営
2021年4月11日(日)11:00-15:00 2名 クリティーク時間の場内整理
2021年4月14日(水)12:30-16:30 4名 撤去・発送

謝礼:当協会の謝礼制度により、半日に相当する5,000円を謝礼としてお渡しします。

応募方法
電子メールで当協会までご応募ください。info@kitte.com
なお、切手コレクションを取り扱いますので、ご自分でリーフ作りをした経験のある方に限らせていただきます。

選考
実行委員会で随時選考を行い、結果を通知します。

 

(追記 2021/3/8)おかげさまで、実行委員の必要人数を満たすボランティアのご応募をいただくことができました。ご検討くださいました皆様、ありがとうございました。

 

外国切手研究会 第44回Zoom例会レポート・後編

2021220日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第44Zoom例会』レポート後編です。参加者11人中6人の発表で質疑応答が有りました。

4人目)最初に前回紹介の中国・日本占領地域・華北のレポートで訂正が有ります、3枚目リーフ、河南省からの手紙で194178日、華南・紙店集発、アメリカ宛は、河南省・紙店集発、アメリカ宛の間違いでした、華南・モウ銀券の文字は毫銀券との事で追加説明させて頂きます。

前回の続きで中国・日本占領地域・蒙疆の紹介、現在の内モンゴル自治区辺りで特徴としては櫛型形が使われていた事、満州より持ってきたと言われているが、活字は現地調達だった為、日本では余り見かけない字体も確認出来る。

1リーフ目、基本は遊牧民地域の為、郵便を出すのは殆ど日本人で使用例も日本宛が多い。

2リーフ目、使用済1枚目の張家口と2枚目の岱岳は現在では河北省だが当時は蒙疆だった、3枚目田型使用済の張家口第一はD欄「辨」入り、日本で言えばその昔に切手も売っていたタバコ屋さんが消印を持っていた感じとの事です。

3リーフ目、大同発、兵庫県宛ハガキ、南口包頭間の鉄道郵便印使用例、路線は包頭から先も続いていたが日本軍が抑えていたのが此処迄だった、この路線便使用例は暫定的と言われており、紹介者もこの使用例以外は未見との事。

4リーフ目、1941730日、包頭発、北京宛、華北地区と違い加刷切手発行後も730日迄は無加刷切手も使用する事が出来た、これは混貼での最終日使用例、又831日迄は無加刷切手と加刷切手との交換が出来たがそれ以降、無加刷切手は無効となった。

5人目)マダガスカル英国領事館の切手を紹介、3ペンスと4ペンスだが、4ペンスの方は印刷ミスなのか数字の1が修正されて4となっている、当時のマダガスカルはフランス郵政が仕切っていた為、英国とフランスとの勢力争いが有った頃、イギリス系住民が領事館迄はこの切手を貼って送り、領事館でフランス切手に貼り換えて国外に発送する様なシステムで、その為に発行されたとの事、剥がす事が前提の為に裏糊も裏面の一部だけ引かれている。

紹介者も未見ながら、マダガスカル国内郵便の単体使用例カバーは有るとの事ですが、そのシステムの為、外国便使用例は存在しない。

製造面については用紙が2種類、押されている印影(消印では無い、消印はペン消し)が2種類、その印影の色が2種類で8パターンの分類となる、3ペンスと4ペンスは同一分類の切手だが、別タイプの切手は印影が違うパターンの切手、これら英国領事館の切手は比較的短命に終わったとの事ですが、なぜか多くの額面が発行されており、よく分からない部分も多く、非常に興味深いマテリアルでした。

6人目)フランスクラッシック・国内外切手展上位入賞歴を持つ紹介者の次回出品予定作品を解説、以前の作品はフィラテリストマガジン別冊で全リーフ紹介された事が有るが、1番切手エッセイから始まる今回の作品は冒頭1フレームの解説ながらそのボリュームは圧巻でした、春のスタンペックスジャパン2021でお披露目出来るとの事から、今回はタイトルリーフのみ紹介とさせて頂きます。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第44回Zoom例会レポート・前編

2021220日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第44Zoom例会』レポート前編です。参加者11人中6人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)南スーダン独立3日前実逓カバーの紹介、同国は201179日に独立、スーダンの切手が貼られ201176日、現首都JUBA消、Mayardit大統領より独立記念式典の招待状が送られたカバー。

招待状やカバー表面の印刷では、現国名Republic of South Sudan は The Government of Southern of Sudan と記されており、独立の準備過程ではスーダン南部との位置付だったと思われる興味深いマテリアル。

2人目)前回話題に上がった、国内インターネットオークションに出品・落札されたハワイ宣教師切手についての番外編、本物の5セント切手、実在しない3セント切手、レプリカの2セント切手を紹介。

2セント切手はTow Centsの文字が本物と比べてバランスが悪く一目瞭然との事、ハワイ宣教師切手に関しては、アメリカ・ニューヨークのフィラテリックファンデーションが一番信用の置ける鑑定先との事です、有名な偽物としては、第17Zoom例会レポートで紹介したPeter Winter氏作成の精巧な2セントと5セント切手のタイプ違いペアが有ります、参考にしてください。

前回の続きで 、ハワイ王国・1893年発行暫定政府の赤色加刷切手、スコットNo61B10セント、スコットNo66C6セント切手の紹介、POST OFFICE IN PARADISE – Provisional Government Issue: Beardsley Quantity Analysis (hawaiianstamps.com)

10セントは本来は黒色加刷が赤色加刷されたエラー、6セントは本来は赤色加刷が黒色加刷されたエラー、上記参考サイトによると両切手共1シート・50枚のみ発行。

10セント切手に関しては1906年のサンフランシスコ大地震で切手商・収集家が所有していた切手が8枚消失したと記録されており、現存数は40枚程と言われている、その中で使用済は1点のみ確認、紹介の切手はポジション26

6セント切手もこの大地震で切手商・収集家が所有していた切手が10枚消失したと記録されており、こちらも現在数は40枚程と言われている、使用済も数点有りカバーも残されている、紹介の切手は右側マージンの広いオフセンターから5の倍数のポジションと思われる。

Beardsley氏の基礎データをCol. Pat Hogan氏がアップデートした、ポジションと現存切手の確認研究が残されているが約40年程前のデータの為、紹介者が引き続き研究を進めているが、基礎データには写真画像が無く、中々難しいとの事です。

3人目)前回の続編、某オークションで入手した香港関ロットから中国租借地・威海衛より廈門(AMOY)を紹介、尚画像のリーフは整理途中との事で、説明不足や記述違いも有るとの事ですが、貴重なマテリアルの為公開させて頂きました、御了承下さい。

最初に使われたのは、赤色でAMOYの印が押されている上から香港で抹消された物、カバーは10通程しか確認されていないが、旧石川良平コレクションには含まれていた、使用済単体でも貴重なマテリアル。

後にはA11の抹消印が使われた、D27の抹消印は支局で使われた物、さらには抹消印と日付印が合わさった物が使われ、こちらは数種類のタイプが有るが、AMOYの局名が横一列に並んでいるので初期に使われた物。

前回他の紹介者のドイツ・ジャーマンステーツ、バイエルンのファーストシリーズ、1Krの黒色印刷で話題が有った”Intense black” から、元祖のペニー・ブラックを紹介、1版より10版迄の未使用が整理されたコレクションで、この中では6版の切手が”Intense black” と言える物との事、7版と10版の”Greyish black” は版が磨耗したのでは無く、このような色のインクが使われたと思われる。

プレート1aのみを整理したリーフでは、最初の1枚が ”Intense black”、この1aは焼入れ処理されていなかった為、後期になると磨耗が進み切手の印象はかなり変わる。

カバーは184059日の初期使用例、下部耳紙付きの貴重なマテリアル、シート下部耳紙に記されていた全文も紹介。

前編は以上で後編に続きます。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

南方占領地切手コレクターズクラブ第9回ZOOM例会レポート

南方占領地切手コレクターズクラブ第9回ZOOM例会レポート

2021年2月24日 8:00PM~10:20PM 開催の『南方占領地切手コレクターズクラブ』のレ
ポートです。
参加者は6名でした。
以下、話題に上がったマテリアルについて順番に書き記していきます。

1) ビルマ 孔雀加刷カバー
ビルマの孔雀加刷は切手自体、偽物が非常に多いです。さらにエンタイアとなると郵趣家
便ぐらいしか残されていません。その稀少性を逆手にとって真正の切手を用いた偽カバー
が作られたと言われています。画像のカバーは、切手は本物で印影も本物と見られますが
、日付がバックデートと思われる偽造カバーです。

2) マライ 漢字加刷不足料カバー
マライの不足料切手は馬来軍政部単枠加刷、ローマ字加刷、漢字加刷の3種類があります
。これらの未使用はシートも残されているほど多く存在しますが、カバーとなると珍品に
なります。本品は封書料金8cの倍額16cが徴収されたため、4c不足料切手が4枚貼られて到
着地の昭南で抹消されています。

3) ジャワ 停車場印(HALTESTEMPEL)
ジャワでは箱型地名消しの停車場印が使用されました。サトウキビ等を搬出する駅で手紙
を受付け、集配局で日付印を押しました。本品のTjipariは中部ジャワと西部ジャワの境目
に存在し、西部ジャワBandjar2.2.■03■(1943年2月2日)が集配局です。

4) スマトラ 東海岸州2重加刷
スマトラの東海岸州では大日本枠付き加刷がされましたが、まれに二重加刷がされたもの
があります。本品は赤加刷と紫加刷がされており、よく見ると形が異なっているので2つ
以上の印が同時に東海岸州に存在していたことが判ります。

5) マライ等 マラッカ加刷 真贋不明品
写真の右にあるマラッカ加刷3cが問題です。旧英領の占領地切手は著名なコレクターであ
ったRowellが、切手の裏にMDRとサインをしていることがあります。これはしばしば高価
な切手になされているため、真偽の判定に役立つことがありますが困ったことに鉛筆書き
であるため、サインの偽物が存在します。本品も裏にMDRと鉛筆書きされていましたが筆
跡が疑わしく、偽サインの可能性があります。

6) ジャワ アデック刑務所から
本品は刑務所からのはがきで、他にストラスウエーク刑務所の検閲印が押されたのもあり
ます。ジャワを含め、南方占領地には敵国人を収容する収容所がありました。収容所から
はいくつかの制限があるものの、郵便物を差し出しすることができました。刑務所と収容
所の違いは判りません。

7) スマトラ ×加刷

スマトラ西海岸州ではオランダ女王の顔を抹消するような加刷がなされましたが、どれだ
けの印が使われたか、局によってどうであったかなどはまだ未解明の部分があります。本
品はいずれも未報告のもので、占領初期に棒を組合せて×にしていることが特徴です。ま
た踊り子図案の切手に×加刷がされたものも回覧されました。

8) スマトラ 八紘一宇4銭使用
南方占領地では東郷5銭を除き、2次昭和切手はほとんど見られません。スマトラでは女工
1銭や地図10銭切手が郵趣的使用などで若干見られますが、八紘一宇4銭はほとんど見られ
ません。本品はブキチンギの消印が見られるものです。

9) フィリピン 満洲切手のFDCに
本品は日本郵便切手会の満洲切手FDCです。しかし、右下に注目すると占領下フィリピ
ンでFDCなどを精力的に作っていたAfran stampのハンコが見られます。本品から、占領
下においてフィリピンではAfran stampが日本勢力圏の切手を取り扱っていたのではないか
という推測ができます。他のFDCにも同様のものがあるのか発見が待たれます。

話題は主に以上でした。
次回の開催は3月24日水曜日の20時から、です。