2021年7月31日 20:00PM – 21:35PM開催『外国切手研究会 第67回Zoom例会』レポートです。参加者10人中7人の発表で質疑応答が有りました。
1人目)アメリカより戦前の朝鮮半島宛の絵葉書便を紹介、ワシントン州シアトル発、日付は少し不鮮明だが裏面の文面より1906年10月3日と判断、到着後アメリカに転送されており、YOKOHAMAの印は中継印か転送時か調べたいとの事、質疑応答等より左下の到着印は不鮮明だがおそらく11月4日、YOKOHAMAの印は11月8日と思われ、押されている場所も抹消した住所の上で、転送時に押されたと判断出来る。
余談だが、受取人のハリー・ライス・ボストウィック(Harry Rice Bostwick)とヘンリー・コールブラン (Henry Collbran)は1898年に朝鮮半島で初めて電力事業始めたアメリカ人、歴史的にも面白いマテリアル。
2人目)国内オークションで入手したドイツのカバーを2通紹介、1通目は前回紹介の使用期間が半年しかなかったプロイセンの最終シリーズ、9クロイッツアーペア貼り、1867年7月5日シュバルッエンバッハ発、7月10日オーストリア・ウイーン到着、ドイツ・オーストリア郵便連合での外信便、PHILANIPPON 2021に出品予定の作品にも取り入れる予定との事。
2通目、ハノーファー無目打3枚貼り、ブレーメン経由、アメリカ・ペンシルバニア宛外信便で比較的少ない宛先のマテリアル。
3人目)旧中国・広西「國幣」加刷切手の紹介、1948年9月29日発行、この時期は國幣通貨が粗々終わって金圓に変わる時期だった事、封書料金を想定したと思われる額面は既に三倍に値上され用途が限定されていた為、使用済やカバーが非常に少ない。
台切手の印面寸法が2種類に分類出来るが、この切手の面白い所は加刷の額面表記数字「0」のバラエテイ、その組合せが8通り有り、加刷原版は10×10の100面を2回印刷して1枚のシートに加刷した、少し大きなブロックならプレーテイングが可能との事。
4人目)世界初の三角切手で人気と有名な初期の喜望峰について、収集初期の数十年前に入手整理した状態との事、1番より4番切手迄を紹介。
1リーフ目、1ペニープルーフ、1853年9月1日発行、1ペニーと4ペンス使用済、濃青味紙、シェードもいくつかに分類出来る。
2リーフ目、4ペンス濃青味紙カバー、1858年CAPE TOWN発。
3リーフ目、1ペニーペア濃青紙と白紙、シェードバラェテイ、4ペンス濃青紙、ペアとシェードバラェテイ。
4リーフ目、1855年発行1ペニー白紙、4枚ブロックとシェードバラェテイ。
5リーフ目、1855年発行4ペンス白紙、ペア、4枚ブロックとシェードバラェテイ。
6リーフ目、4ペンス白紙カバー、質疑応答より宛先はHeidelbergではとの事。
5人目)チェコスロバキアのミュシャ・デザインの切手と同図案の10h官製ハガキに5h切手を貼足した使用例、この切手は本来不足料切手として製造されたがその用途では使用されず、FRANCOと加刷して通常切手として使用された物、使用期間は非常に短く1919年5月15日から31日の約半月しかなかった、質疑応答より宛先はSeestadtlではとの事。
チェコスロバキアは1918年に暫定政府が成立、正式に共和国として成立するのは1920年、この使用例は混乱期に当たる為、郵趣的には面白い時期との事。
6人目)オランダ領東インド、1902年発行、数字図案シリーズに加刷されて発行された切手の紹介、1/2セント加刷は1の数字のバラエテイや加刷ズレ、2 1/2セント加刷は濃淡や上下左右の加刷ズレが有る、1/2セントの台切手シートマージンには、円形と3箇所に小さな四角形の目印が印刷されている。
カバーは2通紹介、1903年5月23日メダン発ドイツ宛書留便、1/2セントの2重加刷切手が貼られたジョグジャカルタ発バタビア宛書留便。
7人目)南方占領地、マレーシア・サラワクの官製ハガキに加刷使用されたマテリアルの紹介、バラエテイとして、大日本帝国政府の加刷文字が印面部分以外のPOST CARDの文字部分に有り無し、加刷文字色が紫色、青色、黒色が有る。
このハガキの実逓使用例は非常に少なく全部のバラェテイを合わせて現存約20通程、このマテリアルは日本宛の上、同姓間に送られた非フィラテリック使用例と思われる貴重な1品。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。