外国切手研究会 第70回Zoom例会レポート

2021821日 2000PM – 22:15PM開催『外国切手研究会 第70Zoom例会』レポートです。参加者11人中8人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)前回の続きでブラジル1844年シリーズの紹介、通称ヤギの目と呼ばれる、1番シリーズから僅か1年で変更された理由は、切手が大きくて紙質も厚く封筒から剥がれやすい為再利用されていた為、印面を小さくし切手が剥がれにくい極めて薄い紙にして再利用されなくする為の用紙は、イギリス・パーキンスベーコン社を通じてティーダブルキング社に注文したが、中々到着せずに当初は1番シリーズに使われた厚い用紙で印刷された。

リオデジャネイロ国立造幣局製造で銅製実用版による凹版印刷、横17153面シート、実用版は1年程耐えられる物だったが、5年程使われた版も有り、初期に比べるとかなり印面が荒れている物も有る、額面は7種類、分類要素は印刷時期、版の荒れ具合、紙質、シェードなど。

10レイスは新聞用額面、このシリーズとしては最後の1846年発行、20レイスは官報、印刷物料金、60レイスは国内書状の陸便基本料金、カバーは4枚貼で国内船便2倍重量便使用。

高額面の180レイス、300レイス、600レイスは同一実用版で印刷され、横173種類153面シートで構成、60レイスが530万枚発行されたのに対し、180レイスは5万枚、300レイスは4万枚、600レイスは2万枚と少ない。

2人目)前回の続きで喜望峰の三角切手最後のシリーズ、スタンレーギボンズカタログ#18から#21迄、1863年発行の切手を紹介、デ・ラ・ルー社製で印刷が非常に鮮明で個人的には一番出来が良いとの感想。

1ペニー、4ペンス、6ペンス、1シリングの各額面をリーフに整理、用紙は白紙のみでシェードの分類が中心になるとの事、ギボンズ社が以前販売していたカラーキーガイド(少し前に再販された情報も有り)が欲しくなります。

3人目)アメリカ・アマゾンで販売中の郵便関係書籍の紹介、「Neither Snow nor Rain : A History of the United states Postal Service」は収集家ではなく、記者をやっている方がアメリカ郵政史を書いてみないかというオファーを受け、一から調べて植民地時代のベンジャミン・フランクリンの話から始まり、西部開拓時代のポニー・エクスプレス、ゴールドラッシュ、海外への郵便物の送達、歴代大統領と歴代郵政長官の政策、航空郵便の歴史、196070年代の労働条件悪化によるストライキ、郵政公社化、民間宅配業者との競争、手紙の郵便物からEコマース配送へのシフトなど、郵趣家の観点とは違う内容で書かれているとの事です。

他にも郵便関係の書籍は色々と有り、「How the Post Office Created America : A History」なども面白そうです。

4人目)旧中国・第三国を経由して運ばれた郵便物の考察。

1通目、重慶より香港宛国内便扱い封書だが、昆明の中継印が押されている、直接南下せずに昆明、ハノイ、ハイフォンを経由して香港に運ばれたと考えられ、その理由としては以前紹介の共産軍や特に日本軍の存在で、国外経由の方がリスクが低かったと思われる。

2通目、海南省白沙よりダブリン宛船便封書、中継印より重慶、昆明、ハノイ、ハイフォンを経由してアイルランドに運ばれたと考えられる、担当者のサインが直接書かれているアイルランドの検閲ラベルが特徴的。

5人目)マイナーな国の実逓便、実逓消が好みの紹介者より、赤道ギニアの実逓便カバーを紹介、1970年代同国は収集家目当で膨大な切手を発行していたが、現在では日本の方が遥かに多くの切手を発行している。

1通目、バルセロナサッカークラブ75周年の金箔切手小型シートを貼った書留航空便カバー、かって赤道ギニアはスペイン領だった。

2通目、アメリカ独立革命200年セットの内、2枚が貼られた書留航空便カバー、この1975年には他のアフリカ諸国からも同様の切手が多く発行された。

3通目、花切手7種セット貼り書留航空便カバー、以前は低額面の注文消をパケットなどでも良く見かけたが、実逓便カバーは珍しい。

6人目)イギリス・フランス間のスタンプレスカバーと、同時期の切手貼付カバーを整理したリーフを年代別に紹介。

1リーフ目、1840年〜18421231日迄、1/4オンス迄封書基本料金10ペンス時代、但しドーバー海峡向いカレー迄の料金であり、その先は別料金が必要だった、リオン宛のスタンプレスカバーは1シリング2ペンスが追加料金で前納済を表すPD印が押されている。

2リーフ目、184361日〜18541231日迄、1/4オンス迄封書基本料金10ペンス時代、こちらは宛先地迄の料金となった、リオン宛のスタンプレスカバー料金は10ペンスで前納されている、切手貼カバーは10ペンスの6番目切手が貼付されているが、本来は国内二倍重量書留便用として発行された切手が適応している。

3リーフ目、185511日〜187051日迄、1/4オンス迄封書基本料金4ペンス時代、UPU加盟直前迄の料金、イギリス国内のスタンプレスカバーは1853年で終わっているが、国外宛のスタンプレスカバーがいつ迄使われていたかは調査中との事、ボルドー宛のスタンプレスカバー料金は4ペンスで前納されている、切手貼カバーはデ・ラ・ルー社製の凸版印刷でサーフェースと呼ばれるタイプのフランス宛として発行された4ペンス切手が貼付されている。

7人目)PHILANIPPON 2021に出品予定の作品より、最近補強したマテリアルの紹介、スタンペックスジャパン2021にも出品したRepublic of Korea1945-47ですが、エラーやバラエテイ、難しい多数貼りカバーなどを入手出来た事もあり、直前迄作り変えて出品したいとの事です。

8人目)第43回、46回で話題の出た、国内インターネットオークションに偽物を出品していたと思われる人物がIDを変えて再び出品している件について、その文章や手口から同一人物と思われます、日本の手彫切手を中心に外国切手も出品しており、本物で贋作時全額返金保証と唄ってますが、全文を読むと無責任な内容が分かります、 注意して下さい。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。