外国切手研究会 第11回Zoom例会レポート

202074日 2000PM – 22:30PM開催『外国切手研究会 第11Zoom例会』のレポートです。参加者13人中10人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)中国孫文切手貼り蘭印行カバー、1通目1940年北京発ジャワ行、2通目1941年上海発パルスワン行、共に船便だが検閲の違いで逓送ルートの違いが分かる上、当時それぞれの都市を支配していた勢力の考え方の違いから同一条件ながら片方は不足料金が発生したカバー、3通目1945年広東省発バタビア行カバー。

2人目)蘭印ファーストイッシューコレクション、1864年キングウイレム3世、本国では横向き図案だがこちらはほぼ正面の図案、本国製造の凹版印刷で切手10×10100面シート、本国と違いすかし無し、専門家によるとプレーテイングも可能との事、1868年には目打入り切手が発行、消印も地名入りと無しが有る。貴重なカバーも紹介(華僑の方の手紙と思われる)。

1870年セカンドイッシューのトライアルカラープルーフとコレクション、凸版印刷で図案のタイプ違いや目打ち違いのバラエテイが有る。

蘭印初期コレクターとして世界的に有名なテイ氏がおられ、バンドン国際展2017年でコートオブオナー展示あり、写真集も出版されている(紹介の某氏も所有)。

3人目)オランダ本国切手帳コレクション、スコットカタログ記載の目打種別についての質問等、回答例として切手帳に関してはミッヘルカタログがほぼすべての種別や額面構成パターンの詳細な記述や図版が有り、ドイツ語が分からなくても参考になるとこの事。

切手のロット入手の質問、回答例として使用済に関しては完セット以外は後に欠けている物の入手が難しい事が有りお勧めしにくい、未使用に関しては高い物がバラ売りされている事も有り値段次第との事。

オランダ専門カタログを日本での入手に関して質問等。

4人目)ポルトガル領モザンピークカンパニー(アフリカ)のコレクション、1911年発行の2匹の像が向き有う図案、加刷違いで2種類のタイプが有る、デットカントリーで不足料切手を入れても100種余りで比較的安価な入手が可能、首都はベイラーで使用済の多くはこの消印との事。

現地持込と思われる日本の絵葉書が使われたポルトガル本国行のユニークなハガキの紹介。

イスラエルのグラスマン氏というコレクターがスタンプレスから始めるコレクションで国際展ゴールドを受賞されているとの事。

5人目)普仏戦争時(1870-71)フランス本国よりアルザス=ロレーヌの紛争地に送られ現地でプロシアの世界初の軍事切手が貼られたカバー、アルザスのマーレンハイムに送られたがこの地はプロシア軍の占領地域だった為不足料切手扱いでこの軍事切手が貼られて配達されたと思われる、

この軍事切手の質問1これはフランス切手かプロシア切手か(答えはプロシア切手)、質問2この軍事切手は単独使用は可能だったか(答えは可能)、質問3カバーとは逆のパターンでこの切手を貼ってフランスに宛てた場合は同じく不足料金が取られたのか(答えはある時期はその可能性が有る)。

本国のモーリー専門カタログにはこの切手に関する詳細な記述が膨大に有るとの事。

6人目)2010年マルタ騎士団の切手貼カバー、切手は2007年と2009年の発行だがマルタ騎士団とは地中海に有るマルタ国とは違い、ローマにあるビルひとつの建物に存在する亡命政府扱いの国家でスコットカタログには非掲載(ミッヘルカタログには掲載)、建物は大使館扱いで観光地にもなっており切手は建物内の専用ポスト投函のみ使用可能(イタリアのポスト投函は不可)、UPUには加盟していないが郵便条約を結んでいる50の国とは郵便を送る事が可能、写真のカバーはその可能国フィリピン行カバー。

7人目)スイス切手貼パリ行き絵葉書について、1900年第2次ボーア戦争時のハガキで裏面はトランスバール共和国初代大統領クルーガー(クルーガー金貨で有名な人物)支持の署名がされた物で当時フランスパリに事務局が在った、同様のハガキはドイツ発も有る様、同共和国は2度のボーア戦争で英国と戦うも最終的に1910年南アフリカ連邦に組み込まれる。

8人目)プロシア切手ラストデーカバーについて、プロシアは他国に占領等された訳ではないが同国が中心になって1861年北ドイツ郵便連合が発足した為、プロシア切手は使用禁止にして共通切手に切り替えた為。

郵便連合発足時には北部と南部で通貨単位が2種類有った為、2種類の額面で色が同じ物同士でほぼ同一貨幣価値の切手が発行されている、ファーストイッシューはルレットで1868年セカンドイッシューは通常の目打入り。

他に公用切手や占領地切手が有り、ドイツ帝国の誕生は1872年であり当時は郵便業務だけの連合で国としてはそれぞれ存在しており、この占領地切手は前記の普仏戦争時(1870-71)に北ドイツ郵便連合のプロシア軍がアルザス=ロレーヌ地域で発行したもの、北ドイツ郵便連合の2つの通貨単位とこの地域の通貨単位が全然違う為本国から切手を持込めなかった為にこの切手は発行された、この切手は無論同地域内と北ドイツ郵便連合地域宛ては使用可能だが、この紛争を支持しない地域では切手として認められなかった場合もある。又この中で一枚だけ未使用の現存数が約10枚と言われる希少な切手も有る。

他に19世紀に発行された占領地切手として南米チリ、ペルー、ボリビアが戦った太平洋戦争(硝石戦争)時にチリがペルーで発行した物が有る。

7人目その2)トランスバール初期切手コレクション、1896年発行でこの時期はゴールドラッシュで鉱物資源が注目された為に第2次ボーア戦争に繋がったと思われる。

9人目)1933年ルーマニア発ツェッペリンカバーブラジル行、フィラテリック物だかカシエと中継印から詳しい航路がよく分かる、10日程で到着しているが当時ルーマニアブカレストはツェッペリンの航路に入って無い為ドイツに持ち込んで発送された物と思われる、基本的に飛行船は大きな湖が無いと寄港出来ない為で、海は波の影響が有る為不可との事。193356日中継印のフリードリフィスハーケンはそのツェッペリンを開発した都市との事。

10人目)アメリカ海軍艦印の紹介、昔の郵趣で魚木先生が説明されていた事も有りアメリカ部会オークションから20通程入手した物だが添付されていた資料より簡単に分類整理が出来る、全部の軍艦に郵便局が有る訳でも無く有っても消印だけというのも有ると思われるが、米海軍艦種類の多さに驚かされた。

以前のJPSオークションでまとまったアメリカ海軍艦印コレクションが落札されたとこの事、コレクター下見をせず安価で入手されたがA4ファイル約50冊分でダンボール箱2個届いたとの事。

最後に例会員より皆様へ連絡が3件有りました。

1件目)912日(土曜日)18時より、AE外国切手大阪例会を梅田生涯学習センターにて開催予定です。詳細は開催が近くなったらまた会員の方にメーリングリストで連絡しますとの事。このような状況ですが皆様の参加をお待ちしております。

2件目)74日より同30日迄、本会員の方が所属されているJPS絵画切手研究会では「絵画切手バーチャル店2020」を開催中との事です。多くの方のアクセスをお待ちしております。

http://philatelic-art.com

3件目)711日(土曜日)1330分より、第14回スタンペディアオークションが開催されます。全日展中止に伴い会場が綿商会館に変更されております。事前入札は勿論、コロナ対策の上多くの方の来場と御入札をお待ちしております。下記画像はクリックして頂く事で大きな画像を見て頂けます。

http://auction.stampedia.net