外国切手研究会 第81回Zoom例会レポート

202221日 2000PM – 22:15PM開催『外国切手研究会 第81Zoom例会』レポートです。参加者14人中7人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・重山優氏)旧中国・外国宛封書190圓時期のカバーを5通紹介、その内4通に貼られいる切手は19451010日発行、蒋介石を描く慶祝勝利紀念だが、同日には蒋首席就職紀念6種も発行されており、中国の正当な後継者は毛沢東では無く蒋介石だという事をアピールする為のプロパガンダ的な要素も含まれていると思われる、1通目は上海よりインドシナ宛航空封書で航空料金が60圓だった短期間の使用例、宛先のSecteurPostalはフランスの野戦郵便局との事。

2通目は上海よりオーストラリア・シドニー宛航空書留封書でカルカッタ経由、貼付切手は20圓不足のはずだがそのまま運ばれている、差出人のUNITED NATIONS RELIF AND REHABILITATION ADMINISTRATION(略称UNRRA)は連合国救済復興機関で国連関係とは別組織。

3通目は汕頭よりオーストラリア・ビクトリア宛航空封書、4通目は上海よりチェコスロバキア・プラハ宛航空書留封書でエジプト経由、5通目は廣州よりアメリカ・ニューヨーク宛航空書留封書でイギリス経由。

2人目・中野健司氏)戦前の朝鮮半島関連消印のマテリアルを3通紹介、1通目は1904125CHEMULPO、現在のインチョンからシベリア経由のデンマーク宛ハガキ、菊切手の朝鮮加刷は偽物との事ですが、到着印はコペンハーゲン219日でこの間に日露戦争が開戦している、3個の中継印は大連に有るロシアの野戦郵便局、大連ハルビン間の鉄道郵便印、ハルビン満州里間の鉄道郵便印で水原明窓著書「朝鮮近代郵便史」183ページ掲載分の兄弟カバーにあたる貴重な一品、JPS郵趣19939月号には同じく水原氏による「ユメにみた東進・南満コンビネーションとは」が寄稿されているので参考にして下さい。

2通目3通目は旧中国・ジャンク船ハガキの日本宛、中継印として現在の中朝国境辺りのCHOSENKAINEIKEIGENの使用例、使われているハガキの情報を調べた所、アメリカの図書館でそれらの情報を掲載している書籍を見つけて解決、数種類に分類できる事が分かったとの事です。

3人目・山崎文雄氏)ポルトガル・19531023日切手発行100周年記念の紹介、描かれている肖像は1番切手と同じくQueenMaria Ⅱでグラビア印刷の美しい切手、異額面同一図案8種類の為か試刷と思われるカラーバリエーションが多く存在するが使用例は存在しない。

正規発行分の使用例もいくつか紹介、国内宛ハガキ、ドイツ宛航空便、カナダ宛書留FDC、ブラジル宛航空便、フランス宛、ブラジル宛ハガキ航空便など、最低額面の50センタボは国内ハガキ料金だが最高額面の20エスクードはその40倍、高額面の自然な使用例は難しいとの事です。

4人目・山本典保氏)ウクライナ関連の背景と切手について紹介、元々はロシアの切手が使われていたが、ロシア革命後の1918年ウクライナとして正刷切手が発行された、ロシア切手に加刷された物、オーストリアハンガリー切手に加刷された西ウクライナ人民共和国の物も発行された。

1920年に非郵便用として14種類の発行が有り、スコットカタログにも注釈が有る、1923年ウクライナソビアト社会主義共和国として正刷切手が発行された、独ソ戦争時の1941年と1943年にはドイツ切手のウクライナ加刷がドイツ野戦局として発行されたが、第二次世界大戦後はソ連に組み込まれる。

質疑応答より、重山優氏よりポーランド切手の西ウクライナ使用例の紹介が有りました。

5人目・槇原晃二氏)オーストラリア・英領ビクトリア1857年より発行されたEmblems Issueと呼ばれる3額面を紹介、名前の由来は切手の4スミに羊、帆船、コンパス、鉱山工業という植民地を象徴した図案が入っている為、最初のリーフはリプリントプルーフ。

印刷所は3カ所で最初はCalvert Printingで版の彫刻も行われた、後にRobinson PrintingGovernment Printing、最初は無目打で発行され、後にルレット、その後はP12が入れられた、シェードや用紙、透かしの分類も有り中々複雑なシリーズ、1861年には1ペニーの4角がネット図案に変更された切手も発行されたが同一シリーズとして扱われる。

カバーも数点紹介、その中で2ペンスのペア貼りで、一見すると69の数字消印に見えるが実は6の鏡文字になっている物が有り非常に興味深い。

3人目・武田幸作氏)トンガ王国・1970年迄のカタログコレクションを紹介、1番切手は1886年発行で当時の国王の肖像、1897年にはトンガを紹介する立派な凹版印刷の切手が発行されたが、この辺りは有名なテイン・キャン・メールの紹介カバー等で見かける事も有る。

トンガ王国といえばやはり1960年代後半より発行された変形シール切手が有名、この辺りも良く揃っており、昔は色物扱いだったこれらは近年人気が高く、当時物の使用済は今では入手困難、紹介のコイン型切手の使用済は首都ヌクアロファ消、FDC切抜かもしれないが貴重なマテリアル。

7人目・吉田敬氏)日本初期の在外国局マテリアルを2点紹介、1点目は1860年パリ発NAGASAKI着カバー、1858年日米修好通商条約後1859年に神奈川、長崎、函館の3カ所が開港したが実際に稼働していたのは長崎だけといわれる、1859年のカバーはプライベートコレクションには存在せず、1860年のカバーは7通確認されており、これはその中の貴重な1通。

2点目は在日アメリカ外国局・HAKODATE局カバー、最初にインターネット上の画像ですが、NewYorkDailyTimes.の記事より、1854717日の記事で日米和親条約が掲載されており、これがハワイの新聞に転載され、それを見たハワイ在住の白人がオーストラリアの船をチャターして、函館か下田しか来れない状況で下田に来たとの事、当時は江戸の大地震や南海トラフ地震の影響で下田は全くビジネスにはならず、その後函館に向かったとの事、その一行が差し出したカバーこそが、第77回例会レポートで紹介した、ニューヨーク・ロバートシーゲルオークションに出品されていた、在日アメリカ外国局・HAKODATE局カバーで1855年の使用例、日米和親条約後最古のカバーと思われる。

受取人のフィラデルフィア、Samuel Wetherillについて、HwichanSong氏よりリンク先を検索して頂けました。https://explorepahistory.com/hmarker.php?markerId=1-A-338

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

第20回 活動報告

特定非営利活動法人 郵趣振興協会(以下「当協会」と略す。)は、その活動について広く伝えるため、3ヶ月に一度レポートを発行し、電子メール等で賛助会員にお伝えすると共に、無料でご掲載いただける雑誌媒体に同一内容を提供しております。同レポートを公式ホームページでも発表させていただきます。ダウンロードしてご覧くださいますようお願い申し上げます。

活動報告対象期間:2021年12月10日~2022年3月3日

第20回活動報告 ダウンロードしてご覧ください。

 

外国切手研究会 第80回Zoom例会レポート

2022115日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第80Zoom例会』レポートです。参加者13人中7人の発表で質疑応答が有りました。11日に開催された第79Zoom例会は新年度の挨拶や近況報告で発表等は無かった為、記録だけとさせて頂きます。

1人目・山崎文雄氏)メイン収集のハワイより紹介、キングカメハメハ3世(SC5-95セントのブラックプルーフは現在5点確認の内1点、参考カタログ値は6000ドル、13セントは2点確認。

13セント8枚ブロックはオフィシャルリプリント(SC11R)、元はホノルルアドバイザーコレクション所有、マルティプルは少なく20面シートは1点のみ確認。

13セントペア”SPECIMEN” 加刷はアメリカンバンクノートで行われたもので希少なマテリアル、”REPRINT” 加刷は(SC11R-S)、やはりマルティプルは少ない。

バンクノートイッシューより、12セント(SC46)カバーの紹介、12セント料金は当時のオセアニア方面の封書料金だがこの切手の単片貼カバーは非常に少なく、確認されている3通はいずれもニュージーランド宛、1通目は紹介者所有のカバー。

6セント(SC333枚貼カバーはアメリカ本土宛3倍重量便、多数貼はやはり少ない。

2人目・槇原晃二氏)オーストラリア・ビクトリアより、Laureateシリーズ貼り海外宛カバーを2通紹介、1通目はスイス宛書留、裏面の中継印と到着印はメルボルン、イタリア・ブリンディシ、スイス・ロカルノ、右上のAmbulantはスイスの移動郵便印、HwichanSong氏よりSwiss Ambulant Post Officeを解説したリンク先を検索して頂けました。https://swiss-philately.co.uk/wp-content/uploads/2017/02/Swiss_Ambulant_Post_Offices.pdf

2通目はロンドン宛、到着印と左上にフランス・マルセイユ経由の書込み有り、参考資料として当時の日本からスエズ経由ヨーロッパへの郵便ルートの図版を紹介、同時期のオーストラリアからも同等のルートではと思われます。

3人目・武田幸作氏)ツエッペリンカバーを2通紹介、1通目はドイツ・ツエッペリン母港フリードリヒスハーフェン1931724日消印だが、その下に押されているのはロシアの砕氷船MALYGIN727日の消印、当時北極探検で使用されており双方が落ち合うプロジェクトだった様、宛先はスマトラ・メダン宛、裏面に914日の到着印、北極からの逓送ルートは不明だが興味深い。

2通目はロシア切手のカバー、レーニングラード1931725日消で現在のサンクトペテルブルク、こちらも1通目と同じMALYGIN727日の消印、受取人のW.J.WIESE氏は探検隊を率いており北極探検で功績を残したロシアの科学者。

4人目・比留間晃則氏)オーストリア・1946年発行アンチファシスト展の有名な不発行切手2種について、内1枚を安価で購入したがこれについての真偽と、小型シートの切抜きに見えるが通常シート以外にも発行が有ったのかを知りたい、質疑応答より本物の田型ブロックを含めていくつかの画像を提示して頂きました、小型シートは発行されておらず、印刷や紙の感じから本物では無いと思われる、相場は約10万円位との事で、この2種は知名度や人気も高い為に昔から偽物や記念品が多く、近年は比較的精巧な物が多く流通しているとの事です。

5人目・北野雅利氏)前記のオーストリア・不発行切手2種は少年時代より興味が有ったが、正規に発行された切手は余り紹介された事が無く調べた所、未使用8枚セットが安価だった為に購入、不発行程では無いが刺激的な図案、使用期間が年末迄と短かった為に使用済やカバーはかなり高価。

6人目・重山優氏)旧中国・アメリカ宛の印刷物カバーを2通紹介、1通目は194668日、上海永寧加刷202枚貼、ハガキを利用しているが50g迄の外国宛印刷物扱いで40圓、参考としてハガキ料金は120圓、封書料金は190圓だった。

2通目は1947630日、蒋介石誕生60年記念200圓貼ラッパーで切手商差出しの料金表、目打の違いで2種類の印刷所製造別製造に分類出来る、参考として封書料金は1100圓、押されている消印の北平は現在の北京で小さく入っている(巳)はその北平市内の郵便局を特定する文字。

質疑応答で、虎頭雄彦所有の北京発日本宛ハガキについて、下部に逓信省の検閲印、中国側で押されたと思われる切手近くの⑤紫印が何か知りたいとの事、例会中には詳しい事は分かりませんでした、情報やヒントをお持ちの方がおられましたら、教えて頂ければ幸いです。

7人目・吉田敬氏)ゼネラルを続けている紹介者ですが、世界カタログに掲載されていない切手にも興味が有り、いずれも値段や全容は切手商のカタログ等しか無く色々と難しい面が有るが、最近入手した2組を紹介、1点目は1898年に米西戦争後の独立派が発行したローカル切手、電信切手や印紙も発行されていた、マルティプルや使用済は少ない。

2点目は1948510日発行エルサレムのローカル切手、514日はイスラエル建国宣言、515日は第一次中東戦争開戦日、ヘブライ語の記述からもイスラエル側が用意した切手と思われる、前所有者の独自研究も入ったロットでエラーや定常変種、切手商の鑑定書も含まれていた。

他の最近の入手品では、状態良い蘭印の1番切手、アメリカのルーズベルト5セント普通切手に加刷したハワイ諸島発見150年記念切手フルシートなど、この切手はハワイと郵趣窓口でしか販売されなかった。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

南方占領地切手コレクターズクラブ 第20回ZOOM例会レポート

南方占領地切手コレクターズクラブ 第20回ZOOM例会レポート

2022年1月26日水曜日 8:00PM~10:00PM 開催の『南方占領地切手コレクターズクラブ』のレポートです。

以下、話題に上がったマテリアルについて順番に書き記していきます。

1) 北セレベス 航空外信用12.5cハガキ(JASCA  A9)

セレベス島は中央部に3千Mを超す山々が連なり、陸路での北と南側の行き来は難しかいです。そのため、北セレベスと南セレベスで別々の錨加刷がされました。本品の農耕3.5cの北セレベス加刷(但し日の丸加刷漏れ)は珍しいものです。更に、台ハガキの航空外信12.5cは、今まで未見です。残念ながらカット品ですが、いつの日か完全品が現れるでしょうか?

2)スマトラ 多切手貼封筒

スマトラではしばしば本品のように様々な切手を貼った封筒があります。本品は数の少ない30cent航空切手、東海岸加刷の橙加刷やライラック加刷といった希少な切手がたくさん貼られた封筒です。

3)フィリピン セブゲリラ切手

戦時中、日本軍はフィリピン全地域を占領したのではなく、主要都市を点々と占領したにすぎませんでした。それ故に、ミンダナオやセブのような日本軍の影響が少なかった地域では、ゲリラ活動が盛んで、ゲリラの活動を宣伝する「ゲリラ切手」が作られました。ミンダナオゲリラ切手はラベルの要素が強かった一方で、セブゲリラ切手は郵便切手の要素が強く、実逓便も見つかっています。額面は2,4,16,20cの4種で、特に16,20cは片面に4枚ずつ、両面で合計8枚の切手が印刷されている大変興味深いシート構成です。

4)スマトラ 農耕透無2.5c タパヌリ日章旗と東海岸大日本枠付き赤加刷

タパヌリ日章旗と東海岸大日本枠付き赤加刷がされた切手のオンピースです。日専未記載の新発見品です。蘭領の農耕切手と旧女王切手は透しの有無で分類が可能ですが、透無切手は発行年が早かったので数が少ないです。

5)スマトラ サイン加筆??

スマトラでは各州で多種多様な加刷がされました。特にパレンバン州では「日本占領下で売った切手と、それ以前に入手された切手との区別をつけること」の通達が出され、ハンコや指輪・サインなどが切手に押されて販売されました。今回発表されたのは、サインのように赤鉛筆や万年筆で切手に加筆がなされたものです。いずれも小包送達票にされており、何らかの意図があって加筆されたのか、それともただの汚れなのかは、これからの解明が待たれます。

6)フィリピン 大東亜戦争一周年記念切手FDC

フィリピンでは全ての郵便局で各種の切手が初日に発売されたのではありません。

例えば大東亜戦争一周年記念切手はManila以外ではBaguio、Davao、Iloilo、Legaspi の4局しか初日に発売していません。ただし、Bulacan局のFDCが存在します。これは正式発売局ではなく、コレクターがManilaで発売された切手を持ち込み、押印をしてもらったものと思われます。

7)北ボルネオ 軍事郵便

南方からの軍事郵便では現地製の軍事郵便はがきも使われました。各地で調整された軍事郵便はがきは収集の対象になっていますが、北ボルネオのものが今回発表されました。これは特有の透かしが見られます。どこの印刷所製でしょうか。

8)マライ サラワク宛てラッパー

マライの印刷物料金は2cでした。稀に印刷物ラッパーがみられますが、本品はそのうえ北ボルネオのサラワク宛てとなっています。中の印刷物が失われていることが残念でなりません。

 

話題は主に以上でした。

次回は2月23日 午後8時から開催予定です。

 

[スタンペックスジャパン2022] 実行委員募集のご案内

2022年3月に開催を予定している全国切手展「スタンペックスジャパン2022」について、例年のように、展覧会の運営にあたり実行委員を募集しますので、ご応募ください。

募集:全国切手展「スタンペックスジャパン2022」実行委員

募集日程・人数・内容
2022年3月24日(木)12:30-16:30 4名 設営
2022年3月27日(日)12:00-17:30 1名 会場監視員
2022年3月29日(火)12:00-17:00 4名 撤去・発送
*なお、実際の集合時刻・解散時刻は若干変更になる可能性がございます。

謝礼:当協会の謝礼制度により、半日に相当する5,000円を謝礼としてお渡しします。

応募方法
電子メールで当協会までご応募ください。info@kitte.com
なお、切手コレクションを取り扱いますので、ご自分でリーフ作りをした経験のある方に限らせていただきます。

選考
実行委員会で随時選考を行い、結果を通知します。

 

南方占領地切手コレクターズクラブ 第19回ZOOM例会レポート

南方占領地切手コレクターズクラブ 第19回ZOOM例会レポート

2021年12月22日 8:00PM~10:00PM 開催の『南方占領地切手コレクターズクラブ』のレポートです。

今回は1月8日開催のスタンペディアオークションにEX-HASHIMOTOの泰緬鉄道軍事郵便所はがきなどの話題などで、盛り上がりました。

以下、話題に上がったマテリアルについて順番に書き記していきます。

1)ビルマ 1c農耕 縞紙疑惑品

ビルマの農耕切手には縞紙に印刷されたものがあります。縞紙の存在する額面は限られており、1cでは未発見です。本品は一見すると縞紙ですが、出品された画像の具合で縞紙に見えると思われます。ネットの画像は画像処理・加工がしばしばされているので注意が必要です。

2)マライ 無加刷切手使用

マライには特印を使った記念品が各種あります。本品は無加刷ケランタン切手を貼りつけているものです。マライの一部の州では占領中に無加刷切手が郵便に使用されていましたが、ケランタン州では無加刷切手の使用は確認されていません。

3)マライ 砂川印

マライ・ケランタン州の砂川印切手は一部で人気があり、額面によって価格の上下が激しいです。本品は人気の額面である30c/4c切手であり、状態は悪いですが希少なものです。

4)アンダマン・ニコバル 模造

アンダマン・ニコバルでは占領後、インド切手に新額面を加刷した切手が作られました。しかしその数は非常に少なく、南方切手の中でも大珍品の部類です。珍品の宿命として、偽造品があります。本品は台切手からの模造品です。

話題は主に以上でした。

次回は1月26日20時から開催予定です。

外国切手研究会 第78回Zoom例会レポート

20211218 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第78Zoom例会』レポートです。参加者8人中6人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・山崎文雄氏)前回で紹介したカナダ・スモールクイーンイッシュー低額面切手の続編、3セントについて、今回も自分のコレクションと過去のオークションカタログを資料にして紹介、当時の国内用基本料金だった為、紙や目打、シェードなどのバラェテイが非常に多く、それらを整理した資料を見てもその多さが分かる。

Sc#37はモントリオール印刷でシェードはローズ系、Sc#41はオタワ印刷でシェードはバーミリオン系、スコットカタログでも別ナンバーになっている、シェードの分類は基本未使用だが、余りにも種類と組合せが多く難しい所が有る、使用済は一部のバラェテイを除き比較的安価な為、消印のタイプ違いを含めて色々と楽しむ事が出来る、カバーも2通紹介、共に差出人が印刷されている封筒で白封より人気が高い、書留切手が貼られたカバーの方は有名なシンガーミシン社の物。

過去のオークションカタログより銘版付きブロックを見ると、モントリオール印刷は100面シート、オタワ印刷は200面シートだったと思われる、又オタワ印刷では無目打も有るようです。

2人目・槇原晃二氏)第34回前編、第59回で紹介した1946年インドネシア独立1周年記念切手の続編を紹介、以前の説明と重複しますが、日本の敗戦後1945817日スカルノ大統領が独立を宣言したが、再植民地化を狙うオランダとの間で1949年迄戦争が続き、その間2つの郵政が存在する事となった。

この時期のジャワ切手は大きな分類として4つに分けられる、日本の南方占領地切手やオランダ領東インド切手を無加刷で使用した例、それら切手の国名をペンなどで消した切手、それら切手の国名抹消とインドネシア共和国名を加刷した切手、インドネシア共和国の正刷切手は1946年に発行され、独立1周年記念切手は全13種類が発行された。

分類の基本は用紙やシェード、目打の有無となる、20面シートで発行されており、マージンには数字とプレートのアルファベットが入っており、プレートABが存在する。

50Senはシート内にOpen SClosed Sと呼ばれるバラエテイが存在しており、紹介の15枚ブロックではその内11枚がClosed Sになる。

3人目・武田幸作氏)1986年発行アンチグア・バーブダより隣国のセントキッツ・ネイビス宛公式FDCを紹介、裏面には到着印も有る、オリジナル切手は522日発行だが、BARBUDA MAILと加刷されて828日に発行されたもの。

アンチグア・バーブダとセントキッツ・ネイビスは共に切手収集家には御馴染みだが、一般の方には余り知名度が無いカリブ海の小国で、人口も少なくFDCでも書留実逓便は少ないと思われる、セントキッツ・ネイビスは2年程前にセントクリストファー・ネイビスと国名変更されているが、以前もその国名であった。

4人目・吉田敬氏)ヨーロッパの雑誌より寄稿を求められて執筆途中の記事を一部紹介、内容的は日本とスイスとの郵便の歴史、非常に興味深い紹介でしたが、発表前でもあり校正等も掛けていないとの事で、冒頭部分の紹介だけとさせて頂きます。

5人目・中畑智文氏)今年1年を振り返り、前回とは対照的に残念だった入手品を紹介。

1件目、海外オークションで半分見えない状態で出品されていた3Sen連合ハガキ、YOKOHAMAの白抜抹消印が2個とLONDONE.Cの到着印が確認出来たが、下半分が見えない状態で出品されていた、左側の抹消印の下に切手が貼付された書留使用例ではと思い落札したが、日付印代わりに抹消印が押されていた使用例だった。

2件目、イギリス・レッドペニー6枚貼のケープホープ宛カバー、よく見ると右下の1枚はコーナーレターが合っておらず、5枚ブロック+1枚のカバーだった。

3件目、イギリス・最初の凸版切手6ペンスのカバー、カナダ宛で裏面にも到着印が押されており、比較的状態も良いと思ったが、折り畳み封筒が切られた状態のカバーだった。

6人目・重山優氏)旧中国・暫作参分の東川加刷と呼ばれる切手について、台切手に四川省重慶で加刷された物、加刷の出来が余り良くなくてバラエテイがカタログにも多く記載されており、紹介者もいくつものバラエテイを所有、文字間隔で第一次と第二次と分類されるが、実際には何方にも取れる加刷も多い、第一次は加刷が比較的スッキリ見えるが、第二次は加刷がボヤけて見える。

大東版と呼ばれる台切手にも2種類有り、透かし有りと無しが有る、透かし有りには第二次しか存在しない、シェードも透かし有りは比較的薄い緑、透かし無しは比較的濃い緑。

この暫作参分は伍分より八分に封書料金が値上げされた為、その差額用に発行された物だが、発行時には既に封書料金が値上げされて本来の使用目的には使えなかったり、当時の中国には切手ブームが有り未使用で保管された事などで、使用例や使用済は多くない。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

富士鹿切手発行百年記念切手展のご案内

『郵博 特別切手コレクション展』は、フィラテリーの普及および啓発を目的として、テーマを厳選し、2017 年度より、郵政博物館で年数回開催している一般切手展です。

郵政博物館で配布する目録(展示作品解説パンフレット)につきましては、PDF版も完成しておりますので、ダウンロードして参観のご参考にしてください。[ ダウンロード ]

展覧会詳細

展覧会名:2021年度 第4回 郵博 特別切手コレクション展
企画展名:富士鹿切手発行百年記念切手展
展示団体:郵趣振興協会

開催場所:郵政博物館(東京スカイツリータウン ソラマチ9F)
主催団体:郵政博物館、(特非)郵趣振興協会
後  援:世界切手カタログ・スタンペディア株式会社

郵政博物館における展示期間
2022年1月4日(月) 10:30-16:30
2022年1月16日(日)10:30-16:30
*最終入館時刻は閉場30分前です

クラウド展示の実施期間
2022年1月4日(月) -2022年1月16日(日)