外国切手研究会 第74回Zoom例会レポート

20211016日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第74Zoom例会』レポートです。参加者11人中8人の発表で質疑応答が有りました。

お知らせ)前回紹介させて頂いた、西ドイツ・気送菅郵便カバーですが、これは気送菅郵便物では無いとのコメントを頂きました、訂正とお詫びをさせて頂きます、以下その内容です。

このカバーは気送管郵便によって送られたのではありません。「ベルリンでの郵便為替契約は気送管郵便で送りましょう」というような意味の機械標語印が日付印として使われているだけで、普通の郵便物です。「PschA」は「Postscheckamt(郵便為替振替局)の略。「Sch A」は「Scheckamt」のことでしょう。

1人目)英領ギアナ・初期の切手コレクションを紹介、1856年発行の1セント切手が世界最高額の切手として余りにも有名だが、1850年に1番切手を発行した同国は1852年より普通切手の図案に1913年迄は帆船、その後1931年迄は帆船と国王の図案が一部の暫定切手以外に延々と採用されていた。

1889年より発行された加刷切手は台切手が存在しない切手で、加刷に見える2色印刷切手、1890年にはこれら1ドル、2ドル、3ドル、4ドルの高額面切手に対して、1セントの低額面加刷を行った切手が発行された、一説には高額面切手の在庫を減らして価値を高め、コレクターに購入してもらう目的だったとも言われている。

2人目)JAPEX 2021に出品予定の作品、「米国普通切手1847-1888」の紹介、局長臨時切手、1847年発行の1番切手より、1888年迄発行されたラージバンクノートシリーズと呼ばれる切手迄の5フレーム作品です、ポイントとなる点や注目のマテリアル等を解説して頂けました、タイトルリーフのみ紹介させて頂きます。

3人目)19世紀の英国英領関係のテーマチック的な作品を構成整理している中のリーフを紹介、185671日アメリカ・ニューヨーク発、713日英国・リバプール経由、サイレンセスター着、アメリカ切手24セント分貼付、データを整理中だがアメリカからの適正料金貼付なのか、ニューヨーク19の表示印の意味などが分からない、質疑応答より同様の表示印が押された24セント分貼付カバーを2通紹介して頂けました、おそらく交換局で押された印鑑で、19の意味は16セントが英国迄の船舶料金で3セントが英国国内料金、合計19セント徴収済を示す印、5セントがアメリカ国内料金で合計24セントがアメリカ英国間の基本料金だったのではとの事です。

先日某オークションでイギリス・ペニーブラックを数点落札、手持のマテリアルと合わせて再構成した34版のコレクションを紹介、ペニーブラックは1版より11版迄存在し、1版は更に2つに分類出来る為全部で12の版が有る、この34版はアピールポイントが少なく展開が難しいとの事ですが、4版の逆透かしや”D”のダブルレター、Manchesterの特徴的なマルタ消印なども有り、仮貼り状態と御謙遜されてますが、コンディションも含め素晴らしいコレクションです。

4人目)1927年ラトビア発、日本宛絵葉書の紹介、差出地のKRIMUNASGoogleで調べた所、首都からも離れており特に何も無い場所だった、絵葉書写真のLiepajasも調べた所、バルチック艦隊の母港の一つで、日露戦争時にはこの港から日本海に向けて出航していたとの事で、意外な関連性を発見した、中継印のCHOSEN SHINGISHU(新義州)は中朝国境の街で当時は大陸との窓口のひとつだった、この欧文櫛型印は自分が所有していたマテリアルのとは明らかに櫛の長さが違い興味深い、不足扱になった理由や新義州から京都へのルートなども調べたいとの事です。

5人目)最近入手したカバーを紹介、1通目は以前より収集しているベルリン救済強制切手Notopfer Berlinの仏占領地区版を貼付したカバー、質疑応答よりこの切手に詳しい参加者より情報を提供して頂けました、仏占領地区=ブュテンベルグで使われた救済強制切手は3段階に分けられ、最初は米英占領地版をそのまま使用しており期間は非常に短い、その次は米英占領地版に赤色加刷したものを使用、加刷文字のバラエテイが有り5つのタイプに分類出来る、最後に黄色の正刷切手が発行された、シェードのバラエテイで3つのタイプに分類出来るとの事です、Notopfer Berlinに関しては以前にも紹介させて頂いた下記サイトが概要を知るのに良いかと思われます、ありがとうございました。http://online.fliphtml5.com/immj/qvuq/#p=1

2通目は2010年ドイツ・切手の日切手のFDC、ヘリゴランドに興味が有り思わず入手した、ハンブルグから各島を経由してヘリゴランドへも向かう高速汽船を描くポスターの図案、押されているヘリゴランド局の消印は切手の船を描いているように見えるが、マストの位置と煙突からの風向きなどから2隻の船の様にも見える不思議な図案。

6人目)前回紹介の海外オークションに出品されている旧中国カバーについて、非常に興味は有ったが購入は見合わせた、現在も販売中との事、理由として表面裏面共に大きな私印が押され鮮明な昆明局の郵便印より目立っている、裏面の中継印や到着印が不鮮明で日付が読めない事、他の方も同じ理由で入札されないのかもしれません。

自分のコレクションより旧中国・価格表記郵便について、1938年上海より日本・大阪宛だが、カバー左側に押されている価格表記の印が完全に日本語、本来中国語では保價信函でカバー上部の印刷、長い間違和感が有ったが最近その回答を発見した、1982JPS郵趣に鈴木孝雄氏が書かれている記事の中に、上海事変の時期4ヶ月だけ日本側が運営した中国局の話が有り、押されている消印も文中の上海第5局そのものだった、所有している関西郵趣機関誌にも同様の記事が有り、先人の貴重な情報を再確認したとの事です。

7人目)JAPEX 2021に出品予定の作品、「A History of Modern France 」フランス植民地帝国の盛衰の紹介、これまで伝統郵趣作品を中心に出品してきた紹介者が、初めてテーマチィク作品として出品との事、マテリアル選定、構成のポイント、伝統郵趣とは違ったアピールポイントなどを解説して頂けました、タイトルリーフのみ紹介させて頂きます。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。