外国切手研究会 第76回Zoom例会レポート

20211120日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第76Zoom例会』レポートです。参加者8人中6人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)戦前朝鮮半島の第三種郵便使用例を紹介、田沢5厘切手貼付新聞帯封だが私的には初見との事、釜山日報は当時の朝鮮半島の3大日本語新聞のひとつ、消印は不鮮明だが裏面に報恩支局と発送人印が押されている物が有り、おそらく報恩郵便局と思われる、5部共1937年使用例だが新聞発行日と消印が違っており質疑応答より、日刊新聞だが必ずしも当日発送されていたのでは無かった、釜山の本社から報恩支局に輸送されてから発送された為にズレが有る、必要な号だけ受け人が取り寄せた現在のバックナンバーサービスの為、マテリアルの価値を高める為に発送日と関係無い新聞と帯封を組合わせた可能性などが推測されました。

2人目)第74回例会で4人目の方が発表された、1927年ラトビア発日本宛絵葉書に興味が有り、少し調べて分かった事を紹介、差出地のPRIMULASはこの地方の中心地GAVEL(エルガワ)から少し離れた場所でポーランド領時代も有りミタウという名称だった、シベリア半島経由で朝鮮半島に送られたと思われる、ラトビア時代のPRIMULAS2種類の消印が使われており、参考資料によれば日本の櫛型印のようなタイプと櫛の無いタイプが有った、開局は1920217日だが、郵便局としてはロシア時代の1913年開局で当時はクールランドという地方名だった、現在も入手可能な文献も2種類紹介。

3人目)沖縄・1953年発行の文化財シリーズ、高額切手のカナダ宛公式実逓FDCを紹介、このシリーズは低額面3種と高額面5種が分けて発行されている、当時の沖縄は本土の円とは貨幣価値の違うB円が使われてお、1ドル360円時代にB円は120円だった、この時代カナダ宛航空便がB円で30円の為かなりの超過料金だった事が分かる、沖縄切手に詳しい参加者からもこの100円切手の実逓FDCは始めて見たとの事、封筒の中には写真と簡単な手紙も入っており差出人と受人共に収集家と思われ、ドルとB円交換レートの件も書かれていました。

4人目)郵趣用語的な話題について、アメリカのドイツ切手収集家団体が発行している、ジャーマンポスタルスペシャリスト月刊誌10月号より新連載のGermanColonialPhilately、かってドイツが持っていた植民地の郵便についての記事について、日本でもForerunnerという用語は先駆けや先駆者という意味で、この場合植民地の切手が発行される以前にドイツ本国の切手が使用されたという事に使われるが、Misfeatureについては英語では適合するぴったりの訳が無いが、植民地の切手が発行された後にも関わらず、ドイツ本国の切手が使用する事が出来た同時平行使用に使われる用語と紹介されている、1993年発行JPS水原明窓氏著「朝鮮近代郵便史」の朝鮮加刷切手にMisfeatureの記述が有った事を思い出し繋がったとの事です。

英国スタンレー・ギボンズ社が所有している、世界最高額の1856年発行英領ギアナ1セント切手の話題、同社は今年のサザビーズオークションで約9億円で落札したが、現在Showpiece社を通して区分所有権を日本円で約113千円で8万口販売しているそうです、既に約5万口は販売済みとの事、購入者は自分のデジタル署名入の画像を利用する事が可能で、100口?購入された方にはレプリカを進呈、さらに500口?以上購入された方には、ロンドンのスタンレー・ギボンズ社に来店時にはプライベート・ビューの権利も有るとの事です。

5人目)スイス初期では国際展で出品入選している紹介者が、同国が第1次と第2次世界大戦時に発行し郵便物に付加的に貼られた国防・戦意高揚の切手に近いラベルについて紹介、第1次より第2次の方が種類やバリエーションが圧倒的に多い、スイスではこのラベルだけの分厚いカタログも発行されており、オンカバーなども同国のオークションではよく見かけるとの事。

スイス自体は国際機関も有る中立国で連合国側にも枢軸国側にも加担していないが、第2次大戦時にはドイツの傀儡政権が樹立されたフランスやドイツに併合されたオーストリア、ドイツ本国、イタリア本国と枢軸国側に囲まれた形で大半の国境を接しており、ドイツの圧力には屈せざるを得なかった、枢軸国側の領空侵犯領空は黙認し、対して連合国側の領空侵犯領空には撃墜をした為に連合国側から空襲を受けた都市も有った、このような背景から自国を守る意識が劇的に上がり、多くのラベルが段々と直接的な図案になり発行されたと思われる。

6人目)アメリカの大統領差出スタンプレスカバーについて、紹介のカバーはアイゼンハワー大統領差出だが、大統領就任者とその夫人は任期中は勿論、任期が終わった後でも基本的に郵便は無料となっている、但しこの制度を乱用されないよう後年は国会議員も含め、違反者には罰金制度も出来たとの事です。

質疑応答より、韓国・李承晩大統領差出の郵便物を紹介、大統領官邸景武台よりアメリカ宛だが、当時の適正料金71ファン切手が貼られており、現役大統領でも有料だったようです。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。