外国切手研究会 第31回Zoom例会レポート・前編

20201121日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第31Zoom例会』レポート前編です。参加者12人中7人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)前回の続編で、ハワイ王国・1871年シリーズとアメリカ・1870年シリーズ、共にバンクノートイッシュー切手のコンビネーションカバーを紹介。

1通目、ハワイ王国6セント切手、アメリカ6セント切手と2セント切手貼、187476日ホノルル発、サンフランシスコ中継、カルフォルニア・サンディエゴ宛、書留使用そのものが少ない上、この”REGISTERED” 印が押されたカバーは非常に少ない。

アメリカの書留料金はこの時期目まぐるしく変更されており、この8セント料金は187411日から1875630日の期間。

2通目、ハワイ王国6セント切手2枚、アメリカ5セント切手と10セント切手貼、ホノルル発、1872116日サンフランシスコ印、書留2倍重量便でハワイからの料金として12セント分の切手が貼られているが、当時アメリカの書留料金は重量に関係なく15セントだった、この料金期間は短かった為使用例はやはり少ない。

3通目、ハワイ王国6セント切手、アメリカ3セント切手2枚貼、ホノルル発、1878813日サンフランシスコ中継、スコットランド宛、この時期アメリカからイギリス宛料金は5セントで、187571日より6セントから値下げされている事に気が付かず使用されたのと思われる。

4通目、ハワイ王国6セント切手、アメリカ6セント切手貼、18781125日ホノルル発、サンフランシスコ中継、スコットランド宛、3通目のカバーと差出人受取人が同一でこちらも1セント分多く貼られている。

5通目、ハワイ王国6セント切手、アメリカ5セント切手貼、1881826日ホノルル発、サンフランシスコ中継、スコットランド宛、これも差出人受取人が同一でアメリカからイギリス宛正規料金の5セント切手が貼られている。

ハワイ王国がUPUに加盟し、他のUPU加盟国に直接郵便を送れるようなるのは188211日で、コンビネーションカバーとしては比較的最後の時期の使用例。

2人目)前回他の方が発表された、南マルク共和国の切手の件、ボーガスやシンデレラ切手との事で郵便使用例も無いとレポートしましたが、念の為eBaydelcampeの海外オークションサイトを確認した所、未使用はそれなりに安価で販売されていましたが、実逓便やFDC、使用済や注文消は無さそうでした。

朝鮮関係や満州関係は興味深い発表が多く、レポーターが確認の為に使っている書籍を紹介。

JPS「朝鮮近代郵便史1884-1905」水原明窓著は現在でも一級品、「大日本及び全属国の郵便切手」トレーシィ・ウッドワード著翻訳版は、製造面中心の資料で余り使う事は無いですが、当時の欧米人向けの日本・朝鮮・台湾の記述はそういうものかと思いました。

よく使う書籍は新潮社のムック本、日本鉄道旅行地図帳の朝鮮台湾編と満州樺太編の2冊、10年程前の発売で定価は680円、郵趣でも紹介されてました、本来は鉄道関係の書籍ですが当時の地名で詳細な記述が図版と共に多く、第29回で発表の有った、信濃/村井(明治401020日)発、平壌(401025日)、韓・漢江坊(401027日)、龍山(401028日)、4個の消印が押されているハガキなどは京城(ソウル)部分の拡大図で位置関係が分かりやすいです。

特に国境辺りの関係が把握しやすく、多くの方が使っておられると思われるGoogleMapは道路の図版が中心で、当時の郵便を運んでいたと思われる鉄道路線図は載っていない為、鉄道郵便関係の資料としても参考になると思います。

3人目)中国占領地・華北郵政切手カバーの紹介、1945815日(日本の終戦日)発行とされる切手、宛先のNORWICHIを自分のメイン収集であるイギリス宛と思い購入したが、じつはアメリカ宛だった、(194511月)天津発、上海とニューヨーク中継、19451224日着。

中国関係に詳しい方の説明によると、アメリカ宛郵便料金の詳細は分からないが、こういった戦後使用は有るとの事、上海経由も正しい運用で、決して悪く無く良いマテリアルとの事です。

同じ出品者から購入した、中華民国のハガキと切手に加刷した華北郵政の青島発、天津宛、文面の記述から1944216日使用例、ドイツ語の記述だが受取人住所を中国語読みで書き足されている(28th Road →28路)、こちらも良いマテリアルとの事です。

4人目)韓国で開催されている、2020年大韓民国オンライン切手展の紹介。

https://stampex.kr/

2020 대한민국 온라인 우표전시회

今年になっていくつか開催されているオンライン切手展ですが、非常に凝ったHPになってます、現在VR表示以外ではタイトルリーフが掲載されていない点は残念で、ハングル表記が日本人には分かりにくいのですが、こちらは有る程度のGoogle翻訳が可能です(サンプル画像も翻訳した物です)、国内展ですが素晴らしい作品も数多く出品されており、紹介者が出品作品のタイトル等を日本語訳して近日発表して頂けるかもしれないとの事です、1222日迄開催予定ですが、是非一度アクセスしてみる事をお勧めします。

前編は以上で後編に続きます。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問等有る方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。