外国切手研究会 第35回Zoom例会レポート・後編

20201219日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第35Zoom例会』レポート後編です。参加者11人中5人の発表で質疑応答が有りました。

5人目)前回の続きで、南方占領地の台切手から英領マラヤの部分を紹介、英国はこの地域を直轄の海峡植民地(シンガポール、ペナン、マラッカ、現オーストラリア・クリスマス島、ボルネオ島ラブアン)と、マライの首長国とに分けて植民地経営を行っていた、首長国に関してはそれぞれ独自の切手を発行しており、宗主国の王を描く必要は無かった。

海峡植民地ではジョージ6世が台切手となっており最高額面は5ドル、印紙としても使われていた、地方加刷と統一加刷が有り、大半は台切手の額面を生かしているが、一部に料金改定加刷が有る。

以下首長国別、ジョホール州、ケダー州、ケランタン州、ネグリセンビラン州(クワラルンプール)、パパン州、ペラー州、セランゴール州、セランゴール州、トレンガヌ州、マラヤ・マレー州連合、以上9の地域を紹介。

2人目)前回の続きで、ハワイ宛インカミングカバーを紹介。

1通目、189574日、アメリカ発・コロンブス博覧会5セント記念切手貼カバー、インド・カルカッタに転送されているが、受人が尋ね当たらずデッドレター、差出人戻しとなっている、裏面には多くの印が押されており情報が読み取れる。

2通目、1893812日、ニュージーランド・オークランド発カバー、ハワイには12日で到着している。

3通目、1895827日、ハイチ・ケープハイチン発カバー、ニューヨーク、サンフランシスコ経由、サンドイッチ諸島宛、ハイチ発のカバーは希少。

4通目、最近のオークションカタログより、切手付封筒にサージュ切手とセレス切手が貼られた1891年フランス発カバー、紹介者も入札されたが残念ながら落札できず。

5通目、最近のオークションカタログより、切手付封筒に6枚の切手が貼られた1894年アルゼンチン発カバー、南米発のカバーは少ない。

6通目、最近のオークションカタログより、1891年オランダ発ロンドン経由カバー。

5人目)昭和2076日、朝鮮・京城より切手趣味社の吉田一郎に宛てられた興味深いハガキを紹介、尚このマテリアルは紹介者の所有物では無い為、画像加工していますが問題が有れば削除させて頂きます。

裏面の文面より、74日付けの新聞に戦時下の事情により、朝鮮独自の切手を差し当たって五銭十銭の2種類の切手を発売するとの速報を伝える内容になっている。

この切手が台湾地方切手のような物が予定されていたのか非常に興味深い、当時の朝鮮には3社の新聞社が有ったとの事で、その辺りを調べてみるとの事でした。

おしらせ)前回紹介の、1973年日本発東ドイツ宛の不足料扱い私製ハガキの件ですが、質疑応答の解説が間違っているとの事で、とても詳しいコメントを頂いたので紹介させて頂きます、有難うございました、前回の修正とさせて頂きます。

数字はフラン・サンチームではありません。フィラテリストマガジン誌№13、p.62をご覧ください。
中ほどに一覧表がありますが、1973年は第4期(1966年1月1日〜1975年12月31日)に当たります。
この間は、差立て国の通貨で、分母は船便(平面路便)の最低書状料金額、分子は不足額の倍額、を分数形式で表示します。
配達局は自国の船便(平面路便)の最低書状料金額に分数をかけ合わせれば徴収額が算出できます。

このハガキの場合、1973年4月24日赤坂局引き受け、4月26日東京国際局中継。外国あて船便ハガキの未納便。
1971年7月1日〜1976年1月24日の日本の外国あて船便の最低書状料金は50円。
1966年7月1日〜1976年1月24日の日本の外国あて船便ハガキ料金は30円。

だから、分母に50()、分子に(30円×2)=60()、と書かれているのです。
一方、東ドイツの1971年7月1日〜1990年6月30日の船便(平面路便)の最低書状料金は35pf
そこで、35pf × 60/50=42pfが東ドイツが徴収すべき金額です(丸め方は不明ですが)
しかし、そのような数字が見られないので徴収はしていないようです。

私の推測ですが、手書きの「T」は赤坂局がとりあえず注意喚起のために書いたもの、「T60/50」は東京国際局で押した(書いた)ものと考えています。
なお、未納不足便の郵便物が何であろうと分母は船便(平面路便)の最低書状料金額、つまりこの例では「5()」というのは変わりません。だから分母の「50」は手書きではなく組み込みになっているのです。分子だけが変わるからです。ちなみにp.70に分母を間違えた例をわざと入れています。

フィラテリストマガジン誌№13のこの記事には制度変更の理由なども書きましたので、ぜひとも前後もお読みください。手前味噌ながら、この記事は大変中身が濃いと同時にいろんな要素を組み込んでいますので、日本に限らず、どのような国を集めていようときっと役に立つはずです。(ちょっと宣伝させていただきました…笑)

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。