外国切手研究会 第45回Zoom例会レポート・後編

2021227日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第45Zoom例会』レポート後編です。参加者11人中6人の発表で質疑応答が有りました。

3人目)ハワイ王国宛インカミングカバーを紹介。

1通目、189793日、日本・大阪発、94日横浜経由、923日ホノルル着、小判型2銭郵便封皮にUPU小判切手1銭と2銭が貼り足されたカバー、サンフランシスコを経由せずダイレクトにハワイに送られたと思われる。

2通目、189876日、アメリカ・サンフランシスコ発、713日ホノルル経由、アメリカ最初の記念切手、世界コロンブス博覧会と2番目の記念切手、トランスミシシッピ博覧会の記念切手が貼られたリターンレセプト書留カバー、郵便料金は20セント必要だがこのカバーは18セント分しか貼られていない、不足料金を取られた形跡も無く2セント分は現金で支払われたかもしれないが、詳細は調査中との事、情報も募集中との事です。

3通目、1900130日、ドイツ・ワイズバーデン発、310日ナアレフ着、薄い印影も有るが両面に多数の中継印・到着印が押されている、ホノルルは見当たらずワイルクの中継印が押されている事から、サンフランシスコより直接ワイルクに送られた可能性も有るハガキ。

番外編 、第36回で紹介したハワイ王国・1893年発行暫定政府の赤色加刷切手、スコットNo531セントを例にした、偽加刷についての解説、POST OFFICE IN PARADISE – Provisional Government Issue: Beardsley Quantity Analysis (hawaiianstamps.com)

4枚の拡大図を提示して頂きましたが、画像1枚目左側は要鑑定、右側は偽加刷、画像2枚目左側は本物、右側は偽加刷との事です、簡単な判別方法として、”Provisional” の最初の”i” の文字の下部セリフが左側だけで右側には無く、2番目の”i” の文字の下部セリフは左右に有るとの事。

昔から偽加刷は存在し、定常変種やエラー加刷になると評価が大きく変わる為、鑑定書は取った方が良いとの事、最近の海外ネットオークションにも偽加刷は出品されており、安易に飛び付くと高価な勉強代になるとのお話でした。

4人目)最近力を入れているオランダ領から、オランダ領東インドの版欠点コレクションを入手し整理途中ながら紹介。

第一次世界大戦後より1930年代頃に使われていた数字図案切手1/2セントでは、オランダ語で非常に細かく分類と書込みがされており、分かりやすい例として額面文字”CENT” の”E” に欠点が有る切手など面白そうなロットでした、南方占領地に詳しい方より版欠点に詳しいカタログも紹介して頂き、他の切手も含め色々と調べて行きたいとの事です。

蘭印関係は本例会でも話題になる事が多く、以前のレポートより、AMERICAN SOCIETY FOR NETHERLANDS PHILATERY を今一度紹介しておきます。http://www.asnp1975.com/

このサイトのBackIssuesでは1975年から始まる過去の会報を見る事が可能です、英語で書かれている件も有難く、Indexから蘭印の記事も見つける事が出来ます、参考にして下さい。

5人目)第43回の続きでドイツ・ジャーマンステーツ、バイエルンのセカンドシリーズを紹介、1849年発行ファーストシリーズの1Kr. は黒色印刷だったが、イギリスを始め多くの国のファーストシリーズで辿る黒色印刷に黒消印は見えない問題から、1850年に1Kr.はセカンドシリーズとしてピンクに色を変えて発行された、印刷物料金の色としてはザクセンやプロイセンも赤系統だった。

図案も少し変更され、3Kr. 6Kr.と同じく数字の周りが塗り潰されている円となった、又その円が不完全なのが1番シリーズ、完全な円が2番シリーズとなる、新たな新額面として、9Kr. 12Kr. 18Kr. 3種類が発行された。

1Kr.はプレート1の未使用が少ない、逆にプレートIIは使用期間が短く次のシリーズが発行された後に回収された為、使用済は非常に少ない。

カバーはラッパーとして差し出されたが、文面が入っていた為に封書として判断され、重さも有った為3倍重量便不足料として扱われたもの、切手が新聞面に貼られて消印され残ったもの。

6Kr.はファーストシリーズに比べ、残っている数は多いがプレート1は少ない、フラン宛書留カバーはその書留料金も切手で支払われたもの、この時期はまだ書留料金だけは現金で支払われたのも多い。

9Kr.はシェードバラエテイが非常に多く、タイプの分類も多い、1枚のシート中にタイプが分散している上、熱心な方の研究結果より、プレートによってはポジションの確定が出来るペアやブロックが存在する。

18Kr.はフランス宛書状基本料金に相当、12Kr.はフランス間の郵便量が増えて値下げされた為、他の額面より遅く1858年に発行された。

これらシリーズの文献としては PETER SEM 氏のものがあげられ、色に関する小冊子や印面に関する小冊子が発行されている。

6人目)トピカルとして鉄道図案切手の実逓カバーを集めておりその紹介。

1通目、世界一小さな共和国として知られるサンマリノより、1932年発行の美しい凹版印刷が貼られたカバー、イタリア・アッシジ宛、このアッシジはフランシスコ会の創設者である聖フランチェスコの出身地として知られており、キリスト教の巡礼地としての性格を持つ都市との事です。

2通目、アフリカのジンバブエより199192日、首都ハラレ・エアポート消、アメリカ宛 、この数年前に40年近く独裁政権を行っていた大統領がクーデターで失脚し、反白人感情も現在程ではない比較的安定していた時期の郵便物。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。