「安藤源成展」まであと十日余り

2017年度 NPO法人郵趣振興協会のエキシビション事業の最後を飾る、郵政博物館特別コレクション展「安藤源成展–傘寿記念 フィラテリー歴70年の軌跡」の開催まであと十日余となりました。

当然のことながら、郵政博物館という公器において、フィラテリスト個人が個展を開催するのはこれが初めてのことです。私どもNPO法人郵趣振興協会では、クオリティの高いコレクションを形成し、すぐれた業績を有するフィラテリストの個展の開催を通じて、フィラテリーの素晴らしさを発信するため、郵政博物館と協働でこの事業を実施することとしています。

その第1回目となるこの展覧会は、本年傘寿(80歳)を迎える1人のフィラテリスト(切手蒐集・研究家)が70年にわたり心血を注ぎ、内外の競争展覧会で数々の受賞を果たしたコレクションを中心に、その業績を広く一般に公開するものです。

出展者である安藤源成(あんどう・げんせい)氏は、昭和13(1938)年8月3日、岡山県に生まれ、10歳で切手収集を開始、爾来、家業の呉服商経営の傍ら、70年にわたりフィラテリー(切手・郵便史研究)に勤しんできました。

平成5(1993)年には、家屋焼失に遭いコレクションの大半を失うも再起。以降はさらに精力的にフィラテリーに取り組み、日本郵趣界の重鎮として傑出した業績を残しており、膨大なコレクションから抽出した展示作品は、国際切手展で2桁のメダル獲得を果たすなど、高い評価を得ているコレクターであり、現在もなお最先端を走り続ける斯界のリーダーです。

「人生百年」時代の到来とともに、生涯にわたる学びや研究のあり方を考える機会が増えつつある昨今、出展者の70年にわたる蒐集・研究活動の軌跡をご覧いただき、フィラテリーの奥深さや魅力に触れていただければ幸いです。

膨大な蒐集から抽出された、10作品・42フレーム(672頁)に及ぶ作品群をごゆっくりご鑑賞下さい。展示作品の概要は以下の通りです。

安藤源成展 展示作品の概要

作品名 フレーム数 概 要
1 安藤源成 

蒐集70年の軌跡

1 蒐集70年を迎えた出展者の郵趣における「自己紹介」を様々なマテリアルと共に提示。
2 美作の明治初期郵便印 3 以下3作品は、現在の岡山県に相当する旧3国(美作、備前、備中)の初期郵便印を扱った、わが国最高峰のコレクション。
はじめの3フレームは、美作国(現在の岡山県北部)において明治初期に使用された郵便印を提示。
3 備前の明治初期郵便印 6 備前国(岡山県の一部)において明治初期に使用された郵便印を提示したコレクション。
4 備中の明治初期郵便印 5 備中国(岡山県の一部)において明治初期に使用された郵便印を提示したコレクション。
5 U小判切手  3 U小判切手3種の消印と使用例に重きを置いて構成したコレクション。
6 菊切手の和文消印 5 30年前に3フレームで全日本切手展に出品したものに順次追加してリーフを増やしてきた作品。本来の手法ではなく、無加刷切手と支那加刷・朝鮮加刷を混在させて消印別に構成。
7 外信はがき 8 ロンドンとシンガポールの国際展に出品し、ロンドンでは金銀賞、シンガポールでは大金銀賞を受賞した作品。
8 日露戦争の軍事郵便 4 軍事郵便の蒐集は若かりし頃、蒐集の3本柱の1つで、最初に全日本切手展に出品したのが日露の軍事郵便。今回は4フレームで提示。
9 戦前の航空郵便 4 2011年の全日本切手展出品作品で、京都-大阪間の記念飛行の機長サイン入(P.4)葉書、英国人パイロット来日機搭載カバー(P.31)、昭和切手5円と同10円貼の柳原氏からハワイ河村氏宛初日カバー等を含む。
10 滴一滴 3 一昨年3月、惜しまれつつ終刊となった「フィラ関西」誌に、出展者が「滴一滴」と題して数年間掲載したものを抜粋して展示。

展示に関する詳細は、受付で配布している「出品目録」をご覧ください。