2021年7月24日 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第66回Zoom例会』レポートです。参加者9人中7人の発表で質疑応答が有りました。
1人目)ハワイ王国よりアメリカ本土宛カバーで、アメリカ宛基本料金5セントは現金で支払われアメリカ切手のみ貼られたカバーを2通紹介、本来ならハワイ切手を貼付するのが通常だが、当時5セント切手が不足していた為このような使用例が存在する。
1通目、1860年11月26日ホノルル発、マサセッチュー州ウエストフィールド宛、12月21日サンフランシスコ中継、キャプテンフィー2セント+西海岸より東海岸迄の料金(3000マイル超)10セントがアメリカ切手で支払われいる、当時は既に12セント切手が発行されていた為、この1セント切手が貼られたカバーは少ない。
2通目、1861年6月17日ホノルル発、マサセッチュー州ウエストボロ宛、このカバーは通常のサンフランシスコ経由では無く、幾つか有る逓送ルートのひとつ、メキシコ・アカプルコを経由して東海岸に運ばれた物、料金10セントがアメリカ切手で支払われいる 。
2人目)オリンピックマテリアルのカバーを紹介、1992年オリンピック公式スポンサーの表示入りEMSラベルを使っているが、実際は航空ラベルが貼られて印刷物扱い料金分の切手が貼付されている、当時のフィラテリックなカバーだが、EMSのバーコード部分も消印で抹消されており、切手部分と合わせて五輪の円形となっている所も面白い。
3人目)前回紹介したメキシコ・1934年発行航空切手の印刷製造が分からなかった為、改めて拡大画像を紹介、印面下部にOFICINA IMPRESORA DE HACIENDA-MEXICOと入っており、美しい凹版印刷を自国で製造していたと分かった。
坂東収容所の切手2種を紹介、1918年ドイツ人捕虜が印刷製造、収容所内のロールプレイング的に使われたと考えられる、ドイツでもドイツ切手の一部として認識されているとの事、値段の割に比較的出回っているのは、この切手がJPS図入りアルバム1巻に掲載されており、それらが現在市場に放出されているのではと思われる。
4人目)インドネシア独立戦争時期、スマトラで発行されたスカルノ大統領図案の切手の紹介、1946年6月1日発行、40sen書状基本料金、用紙は薄い白紙と薄い粗紙の2種類、カラーバラエテイや印刷ムラも存在。
後にはインフレによる郵便料金値上の為、50sen、1f、1.50f、2.50f、3.50f、5fの額面加刷切手が発行された、加刷のバラエティも多く存在する、この時期スマトラの実逓便カバーは非常に難しく、ジャワに比べて入手は困難、MEDAN宛のフィラテリックカバーは受人がスタンプエージェンシーの物など、当時は数件の切手商が有ったとの事。
オークションカタログのシート画像より、2.50fの額面加刷切手のファースト印刷には、ポジション7のF.の文字がRp.となっているバラエテイが確認出来る、セカンド印刷では修正されている。
5人目)PHILANIPPON 2021に出品予定の作品より、ドイツ・プロイセンのコレクションから最終シリーズのクロイッツアーシリーズを紹介、その為制作途中リーフの一部のみ紹介、このシリーズは北ドイツ郵便連合が発足する直前に発行され使用期間が僅か半年しかなかった為、使用済が少なくカバーは非常に難しい、PHILANIPPON 2021での発表が楽しみです。
6人目)日本で入手可能なヒンジの使用テストを紹介、未使用切手はマウントを使う事が現在では標準ですが、安価な使用済切手などはやはりヒンジが便利、品質の良い米国Dennisonは残念ながら既に製造されておらず、StanleyGibbons、Dennisen、Lighthouse、PRINZの4種類で未使用切手、使用済切手での使用感を発表、個人的な見解の為結果は差控えさせて頂きます、質疑応答より昔の米国Dennisonをオークションで購入して使われている方が数人おられました。
7人目)最近入手した、1912年より発行されたベルギー・キングアルバート1世のロットを紹介、一部バラエティの図版も付いており分類もされている、今後は欠けてマテリアルやカバー等も入手して、コレクションの厚みをつけて行きたいとの事、質疑応答より、このシリーズは銘版有り無しやガッターペアの存在など分類が豊富なシリーズで、日本ではベルギー切手の入手は難しいと思われるが、国内ネットオークションでも時々出品されているとの情報です。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。