投稿者「MasatoshiKITANO」のアーカイブ

外国切手研究会 第89回Zoom例会レポート

202264日 2000PM – 22:40PM開催『外国切手研究会 第89Zoom例会』レポートです。参加者11人中5人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・山崎文雄氏)ハワイ・18622セント数字切手(SC16)の紹介、数字切手は暫定的に発行された為に数は少ないが、この切手は島内間郵便の基本料金として主に使用された為に少し多いが、カバーのカタログ評価は約3000ドルから4000ドルと決して安価ではない。

専門的分類ではPlate3Cから3G10枚ペーン構成、Pos.1から10Plate3FTypeⅢPos.1TypeⅡPos.2TypeIPos.3といった構成、紹介の4枚はいずれもTypeⅨPos.9でオリジナルとエラー切手とその修正版、島内間使用カバーの受取人はキング・カメハメハⅠ世の孫娘という貴重なマテリアル、貼られている切手はPlate3FTypeⅥPos.6

2人目・重山優氏)前回でも一部紹介した、百城版孫文切手についての解説、印刷場所は福建省南平市の福建百城印務局にて印刷、当時は北京や上海、天津などの主要都市は日本軍が抑えていた為、主に重慶を中心とした四川省に供給していた、重慶中信版と同じ原版を用いて製造された百城凸版は、いくつかの同一額面同一刷色切手が有り、JPSカタログ等でも僅かに解説されているが慣れないと難しい、百城凸版特徴のシークレットマークを拡大画像で解説して頂きました。

特に分類の難しい3円に関しては、百城凸版に使われた道林紙の網門紙で判別出来るとの事、裏面で見比べると比較的分かりやすい、4枚の中で左の使用済だけが百城凸版、その消印は1946年天津で発行当初は使用出来なかった地域の使用例。

3人目・武田幸作氏)第87回でも紹介のウクライナ切手「ロシアの軍艦、くたばれ」の第2弾の実逓書留FDCを紹介、こちらも切手の詳細は郵趣20226月号でも解説されているが、第1弾の100万枚に対して500万枚の発行ですが、やはり世界中で大評判の為に入手は困難になると思われます、郵趣では紹介されていない特印の印影は、撃沈された戦艦モスクワのように見えます。

4人目・槇原晃二氏)第37回前編と第38回後編で発表後、新たな入手品や研究等で再構成した、ウルグアイ・1番切手と2番切手の紹介。

1番切手は1856年発行の3額面、印面には国名や郵便といった文字が描かれておらず、上部の ”DILIGENCIA” は急行馬車の意味、当時は政府による郵便制度が出来ないまま民間の馬車会社を経営していたラピドという民間人を郵便管理官に任命して運営、地元モンテビデオのメジエ社が石版印刷で製造、シート構成は横735面、シェードバラエティや印面バラエティも多くプレーテイングが可能、版はひとつだけで60Cの版の額面を変更して80C1Rの版に造り変えたと言われており、同一ポジションに同じ特徴が有る、以下参考資料としてウルグアイ郵趣協会のサイトを紹介、ありがとうございます。

http://www.filateliauruguaya.com/estudio_e.html

http://www.filateliauruguaya.com/Yv1.pdf

2番切手は1858年発行の3額面、やはり国名表示は無いが首都モンテビデオと郵便物の意味 ”COREEO” が描かれた、シート構成は横530面、此処迄の民間半委託業務の特徴として、ペン消しは存在するが消印が使われなかった事、その為スコットカタログでも使用済の評価は無い、3額面の中でも120Cは入手困難、240Cは非常にシェードバラエティが多い、2番切手についても詳細はウルグアイ郵趣協会のサイトを参照して下さい、ありがとうございます。

http://www.filateliauruguaya.com/estudio_e.html

http://www.filateliauruguaya.com/Yv4.pdf

5人目・吉田敬氏)世界切手展HELVETIA2022日本コミッショナーとして参加された同氏より、現地で撮影された入賞作品等についての紹介と質疑応答が有りました、画像については割愛させて頂きます、現地ならではの情報として、切手展開催中に会場内で発行された、日替わり小型シート(加刷文字が変わる)の入手状況や実逓カバー作成などの紹介。

同氏が出品入賞された「Classic Switzerland 1843-18548フレーム作品についての紹介、今回注目点として、タイトルリーフを新たな試みで作成されたとの事、今後何らかの方法でフードバックを予定されているとの事です。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第88回Zoom例会レポート

2022521日 2000PM – 21:45PM開催『外国切手研究会 第88Zoom例会』レポートです。参加者10人中6人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・槇原晃二氏)ウルグアイ・1877年シリーズの紹介、1866年数字図案シリーズに代わる切手を発行するにあたり1876年にデザインの公募をした所、ウエルカー氏だけの応募でエッセイも作成されたが、ドイツ1875年発行の切手と似ているとの事で不採用になった、そこでアメリカンバンクノート社に発注して発行されたシリーズ、凹版印刷でルーレットの810×10100面シート。

5センティシモは国内基本料金、バラエテイは少ない、カバーはモンテビデオ発、隣国のアルゼンチン・ブエノスアイレス宛だが国内宛封書と同等料金で送られている。

1883年この切手に”1883 Provisorio”と加刷した暫定切手が発行された、既に別の5センティシモ切手が発行されていたがそれが不足した事と、この切手が大量に余っていた為と思われる、加刷発行後は無加刷の切手は無効とされた、赤色加刷はエッセイ、急いで発行された為バラエテイが多く有る。

2人目・武田幸作氏)ソ連・1931年発行ツエッペリン切手の紹介、この50コペイカ切手の刷色は本来ダークブラウンだが、ダークブルーのエラーが有る、未使用切手は両方所有していたが、エラー切手と思われるカバーをebayで購入したが画像の見え方でエラーの方では無かったとの事、但し状態も良く買い物としては悪く無かったとの事。

同出品者より購入した沖縄切手多数貼りカバーの紹介、左下に貼られている1962年東西対抗剣道3セント切手のカバーが非常に少ない事が知られており、質疑応答によると単片貼内国便は現存1通のみとの事、発行枚数も普通で理由は分かっておらず、この様なカバーも少ないと思われる、同封筒に貼られている直前に発行された1962年切手趣味週間のカバーは普通に有るとの事です。

3人目・藤本博嗣氏)前回の続きで、新中国・1986年発行、各地の民家シリーズ1分切手の紹介、このシリーズは100面シートと60面シートが有るが1分は60面シートのみ、シート画像より銘版、トンボ、カラースケール、票銘などの位置関係が分かる、この切手は右マージンの目打部分に線が入っている、バラエテイとして第4コーナーの票銘横に点が有る無しを見つけた、所有しているシートの版番号から最初は点が無く、有る時期に点が有る版が使われ、後に再び点が無い版が使われたとの推測。

1分切手の適正料金は盲人用市内便で入手は困難と思われる、使用例として3枚貼印刷物、2枚貼市内便ハガキ最終便、10枚ブロック貼日本宛など、基礎知識としてはJPS郵趣200911月号巻頭特集「中国切手・バラエテイ事情」の記事が参考になると思われます。

4人目・山崎文雄氏)ハワイ・キングカメハメハ3世13セント(SC6)の紹介、4×520面でフルシートが1点現存している、旧石川良平コレクションにも大きなブロックが存在していた、この切手は左下13の額面数字に特徴が有りプレーテイングが可能、全画像が掲載されている参考サイト、http://www.hawaiianstamps.com/bg_pl13.html

この切手の特徴として、右側の縦枠がほぼ二重線になっている事、偽物を見分ける点のひとつ、紹介の切手はPos14と思われるが印面全体がゴースト状になっており、今迄未見の変種と思われる。

5人目・重山優氏)同氏のブログでも紹介している、孫文切手百城凸版70円貼カバーについて、https://ameblo.jp/sonbun99/entry-12744199994.html

1946513日上海発アメリカ宛航空便、料金は封書190円+航空料金90円=280円、第81回でも紹介したカバーと同様、航空料金が封書料金より安価だった短期間の使用例、百城凸版とは同時期の重慶中信版の製造が間に合わなかった為、同じ原版を用いて福建省南平の百城印刷局で製造された切手、用紙バラエティの分類や入手も難しく、額面によってはメインナンバーでも入手困難な切手も有り、カタログコレクションでも揃えにくいとの事、日中戦争中から戦争後にかけて発行されており、年代が後に成る程使用地域が広がっている、このカバーも日中戦争後の使用例で、切手発行時では日本占領下に有った上海使用例は存在しない。

6人目・比留間晃則氏)前回紹介のシーラカンス切手、コモロ・1954年発行の切手とその無目打、アメリカ宛書留カバーなど、今回入手分を暫定的にレイアウトした状態で紹介、カバーに貼られている1952年発行の戦車図案の切手は目打有と無目打が貼られており、比較的高価なマテリアル。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第87回Zoom例会レポート

202257日 2000PM – 21:40PM開催『外国切手研究会 第87Zoom例会』レポートです。参加者11人中6人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・武田幸作氏)全世界で話題のウクライナ切手「ロシアの軍艦、くたばれ」の実逓書留FDCを紹介、詳細は郵趣20226月号でも解説されている、412日の発売後は一般のTVやインターネットニュースでも取り上げられました、発行枚数は100万枚でウクライナの記念特殊切手としては普通の枚数ながらも、世界中で大人気の為入手は非常に困難となっている、運良くある伝で入手出来たとの事ですが価格は高騰中、ネットオークションでも近年の切手としてはトンデモナイ値段で出品されている様です。

2人目・山崎文雄氏)メイン収集のハワイより最近の入手品を紹介。1点目、キングカメハメハ3世13セント(SC6)のブラックプルーフ、旧石川良平コレクションで、山崎氏が確認している3点中の1点で希少なマテリアル、第80回で紹介した5セント(SC5)と揃える事が出来たとの事、参考カタログ値6000ドルだったが、今回入手のオークションでは約9000ドルとなり、円高と手数料でかなりの値段になったとの事です。

2点目、2セント数字切手の使用済、額面のCentsの後がピリオド( . )では無くコンマ( , )になっているバラエテイ(SC13b)、確認数は未使用1点、カバー1点、使用済はこのマテリアルを含め3点との事、薄いブルーとダークブルーの刷色が有りこれはダークブルーの方、数字切手は横2枚縦5枚の10面シート構成でプレーテイングが可能、専門分類でこの2セントは1A3A3Bと呼ばれる3つのプレートが存在し、1Aポジション2のタイプ10のバラエテイになる、参考カタログ値6750ドル。

3点目、バンクノートイッシュー1セント(SC30)田型のSPECIMEN加刷、通常の見本ではなく、ナショナルバンクノート社からアメリカンバンクノート社へ印刷製造の変更時、同社の見本として保管されていた物が市場に放出されたもの、シートの分割時に裏面糊の上から鉛筆書きでポジションが記載されている。

4点目、バンクノートイッシュー2セント(SC52)のSPECIMEN加刷、この切手の見本は非常に希少で今まで見た事が無かったとの事、見本に関してはバンクノート社で加刷された物と、UPU加盟国に贈呈された先で加刷した物が存在する為、鑑定書が求められる時も有る。

3人目・重山優氏)同氏のブログでも紹介している、使用済が非常に少ない孫文切手ロンドン版双圏2分について、https://ameblo.jp/sonbun99/entry-12740985950.html

使用済のカタログコレクションでも、殆どの方は未使用で代用か空白になっているとの事、カタログナンバーでは先になっているが、2分の発行日は単圏が先で、双圏は中々売り捌いて貰えなかったと思われ、双圏版1分と同時期の北京版烈士1分の使用済は大量に有る事などから、殆ど出番の無いまま終わってしまったと思われる、出回るのも遅かった為か余り広く配給さていない様で、上海とその周辺の使用例が中心で年代も遅い物は見つけにくいとの事です。

4人目・比留間晃則氏)地元郵趣会の切手展に向けた作品用として、好きなテーマのひとつで入手予定のシーラカンス切手をいくつか紹介、コモロが1954年発行した切手は有名で人気も高い、同国はフランス領の為カラートライアルも存在するが最難関のひとつ、コートジボワールの1980年代の切手も発行枚数が少なくカタログ値は比較的高価、シーラカンスが最初に発見された南アフリカでは小型シートを含めたセットが発行されている。

5人目・槇原晃二氏)フランス・1863年発行ナポレオン3世の切手を印刷前の用紙に貼り付け、そのまま新聞を印刷して消印された物で、新聞税として徴収されたと思われる、プリキャンセルのフォアランナーとの位置付けも有るマテリアル、古くはJPS図解切手収集百科辞典、オットー・ホルヌンク著/魚木五夫訳の9798ページにも解説が有り、この方式はトルコやオーストリア他でも用いられたとの事です。

ウルグアイ・1882年発行ナショナルシンボルズイッシューの紹介、最初のリーフはトライアルカラープレートプルーフ、この切手の特徴は10×10100面シートだが、印面に各ポジションが1から100迄数字で印刷されている、他国の切手でも同様の例は有るとの事です、1センティシモと2センティシモの2種類だが、2センティシモは次の切手が発行された時に使用禁止になった後、1884年在庫処分の為に加刷を行い発行され、この切手のみ使用可能とした。

この加刷分の2センティシモは使用例が少なく、紹介のフランス宛プリンテッド・マターは、海外宛1枚貼カバーとしてこの1点のみが確認されている。

6人目・藤本博嗣氏)第83回の続きで、新中国・1986年発行、各地の民家シリーズ4分切手の紹介、このシリーズは100面シートと60面シートが有るが4分は60面シートのみ、第1版から第5版迄有り、第1版のみ図の様に「白壁」となっており、その他の版は「茶壁」となる。

4分切手は市外葉書と市内封書の適正料金、2通のFDCは共に第1版の特徴の「白壁」になっている、発行枚数は公表されていないが、第2版以降は製造面のバラエテイも多く用紙や耳紙、特にシェード違いが多く有り、調査収集を継続中との事、基礎知識としてはJPS郵趣200911月号巻頭特集「中国切手・バラエテイ事情」の記事が参考になると思われます。

最後にお知らせと情報の募集)第85回で藤本博嗣氏が発表された旧中国と日本のコンビネーションカバーのレポートに、安藤源成氏より質問コメントを頂きました、ありがとうございます。

10.JAの上海からU.S.A.宛の小竜Ⅰ角 下駄印消し 新小判10銭 SHANGHAI 年号2字消しのエンタがあります、概説をお願いしたいのです、他に当時のものが数点在ります。」

との事で3点の画像を頂きました、藤本氏のマテリアルを含めて掲載させて頂きます、どんな事でも結構ですので、何か情報を頂ければ助かります、宜しくお願いします。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第86回Zoom例会レポート

2022416日 2000PM – 21:30PM開催『外国切手研究会 第86Zoom例会』レポートです。参加者10人中5人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・山崎文雄氏)ハワイ王国のカバーを3通紹介、いずれも難が有り残念との事ですが、資料的にはどれも貴重なマテリアル。

1通目、一見するとスタンプレスにも見えるが、右上部分の切手が剥ぎ取られたアメリカ・ペンシルバニア州宛のレデイース・カバー、ホノルル局の消印は59日、サンフランシスコ局到着印615日、切手料金支払済を示すPAID印、使用されている消印のタイプと封筒上の記入からも1852年、運ばれた船名やパナマ経由のルートも判明しており、貼付されていたのは13セント宣教師切手(SC#3、又は#4)と思われる、切手が貼られた完全な状態なら日本円で1000万円以上との事。

2通目、こちらも1通目と同じ宛先のコレスポンデンス・カバー、ホノルル局69日、サンフランシスコ局到着印731日、切手料金支払済を示すPAID印、8の数字入り丸型印、左下にOverLand(大陸横断)の書き込みが有るがこちらもパナマ経由と思われる、料金内訳はハワイ料金5セント、船長支払い分2セント、アメリカ国内料金6セントの合計13セント、やはり宣教師切手が貼付されていたと思われるが、スタンプレスだった可能性も有るとの事。

3通目、ハワイ5セント切手(SC#8)、アメリカ12セント切手(SC#17)貼付のアメリカ・オハイオ州宛コンビネーションカバー、ホノルル局214日、サンフランシスコ局到着印1861311日、このカバーは大陸横断で運ばれたと思われる、ハワイ切手に傷が無くコンディションが良ければ78000ドルの評価との事。

2人目・槇原晃二氏)ウルグアイ関連のカバーを3通紹介、因みに同国の1番切手は1856年発行。

1通目、1853年のスタンプレスカバー、125日モンテビデオ発、フランス・マルセイユ宛、イギリス・ロンドン中継印、フランス・カレー中継、マルセイユ到着印、COLONYS co.ART.?の印は英仏の郵便交換条約による物、手書き数字の30が郵便料金と思われるが、右上の1240の数字の意味については調査中で情報も募集との事です。

2通目、1877年発行数字シリーズ10c切手貼、フランス・ボルドー宛カバー、1880510日モンテビデオ発、不足料を表す”T”の印が押され、黒の数字12と青の数字10が手書きされている、UPUの規定では青で記入された数字は不足料金を表すが、このカバーに関しては両数字の意味を調査中。

3通目、1877年発行数字シリーズ20c切手2枚貼、こちらも2通目と同じ宛先のコレスポンデンス・カバー、大型のカバーで基本料金の4倍重量便、188057日モンテビデオ発、こちらも不足料を表す”T”の印が押され、黒の数字24と青の数字40が手書きされており、こちらも同様に調査中。

3人目・重山優氏)旧中国・烈士切手貼り上海発、日本・東京世田谷宛航空便カバー、1枚だけ日本の第1時昭和切手の1銭が貼られており、これを1分切手として計算すると合計99分で当時の正規料金になる、但しこのカバーの注目点は別に有り、世田谷の到着印は昭和151940)年313日だが、貼付されている香港版烈士切手の1分と10分の発行日は多くのカタログで1940620日となっており、カタログの記述間違いか正規発行前の使用例となる、この切手には透かし有りと無しが有るがどちらも発行日は同じ。

4人目・吉田敬氏)スイス初期のバーセルやチューリッヒの切手は有名だが、スイス連邦政府として最初に発行された切手の簡単な解説と紹介、スコット等の世界カタログでは一部図版の簡略や未掲載も有り分かりにくい面が有る、1850年発行と1851年発行の5rの違いは、当初は青い着色紙に印刷された様に見えるが、実は白紙に印刷された3色刷で発行され10rも同じ、この濃い印面では消印が読みにくい、押されているか分からない、消されやすいと言う事で1年も経たない間に2色刷りに変更され、1852年発行の15rは当初より1色刷で発行された。

1851年発行の5rは、ツームスタインの専門カタログでは印刷版の違いで10種類に分類されている、5×840面シートの石版印刷だが、その原版は手書きで作成され、10種類の印刷版は同じ原版から転写された為、全てポジションの特徴で判別が出来る、専門書では先にこのポジションを確定してから、印刷版の特徴で版の分類をするようになっているとの事。

5人目・ソン・フィチャン氏)小判ハガキ・戦前の朝鮮半島使用例、差出印は仁川局で明治30120日イ便、到着印は京城局で同日ロ便、両都市を結ぶ鉄道は明治32年開通の為、当時どの様にして運ばれたのか興味が有ります、差出人の仁川・濱田支店についても調べた所、スタンフォード大学デジタルコレクションのHPで、朝鮮新報1896(明治29)年122日の記事に見つける事が出来た、住所は居留地となっている、同日の記事には仁川郵便局の落成式や、その仁川郵便局の神戸行船舶搭載郵便物の締切時間の広告も掲載されていた。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第85回Zoom例会レポート

202242日 2000PM – 22:10PM開催『外国切手研究会 第85Zoom例会』レポートです。参加者10人中5人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・山崎文雄氏)ハワイ王国のスタンプレスカバーを3通紹介、ハワイに郵便局が出来たのが1850年、宣教師切手として有名1番切手は1851101日発行。

1通目、1850年アメリカ・マサセッチュー州スプリングフィールド宛、サンフランシスコ局中継印1850812日、切手発行以前のカバーで右上に大きく”SHIP42”料金の書込みが有り42セント前払い、内訳は太平洋側から合衆国東部宛料金40セントと船長支払い分2セントで1851630日迄の料金、サンフランシスコ迄を運んだ船名も判明している。

2通目、ホノルル局185496日、アメリカ・ウインダム宛、サンフランシスコ局中継印1854930日中継印、この年代は宣教師切手切手が発行されており、その場合は13セント切手が貼られる、右側に”HONOLULU US POSTAGE PAID”、中心に”PAID 8 SHIP”の印が押されており、ハワイ内料金5セント、アメリカ国内料金6セント、船長支払い分2セント合計13セントを現金で完納済のカバー、これもサンフランシスコ迄を運んだ船名が判明している。

3通目、ホノルル局1854103日、アメリカ・コネチカット州ハーウイントン宛、サンフランシスコ局中継印1854111日、パナマを経由して西海岸から東海岸へ運ばれており、こちらはサンフランシスコ迄とその先迄運んだ船名も判明している。

2人目・重山優氏)旧中国・重慶華南2版(基数)孫文切手について、重慶華南1版とは額面表記の違いから簡単区別出来る、9額面の内、低額2種と高額2種はカタログ値も高く、特に高額2種類は使い道も限られており未発行に近かったと思われる。

発行日の194968日は既に上海が共産軍により解放されており使用地域は限られていた、主に福建省や広東省でそれも全域では無い、目打バラェテイや銘版付ブロック、別納使用と思われるブロックも入手出来る範囲で所有、JPS旧中国切手カタログの発行枚数はあくまでも印刷枚数で、低額2種と高額2種が出回った数はかなり少なく、カタログ値に反映していると思われる、当時はメータースタンプや収納印も使われた上、混乱している蒋介石側に対して毛沢東側が国幣や金圓券を人民元に交換するといったキャンペーンも行われた為、高額2種は特に少ない。

3人目・武田幸作氏)タイタニックの記念カバーを2通紹介、1通目が船内局消印、2通目は出航地SOUTHAMPTON消印で共に出航日1912410日、結論から言うと残念ながら2通とも偽物カバーとの事、全体的に100年前のカバーとしては状態が良い点と、両カバーに貼られているイギリス切手は1912410日以降に発行された物で決定的、因みに1通目カバーのカシェに描かれているR.M.SRoyal Mail Shipの略でタイタニックは郵便船でもあった、余談だがタイタニックが沈没した1912415日は北朝鮮初代最高責任者・金日成主席の誕生日。

質疑応答よりtitaniccovers.comというサイトの紹介が有りました、http://www.titaniccovers.com/

4人目・槇原晃二氏)ウルグアイ・1866年発行数字シリーズ10C切手貼、イタリア・レサ宛カバーについて、色々な情報が有るが詳細を調査中との事で紹介、1876429日ウルグアイ・モンテビデオ発、フランス船内パックポー印、フランス・パリ中継印、不足料を表す”T”の印が押され、イタリアで不足料切手140C分が貼られている、黒の手書き14?青の手書きで80の文字が描かれている、当時ヨーロッパ宛料金は10Cと思われるので、重量便だったのか、他の要因が有ったのか情報を募集中との事です。

同じくウルグアイ・1941年発行画家ファン・マヌエル・ブラネス死去40周年のプルーフを紹介、イギリスのウオーターロウ&ソン社製の立派な凹版印刷、いずれも10枚ブロックで発行枚数やシート数、画面上の修正箇所や確認事項などが手書されており、製造過程の分かる貴重なマテリアル。

5人目・藤本博嗣氏)スタンペックスジャパン2022出品作品より、旧中国のマテリアルを3点紹介、1点目、小判切手とのコンビネーションカバー、以前から所有していたアメリカ宛マテリアル。

2点目、昨年のスタンペックスジャパン2021で指導を受け入手した、菊切手無加刷とのコンビネーションカバー、数年後に支那加刷が使われる為、無加刷の使用例は非常に少ない、ChfefooよりShanghai経由、Yokohama宛、鉛筆書でWeihaiweiYanteiが記入されており、中継印等は無いが経由地と思われる。

3点目、Foochowで使用されたバイセクトカバー、台風により1分切手が不足した為、郵政総局に許可を得て使われたと言われているが、最近の調査では外国人が作ったフィラテリックな物との意見も有る、カタログのメインナンバーも有る為に必要を感じ、幾つかの偽物も含めてかなり昔にやっと手に入れたとの事で鑑定書も有るが不安も有るとの事、使用期間は3日間しか無く、マテリアルの95%は偽物と言われており、その大半が当時の福州に勤めていた局員が作成した物らしい。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第84回Zoom例会レポート

2022319日 2000PM – 21:10PM開催『外国切手研究会 第84Zoom例会』レポートです。参加者11人中7人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・武田幸作氏)1品目、チェコスロバキア・1934年発行切手の小型シートを納めた冊子を紹介、15シートの2額面で目打13で裏糊無、単片で発行された物は目打10で裏糊有で区別出来る、小型シートは近年入手機会が少なく冊子状態の完全な姿は特に難しい、冊子を開いた説明タイトルはチェコ語で”わたしの家は何処?”となるが、小型シートに描かれている楽譜曲のタイトルと思われる、紹介者もお気に入りの一品との事です。

2品目、南アフリカ・オレンジ自由国(OranjeVrijstaat)の切手について、マテリアルは1895328日葉書使用例だが、貼付されている切手には紋章の様な図案が加刷か押印されている様に見えるが詳細が分からず情報を募集、質疑応答より同様な使用例がeBayで販売されており、改定料金と共和国の紋章が加刷されたとの説明が有るとの事でした。

2人目・重山優氏)前回は戦後台湾より日本宛使用例のマテリアルを紹介したが、今回は旧中国からのマテリアルを紹介、差出人は33日の日付を記入しているが、194641日上海消印、奈良宛で書込みより429日着と約2ヶ月要している、日僑自治会と第三方面軍の中国内で2回、日本で1回の検閲印が押されており、日数がそれなりに掛かったと思われる、質疑応答より戦後朝鮮にも同様の世話人会が有ったとの事です。

3人目・藤本博嗣氏)旧中国・SOLD IN BULK加刷葉書の紹介、元々は清朝郵政が紅色で発行していた蟠龍図版の葉書を、当時は未だUPU加入が認められてはなかったが、1907年に規定の緑色に変更して発行する事になり、その時に残っていた紅色の葉書を料金割引に使用するために発行された物、JPS旧中国切手カタログにもナンバーは有るが入手は容易では無いとの事、加刷タイプもいくつか有りJPS郵趣199212月号に水原明窓氏による寄稿が有りますので参考にして下さい。

4人目・山本典保氏)英領・第一次世界大戦後のWarTax切手を紹介、日本ではこれらの切手は発行されておらず、郵便料金その物が値上げされる方が多いが、戦中戦後一時的に正規料金と共に増税分を貼付する切手は英領を中心にいくつかの国で発行された、現在では比較的値段も安価で入手出来るとの事ですが、製造面のバラエテイや郵便史的なマテリアルも絡めると、面白いジャンルになりそうです。

5人目・吉田敬氏)1872年フランス・YOKOHAMA局よりスイス宛カバーの紹介、40サンチームと80サンチームの切手が貼られているが、この40サンチームは普仏戦争時にパリが包囲された時に1871年ボルドーで印刷された物で版も粗末で目打も無い暫定切手、その中でも発行期間の短かった40サンチームの日本使用例カバーはこの1点のみ確認の貴重なマテリアルとの事。

6人目・比留間晃則氏)オーストラリア・VictorianRailwaysの切手を紹介、鉄道小包切手と思われるがスコットカタログにも記載が無く詳細は分からないとの事、現地の専門カタログ等には記載が有るかもしれない、後日レポーターが調べた所、VictoriaRailwayFeeStampsHPを見つけました、参考にして下さい。https://www.ozrevenues.com/Revenue-Railway-Local-Perfin-Catalogue/victoria-rail-catalogue.htm

7人目・木戸裕介氏)南朝鮮・1946815日発行、解放1周年記念切手のカバーを紹介、前年発行の解放記念切手は日本での印刷製造たが、この切手は南朝鮮で印刷製造され粗雑な作りで有り印面変種やエラーも多く有るがフルシートの存在も少なく詳細は調査中、この時代の使用例は難しく、紹介者も単片貼はこのマテリアルしか入手出来ていないとの事、当時の南朝鮮は日本と同等の占領地なのでGHQによる検閲が有る。

質疑応答より、ソン・フィチャン氏より韓国の郵遊発行台帳を紹介して頂きました、大韓民国成立後に作られたと思われるが、戦後より現在迄発行の切手が記録されています、参考にして下さい。https://theme.archives.go.kr/next/stampPoster/stampList.do?stampPosterType=Y

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第83回Zoom例会レポート

202235日 2000PM – 22:10PM開催『外国切手研究会 第83Zoom例会』レポートです。参加者13人中9人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・武田幸作氏)地中海ギリシャ沿岸・イオニア諸島の切手を紹介、1番切手は1859年発行で当時はイギリス領だった為ビクトリア女王のデザイン、その数年後には英国寄りのゲオルギオス1世が即位、当地はギリシャに返還された為に使用期間は短く、カバーの現存は非常に少ない。

1941年の第二次世界大戦時にギリシャはドイツに占領され、イオニア諸島の大半はイタリア領になり当時のギリシャ切手に加刷した切手が発行された、同じく使用済やカバーは少ないと思われる。

2人目・山崎文雄氏)ドイツ・ブレーメンよりハワイ・ホノルル宛スタンプレスカバーの紹介、サンフランシスコの到着印より1861年の使用例と確認出来る、ブレーメン61日発、ロンドン63日中継印、通常ならここからニューヨークに向けて送付されるケースが多いが、このカバーは西インド諸島やチリを経由してサンフランシスコに送られており、到着迄に80日を要している、詳細は解読中との事で現在分かっている範囲で解説されている。

質疑応答より、18614月にはアメリカで南北戦争が始まっており、その影響でアメリカ大陸横断を避けて運ばれた可能性が有るとの見解を頂きました。

3人目・中野健司氏)南北戦争関連を扱うアメリカ最大手切手商、PATRICA A.KAUFMANN より購入した郵趣書籍の紹介、CSA CATALOGは約500ページでカラー写真も多数掲載、歴史、政治、郵便史的にもにも興味が有り、入手困難だったがやっと購入出来たとの事です、同社のHPも充実しており、資料的にも貴重なマテリアルも多数掲載されています。https://www.trishkaufmann.com/

在住のニューヨーク郊外・RYEの町の御当地消を紹介、同氏が専門的に収集しているジャンルに比べ気軽に集める事ができ、日本や世界でも多くの方が地元の御当地消収集をされていると思われます、ニューヨーク州の郵便史研究会Empire State Postal History Societyのサイトも見つけ紹介、https://www.esphs.org/

4人目・藤本博嗣氏)新中国・1986年発行普23、各地の民家シリーズ3分切手の紹介、このシリーズは100面シートと60面シートで発行された3分は100面シートのみ、第4コーナーには銘版と中国で票銘と呼ばれる普通切手の組名二十三と図案の湖南民居が入っている、このシリーズ全14種類全部で100版以上有ると言われている、3分切手の1版との違いは、2版は分の文字に点が有るとの事です。

3分切手は1990730日迄の市外印刷物料金、その後は8分に値上されたが、不足扱になっていない使用例も所有、大量に印刷発行された時期で印刷や用紙等の製造面のバラエテイも多く様々な使用例も有ると思われるが、封書基本料金の8分に比べると入手は難しい、基礎知識としてはJPS郵趣200911月号巻頭特集「中国切手・バラエテイ事情」の記事が参考になると思われます。

5人目・比留間晃則氏)フランスが最近発行したアニメーション図案の切手を紹介、日本では1975年にUFOロボ・グレンダイザーとして放映された人気アニメ、フランスでは1978年ゴルドラックのタイトルで放映され日本以上に大人気で、制作45周年記念の発行との事、JPS郵趣20223月号50ページでも解説されています。

2点目・フランス領インドシナ、19453月の仏印処理後の使用例の貴重なカバーについて、書留使用例で料金等について調べる資料や情報などが有れば知りたいとの事、質疑応答より仏印処理前後で郵便料金が変わっていないと仮定、前の時代の書状料金と書留書状料金を調べ、同料金のカバーの存在確認なども方法のひとつとの事です。

American Philatelic Societyにも有償で利用出来るライブラリーサービスが有るとの事。https://stamps.org/services/library/library-services

他にも下記サイトが参考になるかもとの事です、Les tarifs postaux d’Indochine (インドシナの郵便料金)http://jef.estel.pagesperso-orange.fr/tarifindo.html

SOCIETY OF INDO-CHINA PHILATELISTShttp://www.sicp-online.org/archive/laos_001.htm

6人目・有吉伸人氏)国際切手展LONDON 2022の出品作品 France 1849-1862 について、フィラニッポン2021にも出品された作品ですが、シェードバラエティの大型ブロックやマージン付テートベッシュ貼カバーなどのマテリアルを追加されたとの事、発表して頂いた魅力的なクラッシック25サンチームの5ページを紹介させて頂きます。

7人目・槇原晃二氏)ブラジル・1876年シリーズDonPedroⅡの紹介、第69回で紹介の1866年シリーズは同図案で目打12だったがこのシリーズはルレットになる、アメリカン・バンクノート製造で消印もアメリカのファンシーキャンセレーションに近いものが多く使われている、銘版もスペイン語と英語で入れられており、1866年〜76年シリーズ100面構成図案を見ると理解しやすい。

200レイスのポルトガル宛カバーは押されている消印を含め詳細を調査中との事ですが、eBayで同様の印が押されているカバーが販売中との事、このように同様の使用例を見つける事が出来れば、その商品説明を参考にするのもひとつと思われます。

10レイスは印面の変種も図版で紹介、消印違いの整理も赤の印刷に映えて美しいです。

8人目・吉田敬氏)1918年ウクライナで発行されたトライデントシリーズと呼ばれる切手の紹介、ロシア切手に三叉路と言われる図案が加刷された物、多くの世界カタログでは台切手番号と加刷図版のみが記されており、実際の切手の印象が分かりづらい、キエフ、オデッサ、ハリコフ、ドニプロ、ポルタバの各地で加刷され、其々に台切手が存在する為メインナンバーで200種類程になる。

当時ロシアより独立したウクライナは、ロシア切手が無加刷で使用されていたが大量に残っており、これがそのまま使われるとウクライナ郵政の収入にならない為、加刷切手を発行して原則として無加刷切手の使用を禁止、正刷切手も翌年には発行された為に使用例は少ない、質疑応答より、西側のポーランドに近い都市リボフでは、一部オーストリアに掛かっており、トライデント加刷のオーストリアバージョンも存在するとの事です。

最初の話題、イオニア諸島1番切手のカバーについて、昨年のテーマティク作品で使用した物、ナポレオン時代にフランスの衛星国だった事を解説するページで使用したマテリアル。

9人目・重山優氏)同氏のブログより、https://ameblo.jp/sonbun99/entry-12729719292.htmlで紹介している戦後台湾より日本宛使用例のマテリアルを紹介、旧満洲では四角、台湾では楕円形の検閲印が使用されている、差出人の名前は姓が中国で名が日本名、日本語教育時代に生まれた方と思われる。

194736日発、台湾では194612月より日本宛の封書と葉書を送る事が出来たが、貼られている3圓切手は国内封書料金で国際料金は6圓なので本来は料金不足と思われる。

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外国切手研究会 第81回Zoom例会レポート

202221日 2000PM – 22:15PM開催『外国切手研究会 第81Zoom例会』レポートです。参加者14人中7人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・重山優氏)旧中国・外国宛封書190圓時期のカバーを5通紹介、その内4通に貼られいる切手は19451010日発行、蒋介石を描く慶祝勝利紀念だが、同日には蒋首席就職紀念6種も発行されており、中国の正当な後継者は毛沢東では無く蒋介石だという事をアピールする為のプロパガンダ的な要素も含まれていると思われる、1通目は上海よりインドシナ宛航空封書で航空料金が60圓だった短期間の使用例、宛先のSecteurPostalはフランスの野戦郵便局との事。

2通目は上海よりオーストラリア・シドニー宛航空書留封書でカルカッタ経由、貼付切手は20圓不足のはずだがそのまま運ばれている、差出人のUNITED NATIONS RELIF AND REHABILITATION ADMINISTRATION(略称UNRRA)は連合国救済復興機関で国連関係とは別組織。

3通目は汕頭よりオーストラリア・ビクトリア宛航空封書、4通目は上海よりチェコスロバキア・プラハ宛航空書留封書でエジプト経由、5通目は廣州よりアメリカ・ニューヨーク宛航空書留封書でイギリス経由。

2人目・中野健司氏)戦前の朝鮮半島関連消印のマテリアルを3通紹介、1通目は1904125CHEMULPO、現在のインチョンからシベリア経由のデンマーク宛ハガキ、菊切手の朝鮮加刷は偽物との事ですが、到着印はコペンハーゲン219日でこの間に日露戦争が開戦している、3個の中継印は大連に有るロシアの野戦郵便局、大連ハルビン間の鉄道郵便印、ハルビン満州里間の鉄道郵便印で水原明窓著書「朝鮮近代郵便史」183ページ掲載分の兄弟カバーにあたる貴重な一品、JPS郵趣19939月号には同じく水原氏による「ユメにみた東進・南満コンビネーションとは」が寄稿されているので参考にして下さい。

2通目3通目は旧中国・ジャンク船ハガキの日本宛、中継印として現在の中朝国境辺りのCHOSENKAINEIKEIGENの使用例、使われているハガキの情報を調べた所、アメリカの図書館でそれらの情報を掲載している書籍を見つけて解決、数種類に分類できる事が分かったとの事です。

3人目・山崎文雄氏)ポルトガル・19531023日切手発行100周年記念の紹介、描かれている肖像は1番切手と同じくQueenMaria Ⅱでグラビア印刷の美しい切手、異額面同一図案8種類の為か試刷と思われるカラーバリエーションが多く存在するが使用例は存在しない。

正規発行分の使用例もいくつか紹介、国内宛ハガキ、ドイツ宛航空便、カナダ宛書留FDC、ブラジル宛航空便、フランス宛、ブラジル宛ハガキ航空便など、最低額面の50センタボは国内ハガキ料金だが最高額面の20エスクードはその40倍、高額面の自然な使用例は難しいとの事です。

4人目・山本典保氏)ウクライナ関連の背景と切手について紹介、元々はロシアの切手が使われていたが、ロシア革命後の1918年ウクライナとして正刷切手が発行された、ロシア切手に加刷された物、オーストリアハンガリー切手に加刷された西ウクライナ人民共和国の物も発行された。

1920年に非郵便用として14種類の発行が有り、スコットカタログにも注釈が有る、1923年ウクライナソビアト社会主義共和国として正刷切手が発行された、独ソ戦争時の1941年と1943年にはドイツ切手のウクライナ加刷がドイツ野戦局として発行されたが、第二次世界大戦後はソ連に組み込まれる。

質疑応答より、重山優氏よりポーランド切手の西ウクライナ使用例の紹介が有りました。

5人目・槇原晃二氏)オーストラリア・英領ビクトリア1857年より発行されたEmblems Issueと呼ばれる3額面を紹介、名前の由来は切手の4スミに羊、帆船、コンパス、鉱山工業という植民地を象徴した図案が入っている為、最初のリーフはリプリントプルーフ。

印刷所は3カ所で最初はCalvert Printingで版の彫刻も行われた、後にRobinson PrintingGovernment Printing、最初は無目打で発行され、後にルレット、その後はP12が入れられた、シェードや用紙、透かしの分類も有り中々複雑なシリーズ、1861年には1ペニーの4角がネット図案に変更された切手も発行されたが同一シリーズとして扱われる。

カバーも数点紹介、その中で2ペンスのペア貼りで、一見すると69の数字消印に見えるが実は6の鏡文字になっている物が有り非常に興味深い。

3人目・武田幸作氏)トンガ王国・1970年迄のカタログコレクションを紹介、1番切手は1886年発行で当時の国王の肖像、1897年にはトンガを紹介する立派な凹版印刷の切手が発行されたが、この辺りは有名なテイン・キャン・メールの紹介カバー等で見かける事も有る。

トンガ王国といえばやはり1960年代後半より発行された変形シール切手が有名、この辺りも良く揃っており、昔は色物扱いだったこれらは近年人気が高く、当時物の使用済は今では入手困難、紹介のコイン型切手の使用済は首都ヌクアロファ消、FDC切抜かもしれないが貴重なマテリアル。

7人目・吉田敬氏)日本初期の在外国局マテリアルを2点紹介、1点目は1860年パリ発NAGASAKI着カバー、1858年日米修好通商条約後1859年に神奈川、長崎、函館の3カ所が開港したが実際に稼働していたのは長崎だけといわれる、1859年のカバーはプライベートコレクションには存在せず、1860年のカバーは7通確認されており、これはその中の貴重な1通。

2点目は在日アメリカ外国局・HAKODATE局カバー、最初にインターネット上の画像ですが、NewYorkDailyTimes.の記事より、1854717日の記事で日米和親条約が掲載されており、これがハワイの新聞に転載され、それを見たハワイ在住の白人がオーストラリアの船をチャターして、函館か下田しか来れない状況で下田に来たとの事、当時は江戸の大地震や南海トラフ地震の影響で下田は全くビジネスにはならず、その後函館に向かったとの事、その一行が差し出したカバーこそが、第77回例会レポートで紹介した、ニューヨーク・ロバートシーゲルオークションに出品されていた、在日アメリカ外国局・HAKODATE局カバーで1855年の使用例、日米和親条約後最古のカバーと思われる。

受取人のフィラデルフィア、Samuel Wetherillについて、HwichanSong氏よりリンク先を検索して頂けました。https://explorepahistory.com/hmarker.php?markerId=1-A-338

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外国切手研究会 第80回Zoom例会レポート

2022115日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第80Zoom例会』レポートです。参加者13人中7人の発表で質疑応答が有りました。11日に開催された第79Zoom例会は新年度の挨拶や近況報告で発表等は無かった為、記録だけとさせて頂きます。

1人目・山崎文雄氏)メイン収集のハワイより紹介、キングカメハメハ3世(SC5-95セントのブラックプルーフは現在5点確認の内1点、参考カタログ値は6000ドル、13セントは2点確認。

13セント8枚ブロックはオフィシャルリプリント(SC11R)、元はホノルルアドバイザーコレクション所有、マルティプルは少なく20面シートは1点のみ確認。

13セントペア”SPECIMEN” 加刷はアメリカンバンクノートで行われたもので希少なマテリアル、”REPRINT” 加刷は(SC11R-S)、やはりマルティプルは少ない。

バンクノートイッシューより、12セント(SC46)カバーの紹介、12セント料金は当時のオセアニア方面の封書料金だがこの切手の単片貼カバーは非常に少なく、確認されている3通はいずれもニュージーランド宛、1通目は紹介者所有のカバー。

6セント(SC333枚貼カバーはアメリカ本土宛3倍重量便、多数貼はやはり少ない。

2人目・槇原晃二氏)オーストラリア・ビクトリアより、Laureateシリーズ貼り海外宛カバーを2通紹介、1通目はスイス宛書留、裏面の中継印と到着印はメルボルン、イタリア・ブリンディシ、スイス・ロカルノ、右上のAmbulantはスイスの移動郵便印、HwichanSong氏よりSwiss Ambulant Post Officeを解説したリンク先を検索して頂けました。https://swiss-philately.co.uk/wp-content/uploads/2017/02/Swiss_Ambulant_Post_Offices.pdf

2通目はロンドン宛、到着印と左上にフランス・マルセイユ経由の書込み有り、参考資料として当時の日本からスエズ経由ヨーロッパへの郵便ルートの図版を紹介、同時期のオーストラリアからも同等のルートではと思われます。

3人目・武田幸作氏)ツエッペリンカバーを2通紹介、1通目はドイツ・ツエッペリン母港フリードリヒスハーフェン1931724日消印だが、その下に押されているのはロシアの砕氷船MALYGIN727日の消印、当時北極探検で使用されており双方が落ち合うプロジェクトだった様、宛先はスマトラ・メダン宛、裏面に914日の到着印、北極からの逓送ルートは不明だが興味深い。

2通目はロシア切手のカバー、レーニングラード1931725日消で現在のサンクトペテルブルク、こちらも1通目と同じMALYGIN727日の消印、受取人のW.J.WIESE氏は探検隊を率いており北極探検で功績を残したロシアの科学者。

4人目・比留間晃則氏)オーストリア・1946年発行アンチファシスト展の有名な不発行切手2種について、内1枚を安価で購入したがこれについての真偽と、小型シートの切抜きに見えるが通常シート以外にも発行が有ったのかを知りたい、質疑応答より本物の田型ブロックを含めていくつかの画像を提示して頂きました、小型シートは発行されておらず、印刷や紙の感じから本物では無いと思われる、相場は約10万円位との事で、この2種は知名度や人気も高い為に昔から偽物や記念品が多く、近年は比較的精巧な物が多く流通しているとの事です。

5人目・北野雅利氏)前記のオーストリア・不発行切手2種は少年時代より興味が有ったが、正規に発行された切手は余り紹介された事が無く調べた所、未使用8枚セットが安価だった為に購入、不発行程では無いが刺激的な図案、使用期間が年末迄と短かった為に使用済やカバーはかなり高価。

6人目・重山優氏)旧中国・アメリカ宛の印刷物カバーを2通紹介、1通目は194668日、上海永寧加刷202枚貼、ハガキを利用しているが50g迄の外国宛印刷物扱いで40圓、参考としてハガキ料金は120圓、封書料金は190圓だった。

2通目は1947630日、蒋介石誕生60年記念200圓貼ラッパーで切手商差出しの料金表、目打の違いで2種類の印刷所製造別製造に分類出来る、参考として封書料金は1100圓、押されている消印の北平は現在の北京で小さく入っている(巳)はその北平市内の郵便局を特定する文字。

質疑応答で、虎頭雄彦所有の北京発日本宛ハガキについて、下部に逓信省の検閲印、中国側で押されたと思われる切手近くの⑤紫印が何か知りたいとの事、例会中には詳しい事は分かりませんでした、情報やヒントをお持ちの方がおられましたら、教えて頂ければ幸いです。

7人目・吉田敬氏)ゼネラルを続けている紹介者ですが、世界カタログに掲載されていない切手にも興味が有り、いずれも値段や全容は切手商のカタログ等しか無く色々と難しい面が有るが、最近入手した2組を紹介、1点目は1898年に米西戦争後の独立派が発行したローカル切手、電信切手や印紙も発行されていた、マルティプルや使用済は少ない。

2点目は1948510日発行エルサレムのローカル切手、514日はイスラエル建国宣言、515日は第一次中東戦争開戦日、ヘブライ語の記述からもイスラエル側が用意した切手と思われる、前所有者の独自研究も入ったロットでエラーや定常変種、切手商の鑑定書も含まれていた。

他の最近の入手品では、状態良い蘭印の1番切手、アメリカのルーズベルト5セント普通切手に加刷したハワイ諸島発見150年記念切手フルシートなど、この切手はハワイと郵趣窓口でしか販売されなかった。

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外国切手研究会 第78回Zoom例会レポート

20211218 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第78Zoom例会』レポートです。参加者8人中6人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・山崎文雄氏)前回で紹介したカナダ・スモールクイーンイッシュー低額面切手の続編、3セントについて、今回も自分のコレクションと過去のオークションカタログを資料にして紹介、当時の国内用基本料金だった為、紙や目打、シェードなどのバラェテイが非常に多く、それらを整理した資料を見てもその多さが分かる。

Sc#37はモントリオール印刷でシェードはローズ系、Sc#41はオタワ印刷でシェードはバーミリオン系、スコットカタログでも別ナンバーになっている、シェードの分類は基本未使用だが、余りにも種類と組合せが多く難しい所が有る、使用済は一部のバラェテイを除き比較的安価な為、消印のタイプ違いを含めて色々と楽しむ事が出来る、カバーも2通紹介、共に差出人が印刷されている封筒で白封より人気が高い、書留切手が貼られたカバーの方は有名なシンガーミシン社の物。

過去のオークションカタログより銘版付きブロックを見ると、モントリオール印刷は100面シート、オタワ印刷は200面シートだったと思われる、又オタワ印刷では無目打も有るようです。

2人目・槇原晃二氏)第34回前編、第59回で紹介した1946年インドネシア独立1周年記念切手の続編を紹介、以前の説明と重複しますが、日本の敗戦後1945817日スカルノ大統領が独立を宣言したが、再植民地化を狙うオランダとの間で1949年迄戦争が続き、その間2つの郵政が存在する事となった。

この時期のジャワ切手は大きな分類として4つに分けられる、日本の南方占領地切手やオランダ領東インド切手を無加刷で使用した例、それら切手の国名をペンなどで消した切手、それら切手の国名抹消とインドネシア共和国名を加刷した切手、インドネシア共和国の正刷切手は1946年に発行され、独立1周年記念切手は全13種類が発行された。

分類の基本は用紙やシェード、目打の有無となる、20面シートで発行されており、マージンには数字とプレートのアルファベットが入っており、プレートABが存在する。

50Senはシート内にOpen SClosed Sと呼ばれるバラエテイが存在しており、紹介の15枚ブロックではその内11枚がClosed Sになる。

3人目・武田幸作氏)1986年発行アンチグア・バーブダより隣国のセントキッツ・ネイビス宛公式FDCを紹介、裏面には到着印も有る、オリジナル切手は522日発行だが、BARBUDA MAILと加刷されて828日に発行されたもの。

アンチグア・バーブダとセントキッツ・ネイビスは共に切手収集家には御馴染みだが、一般の方には余り知名度が無いカリブ海の小国で、人口も少なくFDCでも書留実逓便は少ないと思われる、セントキッツ・ネイビスは2年程前にセントクリストファー・ネイビスと国名変更されているが、以前もその国名であった。

4人目・吉田敬氏)ヨーロッパの雑誌より寄稿を求められて執筆途中の記事を一部紹介、内容的は日本とスイスとの郵便の歴史、非常に興味深い紹介でしたが、発表前でもあり校正等も掛けていないとの事で、冒頭部分の紹介だけとさせて頂きます。

5人目・中畑智文氏)今年1年を振り返り、前回とは対照的に残念だった入手品を紹介。

1件目、海外オークションで半分見えない状態で出品されていた3Sen連合ハガキ、YOKOHAMAの白抜抹消印が2個とLONDONE.Cの到着印が確認出来たが、下半分が見えない状態で出品されていた、左側の抹消印の下に切手が貼付された書留使用例ではと思い落札したが、日付印代わりに抹消印が押されていた使用例だった。

2件目、イギリス・レッドペニー6枚貼のケープホープ宛カバー、よく見ると右下の1枚はコーナーレターが合っておらず、5枚ブロック+1枚のカバーだった。

3件目、イギリス・最初の凸版切手6ペンスのカバー、カナダ宛で裏面にも到着印が押されており、比較的状態も良いと思ったが、折り畳み封筒が切られた状態のカバーだった。

6人目・重山優氏)旧中国・暫作参分の東川加刷と呼ばれる切手について、台切手に四川省重慶で加刷された物、加刷の出来が余り良くなくてバラエテイがカタログにも多く記載されており、紹介者もいくつものバラエテイを所有、文字間隔で第一次と第二次と分類されるが、実際には何方にも取れる加刷も多い、第一次は加刷が比較的スッキリ見えるが、第二次は加刷がボヤけて見える。

大東版と呼ばれる台切手にも2種類有り、透かし有りと無しが有る、透かし有りには第二次しか存在しない、シェードも透かし有りは比較的薄い緑、透かし無しは比較的濃い緑。

この暫作参分は伍分より八分に封書料金が値上げされた為、その差額用に発行された物だが、発行時には既に封書料金が値上げされて本来の使用目的には使えなかったり、当時の中国には切手ブームが有り未使用で保管された事などで、使用例や使用済は多くない。

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