2022年3月5日 20:00PM – 22:10PM開催『外国切手研究会 第83回Zoom例会』レポートです。参加者13人中9人の発表で質疑応答が有りました。
1人目・武田幸作氏)地中海ギリシャ沿岸・イオニア諸島の切手を紹介、1番切手は1859年発行で当時はイギリス領だった為ビクトリア女王のデザイン、その数年後には英国寄りのゲオルギオス1世が即位、当地はギリシャに返還された為に使用期間は短く、カバーの現存は非常に少ない。
1941年の第二次世界大戦時にギリシャはドイツに占領され、イオニア諸島の大半はイタリア領になり当時のギリシャ切手に加刷した切手が発行された、同じく使用済やカバーは少ないと思われる。
2人目・山崎文雄氏)ドイツ・ブレーメンよりハワイ・ホノルル宛スタンプレスカバーの紹介、サンフランシスコの到着印より1861年の使用例と確認出来る、ブレーメン6月1日発、ロンドン6月3日中継印、通常ならここからニューヨークに向けて送付されるケースが多いが、このカバーは西インド諸島やチリを経由してサンフランシスコに送られており、到着迄に80日を要している、詳細は解読中との事で現在分かっている範囲で解説されている。
質疑応答より、1861年4月にはアメリカで南北戦争が始まっており、その影響でアメリカ大陸横断を避けて運ばれた可能性が有るとの見解を頂きました。
3人目・中野健司氏)南北戦争関連を扱うアメリカ最大手切手商、PATRICA A.KAUFMANN より購入した郵趣書籍の紹介、CSA CATALOGは約500ページでカラー写真も多数掲載、歴史、政治、郵便史的にもにも興味が有り、入手困難だったがやっと購入出来たとの事です、同社のHPも充実しており、資料的にも貴重なマテリアルも多数掲載されています。https://www.trishkaufmann.com/
在住のニューヨーク郊外・RYEの町の御当地消を紹介、同氏が専門的に収集しているジャンルに比べ気軽に集める事ができ、日本や世界でも多くの方が地元の御当地消収集をされていると思われます、ニューヨーク州の郵便史研究会Empire State Postal History Societyのサイトも見つけ紹介、https://www.esphs.org/
4人目・藤本博嗣氏)新中国・1986年発行普23、各地の民家シリーズ3分切手の紹介、このシリーズは100面シートと60面シートで発行された3分は100面シートのみ、第4コーナーには銘版と中国で票銘と呼ばれる普通切手の組名二十三と図案の湖南民居が入っている、このシリーズ全14種類全部で100版以上有ると言われている、3分切手の1版との違いは、2版は分の文字に点が有るとの事です。
3分切手は1990年7月30日迄の市外印刷物料金、その後は8分に値上されたが、不足扱になっていない使用例も所有、大量に印刷発行された時期で印刷や用紙等の製造面のバラエテイも多く様々な使用例も有ると思われるが、封書基本料金の8分に比べると入手は難しい、基礎知識としてはJPS郵趣2009年11月号巻頭特集「中国切手・バラエテイ事情」の記事が参考になると思われます。
5人目・比留間晃則氏)フランスが最近発行したアニメーション図案の切手を紹介、日本では1975年にUFOロボ・グレンダイザーとして放映された人気アニメ、フランスでは1978年ゴルドラックのタイトルで放映され日本以上に大人気で、制作45周年記念の発行との事、JPS郵趣2022年3月号50ページでも解説されています。
2点目・フランス領インドシナ、1945年3月の仏印処理後の使用例の貴重なカバーについて、書留使用例で料金等について調べる資料や情報などが有れば知りたいとの事、質疑応答より仏印処理前後で郵便料金が変わっていないと仮定、前の時代の書状料金と書留書状料金を調べ、同料金のカバーの存在確認なども方法のひとつとの事です。
American Philatelic Societyにも有償で利用出来るライブラリーサービスが有るとの事。https://stamps.org/services/library/library-services
他にも下記サイトが参考になるかもとの事です、Les tarifs postaux d’Indochine (インドシナの郵便料金)http://jef.estel.pagesperso-orange.fr/tarifindo.html
SOCIETY OF INDO-CHINA PHILATELISTShttp://www.sicp-online.org/archive/laos_001.htm
6人目・有吉伸人氏)国際切手展LONDON 2022の出品作品 France 1849-1862 について、フィラニッポン2021にも出品された作品ですが、シェードバラエティの大型ブロックやマージン付テートベッシュ貼カバーなどのマテリアルを追加されたとの事、発表して頂いた魅力的なクラッシック25サンチームの5ページを紹介させて頂きます。
7人目・槇原晃二氏)ブラジル・1876年シリーズDonPedroⅡの紹介、第69回で紹介の1866年シリーズは同図案で目打12だったがこのシリーズはルレットになる、アメリカン・バンクノート製造で消印もアメリカのファンシーキャンセレーションに近いものが多く使われている、銘版もスペイン語と英語で入れられており、1866年〜76年シリーズ100面構成図案を見ると理解しやすい。
200レイスのポルトガル宛カバーは押されている消印を含め詳細を調査中との事ですが、eBayで同様の印が押されているカバーが販売中との事、このように同様の使用例を見つける事が出来れば、その商品説明を参考にするのもひとつと思われます。
10レイスは印面の変種も図版で紹介、消印違いの整理も赤の印刷に映えて美しいです。
8人目・吉田敬氏)1918年ウクライナで発行されたトライデントシリーズと呼ばれる切手の紹介、ロシア切手に三叉路と言われる図案が加刷された物、多くの世界カタログでは台切手番号と加刷図版のみが記されており、実際の切手の印象が分かりづらい、キエフ、オデッサ、ハリコフ、ドニプロ、ポルタバの各地で加刷され、其々に台切手が存在する為メインナンバーで200種類程になる。
当時ロシアより独立したウクライナは、ロシア切手が無加刷で使用されていたが大量に残っており、これがそのまま使われるとウクライナ郵政の収入にならない為、加刷切手を発行して原則として無加刷切手の使用を禁止、正刷切手も翌年には発行された為に使用例は少ない、質疑応答より、西側のポーランドに近い都市リボフでは、一部オーストリアに掛かっており、トライデント加刷のオーストリアバージョンも存在するとの事です。
最初の話題、イオニア諸島1番切手のカバーについて、昨年のテーマティク作品で使用した物、ナポレオン時代にフランスの衛星国だった事を解説するページで使用したマテリアル。
9人目・重山優氏)同氏のブログより、https://ameblo.jp/sonbun99/entry-12729719292.htmlで紹介している戦後台湾より日本宛使用例のマテリアルを紹介、旧満洲では四角、台湾では楕円形の検閲印が使用されている、差出人の名前は姓が中国で名が日本名、日本語教育時代に生まれた方と思われる。
1947年3月6日発、台湾では1946年12月より日本宛の封書と葉書を送る事が出来たが、貼られている3圓切手は国内封書料金で国際料金は6圓なので本来は料金不足と思われる。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。