2021年6月19日 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第61回Zoom例会』レポートです。参加者9人中5人の発表で質疑応答が有りました。
1人目)第57回で紹介したカバーと同時に購入した物、当初郵便料金が分からなかったが、右下に書留ラベルが剥がれた後が有り、書留速達で差し出されたと思われ料金内訳が判明した、1942年1月26日広州発、滋賀県宛。
ところが先日、ある関西の収集家もこれとほぼ同じカバーを所有されている事が分かり、切手の貼られ方が僅かに違うだけで、切手や受け人、日付や時間、ラベルが剥がれた跡も同一、おそらくラベルは剥がれたのでは無く、当初は書留速達で差し出そうとしたが、何らかの理由で書留扱いが出来ずにラベルは剥がされたが、切手はそのままで取り扱われたと思われる、同一郵便物が2通存在しているのは、法人間で何か重要な書類等が送られ、保険の為ではないかと考えられる。
2人目)ハワイ王国1865年数字切手とアメリカ切手とのコンビネーションカバーを紹介、ハワイよりアメリカ宛基本料金は当時5セントで、1セントと他の額面を貼り合わせたカバーが1通のみ存在する。
1通目、5セント(SC#21)とアメリカ切手5セントとのコンビネーションカバー、1865年インディアナ州リッチモンド宛、この5セント切手のコンビネーションカバーは現在43通が確認されているが、内4通はアメリカ切手が脱落しており、別の3通はアメリカ切手がオリジナルでは無い、ペア貼りは3通、単片2枚貼りは2通、 単片3枚貼りは2通となっているとの事。
2通目、5セント(SC#21)縦ペア2枚とアメリカ切手3セントと2セントとのコンビネーションカバー、1866年ニューヨーク州シャーマン宛、3通が確認されているペア貼りの内1通、このカバーは2倍重量便として10セント分の切手が貼られているのでは無く、発信地のハワイ島ヒロではホノルルと違いアメリカ切手を購入出来ない為、その分を含めてハワイ切手で支払った使用例、ハワイ切手の上からアメリカ切手が貼られているのはその為。
3通目、5セント(SC#22)とアメリカ切手5セントとのコンビネーションカバー、1866年ニューヨーク州コロンビアスプリング宛、この5セント切手のコンビネーションカバーは現在12通が確認されており、(SC#21)に比べ圧倒的に少ない。
3人目)第42回で話題の有った、スコットカタログではMESOPOTAMIAとして掲載されている地域のコレクションを紹介、同じ文章になりますが、歴史的には第1次世界大戦でトルコからイギリスが占領、国際連盟下で委任統治領となりイラク王国として独立国家となる、オスマントルコが残した切手にイギリスが暫定加刷した切手を発行、これらはバクダット加刷と呼ばれ、発行枚数も少なくわずかに10数日しか使われなかった為カタログ評価は比較的高価、余談として当時の国王ジョージ5世は切手収集家で、現地で切手を発行するのならコーナー田型を残しておく様にとのイギリス王室の親書が紹介されている。
次に発行された切手が、この台切手の印刷元で原版を所有しているイギリスのウイルキンソン社に無断で発注、そこに新たな加刷をしたもの、これらはイラク加刷と呼ばれ、継続的に使用された為カタログ評価は比較的安価。
今回紹介の切手はSC#42以降の物、オンピース使用済もイギリス占領軍が記念に作ったものと思われる、実逓便カバー2通はバグダット消、イギリス宛、カバーの大半が同様の発着か第二の都市モスル発。
少し変わった消印として、1919年9月8日、F.P.O、Ns102と入ったカバーも紹介、野戦局や軍事消ではないかとの事です、最後に紹介のカバーは前記カバーの3倍料金の切手を裏面貼、ドイツ宛航空便でこの時代の航空料金は比較高価だったと思われる。
4人目)アメリカ・1908年シリーズより3セントワシントンを紹介、このシリーズの特徴としてワシントンとフランクリン図案のみで主に刷色で分類、凹版と平版印刷、平面と転輪印刷、目打の分類と無目打、コイル切手、透かしの分類、印面のタイプなど、非常にバラエテイに富んでいるが、スコット専門カタログとJPSアメリカ切手図鑑を併用すれば理解しやすいと思います。
平面印刷と転輪印刷で分類、この3セントは2セントに比べるとタイプ分類も比較的少ないが、それでもこれだけの分類となる、非常に分かりやすく整理された物。
この1908年シリーズの私製目打コレクションを紹介、民間会社が自動販売機や自動貼付器用に無目打で販売されたシートに特殊目打を施した物、幾つかの会社とタイプに分けられる、古い雑誌よりコイル製造工程とイギリスでのコイル切手の製造工程の写真も紹介。
この1908年シリーズのプリキャンセルを紹介、地方型(現地加刷・加捺)に加え試行局型(印刷局製造時加刷)もこのシリーズでは一部使われた、プリキャンセルのカバーでは差出人住所の印刷が重要。
5人目)PHILANIPPON 2021に出品予定の作品より、ドイツ・プロイセンのコレクションを解説、その為制作途中のタイトルリーフと2リーフ目の一部のみ紹介、ドイツといえばバイエルンの一番切手が有名で、二番切手はザクセン、プロイセンは三番目だが、バイエルンやザクセンが凸版印刷だったのに対し、プロイセンはドイツ最初の凹版切手として発行された。
以前からのコレクションに対し、製造面のマテリアルを強化して再構成しているとの事でPHILANIPPON 2021での発表が楽しみです。
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