外国切手研究会 第63回Zoom例会レポート・前編

2021626日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第63Zoom例会』レポート前編です。参加者13人中10人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)前回紹介のラトビア・初期の合間に1種類だけ発行された10Kap.を紹介、1919.7.3発行そのデザインからライジング・サンと呼ばれるが、基本額面では無かった為か使用例は少ない、未使用は比較的残っており比較的安価。

用紙も1種類で無目打と目打11 1/2が有り、ガッターテートベッシュも存在するが、この切手の面白い所は定常変種の宝庫、少し大きなブロックなら、何某の分かりやすい変種が存在するのでお勧めとの事、ラトビア関連の資料としては、ドイツ語だがHOFFMAN Harry V.氏の書籍が非常に詳しく図版も豊富で分かりやすいそうです。

2人目)第61回の続きで、ハワイ王国1865年数字切手とアメリカ切手とのコンビネーションカバーで、世界的に有名なコレクションから紹介、ハワイよりアメリカ宛基本料金は当時5セントで、前回ペア貼りは3通確認されていると発表したが、その後の調査で4通の存在が確認されたとの事です。

1通目、5セント(SC#21)とアメリカ切手10セント3枚とのコンビネーションカバー、数字切手とのコンビネーションカバーでは唯一のプロシアン・クローズド・メール使用例、詳細は第53回後編や、The Philatelist Magazine4号の27ページより謎解郵趣で御本人が詳しく解説されており、一部紹介させて頂きます。

ここで、このプロシアン・クローズド・メールについて、説明をしておきましょう。 当時プロシアはドイツ・オーストリア郵便連合(German Austria Postal Union)に加盟をしており、そのメンバーはプロシア以外にも、オーストリア、ババリア、サクソニー、ウイルテンベ ルグ(Wurttemberg)、メクレンブルグシュベリン(Mecklenburg-Schwerin)、メクレンブ ルグスレリッツ(Mecklenburg-Strelitz)、オルデンブルグ、ブレーメン、ルクセンブルグ、ブラン ズウィッグ、リューベックおよびハンブルグがあった。 これらの宛先に手紙を送付する場合、ハワイはアメリカ本国を通じて手紙を送付するしかない のであるが、アメリカ本国とこのドイツ・オーストリア郵便連合加盟国との間で郵便を送付する 手続きとして交換局のニューヨーク局を介して郵便物の送付が1861年から行なわれたが、その郵便料金は前払いで28セント、後払いで30セント(collect paid)であった。 」

2通目、5セント(SC#21)横ペア2枚と1枚、アメリカ切手3セントと5セントとのコンビネーションカバー、このカバーは3倍重量便として15セント分の切手が貼られていると思われるが、アメリカ切手は8セント分の為2倍重量便扱いで詳細は不明。

3通目、5セント(SC#22)横ペア2枚とアメリカ切手5セントとのコンビネーションカバー、この5セント切手のコンビネーションカバーは現在12通が確認されており、(SC#21)に比べ圧倒的に少なくペア貼りとしては現存唯一の物、第61回でも同様のカバーを紹介したが、このカバーは2倍重量便として10セント分の切手が貼られているのでは無く、地方局発信でホノルルと違いアメリカ切手を購入出来ない為、その分を含めてハワイ切手で支払った使用例、ハワイ切手の上からアメリカ切手が貼られているのはその為。

4通目、1セントとアメリカン・バンクノート切手2セント2枚とアメリカ切手5セントとのコンビネーションカバー、5セント切手以外がコンビネーションカバーとして使用された現存唯一の物、この1セントは使用済自体が少なく、非常に希少なカバー。

3人目)以前から紹介している、アメリカ・ミステックスタンプ社で購入したアメリカ切手図入アルバムのカタログコレクションについての続報。https://www.mysticstamp.com/Products/Supplies/M8104/USA

切手パケットはAPSAmerican Philatelic Society)の有料セミナーに申し込んだ時に頂いたプレゼントで、貼り込み途中だが1番古い切手は1887年シリーズの普通切手、戦後の1954年シリーズ辺りはかなり揃っている、記念切手は1960年代頃から揃い始める、この頃から発行された連刷切手では、図案が独立している場合は別枠、連続している場合は同枠となっており、使用済を整理するのに適したレイアウト、又切手に対するの枠線が大きめの為、耳紙が付いていても切り離なくて良い、1978年のページは、郵便料金値上の可能性で額面が未定だった為、暫定的に”A”額面の切手や、コスト削減の為に実験的に1/3小さいサイズで発行された13セントなどが有り、見開きにその解説が有り便利。

日本ではJPSマーキュリーアルバムに相当すると思われますが、こちらはボストークサイズで値段もかなり安価、使用済み切手の回収率が高いアメリカでは入門にも復活組にも最適な選択のひとつと思われます。

4人目)最近例会でも盛り上りを見せているスタンプレス・カバーより、1851年チリの1品、同国のファーストイッシュー切手は1853年。

首都サンティエゴよりフランス・マルセイユ宛、消印などの情報より、パナマやイングランド経由と思われ、右下の手書き数字はフランスでの徴収料金42デシムと思われる、右上の手書き数字は1260だが詳細は不明、逓送ルートなどを質疑応答で解読。

尚、スタンプレスカバーは手書き数字の解読が必修だが、信用できるオークション誌などより、参考として幾つかの数字例を提示頂けました。

前編は以上で後編に続きます。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。