外国切手研究会 第42回Zoom例会レポート

202126日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第42Zoom例会』レポートです。参加者12人中6人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)ユーゴスラビア帯封使用例の紹介、正式にはセルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国なのでリーフでもそのように記載、消印は不鮮明だが局名はザグレブ2、イタリア・ローマ宛、年号は読めないが中身の新聞の日付が1925918日なのでその辺りと思われる、このような状態だが低額面切手でカバー等少なく、中身の新聞も付いていたので購入。

40回で話題が有ったタンヌツバについて小話、ここはソ連がモンゴルとの緩衝地帯として建国された国だが、昔から清代との間で領有権争いが有った地域で、中国では(モンゴルを含め)現在でも自国領と考えられている、中国語でタンヌツバは ”唐努鳥梁海”、中国の視点からの郵趣資料を紹介。

2人目)18661215日ウルグアイ・モンテビデオ発、1867124日フランス・パリ着、パクポーカバーの紹介、当時のヨーロッパと南米を結ぶフランス汽船の航路図例も合わせて紹介、切手に押されている錨入菱形印はフランス船内印ですが、フラテリックジャーナル2020の記事によると、横浜フランス局が火災消失時、入港した自国船より貸与してこの錨入菱形印を一時的に使用した例が有るとの事。

現在ウルグアイ関係を勉強中の為、これらカバーの情報や画像の専門カタログ等を探しているとの事です。

3人目)前回の続きで 、ハワイ王国・1893年発行暫定政府の赤色加刷切手、スコットNo562セント・ブラウン切手の紹介、POST OFFICE IN PARADISE – Provisional Government Issue: Beardsley Quantity Analysis (hawaiianstamps.com)

上記参考サイトによると25,000枚の発行、次のスコットNo572セントが主に使われた為、使用例やカバーは少ない、茶色印刷に赤色加刷の為分かりにくいが、多くの加刷バラェテイが有りそれらを紹介、単片貼カバー、5枚貼カバー、半シート下半分25枚最大ブロックの銘版付オンピース等いずれも貴重な使用例。

1889年発行スコットNo512セント切手の紹介、オフィシャルリプリントの実逓便カバーを2通紹介、このリプリント切手の使用例は少なく、外信便使用例はこの2通しか確認されていない。

3人目)アメリカ・ニューヨークの郵趣団体、コレクターズクラブで隔週開催されているオンライン例会での話題を紹介、スコットカタログではMESOPOTAMIAとして掲載されている地域の切手で、非常に興味深い話だったとの事です。

https://www.collectorsclub.org/videos/ (オンライン登録をすれば視聴可能です)

1時間の内容から掻い摘んだ話を紹介、歴史的には第1次世界大戦でトルコからイギリスが占領、国際連盟下で委任統治領となりイラク王国として独立国家となる、オスマントルコが残した切手にイギリスが暫定加刷した切手を発行、これらはバクダット加刷と呼ばれ、発行枚数も少なくわずかに10数日しか使われなかった為カタログ評価は比較的高価、余談として当時の国王ジョージ5世は切手収集家で、現地で切手を発行するのならコーナー田型を残しておく様にとのイギリス王室の親書が紹介されている。

次に発行された切手は、この台切手の印刷元で原版を所有しているイギリスのウイルキンソン社に無断で発注、そこに新たな加刷をしたもの、これらはイラク加刷と呼ばれ、継続的に使用された為カタログ評価は比較的安価、尚これらオスマン帝国の台切手も前回話題に出た、魔女が杖に跨って飛んでいる様に見えるスルタンの署名が描かれている物が有る。

自分のメイン収集範囲、日本統治下の朝鮮半島より田沢・旧大正毛紙カバーの紹介、下関釜山間の船内消カバーで宛先が別府となっていた為、最初は大分かと思っていたが、兵庫県にも別府が有ると分かった、質疑応答から別府の地名は日本には多く有り、荘園の租税を特別扱いにする事を表す「別府」に由来との事です。

5人目)最近入手したアッパーヤハのカバーについて、1967年頃アデン保護領として一時期アラブ土侯国同様、多くの切手が発行されていたが後にイエメンに吸収された、現在でも独立国では無いが、2000714日カナダ宛書留カバーには1998年と1999年に発行されたと思われる切手が貼られている、右の切手に描かれているURLはアクセスできず、差出人住所や書留ラベルの郵便局名も情報が無い、長年土侯国関係も収集しているが詳細が分からない、これら切手の情報を募集中との事です。

6人目)紹介者のメイン収集ドイツ・ジャーマンステーツより、自由ハンザ都市のハンブルグとリューベックを紹介。

ハンブルグでは18591/2シリングより9シリング迄がファーストシリーズとして無目打で発行された、ハンブルグ内と近隣都市との郵便は多く有ったが、遠くのベルリンやパリ宛などはプロイセンの切手を使った方が早く、当時ハンブルグにはプロイセンやデンマークも郵便局が有り、コンビネーションカバーやプロイセン切手のハンブルグ使用例も存在する、ファーストシリーズは未使用より使用済の方が非常に高価な切手が有り、その消印も簡単な印影の為入手には注意が必要。

18641 1/4シリングと2 1/2シリングがセカンドシリーズとして発行された、1 1/4シリングには多くのシェードバラェテイが有り、ミッヘルカタログでもリストされている。

リューベックでは1859年にファーストシリーズが発行されたが、1/2シリングと1シリングのみ、当初は透かし入で発行されたが後に他の額面同様、透かし無となった、この透かし入切手は未使用、使用済、カバー共に数が少なく高価。

尚、未使用シートには上下どちらかのマージンに確認の為、事務印が押されている。

透かし無切手は未使用は比較的安価だが、使用済みやカバーは少なく、簡単な印影やペン消しも多い為やはり入手には注意が必要。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。