外国切手研究会 第58回Zoom例会レポート

2021529日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第58Zoom例会』レポートです。参加者10人中5人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)前回話題に上がり、eBayに出品されていたインドネシア独立戦争時期1949年発行・椰子軍事切手に関する報告や調査について、最終的には日本円で約39万円で落札されました。

今回落札された切手は画像の特徴より、版欠点が記述された専門書の「R10」に相当のようです、外国のオークションカタログの表紙にも使用済が掲載された事が有り、以前の国際切手展で出品されていたコレクションの記述などから、シートは2×8のブロックで構成、現存数は100枚以下、使用された消印は9局、オークションカタログ表紙とコレクション中の使用済はSRAGEN局消。

アジア新興国などでは、独立戦争時期の切手やカバーは以前に比べ値上がり状況で、インドネシアは初期のアーカイブなども比較的残っており、複数のコレクターがアジア国際展に出品されているとの事でした。

2人目)最近入手した戦前の朝鮮よりアメリカ宛カバーについて、京城発マサセッチュー宛2倍重量便、KEIJOCHOSEN HOTELの封筒が使われており、裏面にはKEIJO OFFICE S.M.R.と印刷されている、S.M.R.とは南満州鉄道(The South Manchuria Railway Co., Ltd.)の略。

1917年より1927年位迄、朝鮮の鉄道は総督府ではなく南満州鉄道が委託運営していた時期であり、このCHOSEN HOTELは戦前の朝鮮半島では唯一の高級ホテルで、海外からのビジネスマンにも利用されていた、裏面の差出人も香港上海銀行の横浜支店社員と思われ、理にかなった使用例です。

質疑応答より同様のカバーを提示して頂き、CHOSEN HOTELの封筒は少なくとも2種類は有る事が分かりました。

3人目)APSAmerican Philatelic Society)で、夏に開催される幾つかの有料セミナーに全部申し込んだ所、届いたプレゼントのお話について、アメリカ本国や外国切手のパケット、カバーなどが届いた、特にアメリカ切手等は収集していなかったが折角なので整理の為、図入アルバムを購入したとの事で貼込み前なら3巻で最近迄の切手が掲載されているとの事、少年時代のワクワク感を思い出させる楽しい話題です。

American Philatelic Society

https://www.mysticstamp.com/Products/Supplies/M8104/USA

このミステックスタンプ社で扱っているアメリカ切手図入アルバムは、全3巻で1600ページ以上、3000枚以上の切手を掲載、ヒンジと切手のおまけ付、スコット番号や情報も掲載で送料別$59.95、切手を貼っていくとバインダーの追加が必要と思われますが、普及版として安価で販売しているようです、JPSのアメリカ図入アルバムは古い年代の巻は絶版になっている為、今後アメリカ切手のカタログコレクションに興味が有る方は、こちらを検討しても良いと思いました。

3人目)新中国・文革切手についての話題、197171日発行(革4)中国共産党50周年、以前のJPS新中国切手カタログには掲載されていた、1180-78-79-80左耳紙付4種連刷36面のフルシートと共にメルカリに出品されていた。

この4種連刷は36面シートから切り離されたのでは無く、左側が大きくマージンとなっていた為か40面シートに変更されて印刷されたシートより、左側の耳紙を付けた状態で4種連刷で切り離されたもので、画像の連刷がそれに該当する、36面シートから1180-78-79-80左耳紙付4種連刷を作るのは不可能、左耳紙が無い場合も判別は不可能の為に注意が必要。

以前のカタログで#1180が#1178や#1179より安価なのは、40面シートの発行で発行枚数が増えた為で枚数の記述は間違いと思われる、最新のJPSカタログには掲載されておらず、カタログ価も3枚共同じで、このバラエテイは無かった様になっている。

4人目)最近某オークションで落札した、英本国ビクトリア時代・18768ペンス切手について、英本国や英領を中心に長年収集している紹介者が、最も力を入れている英本国ビクトリア時代、カタログメインナンバーで唯一未入手だったマテリアル、この切手は未発行だがギボンズカタログにもスコットカタログ(#72)にもメインナンバーとして掲載されており、非常に入手困難だったとの事。

日本の手彫桜切手でも、未発行だがカタログメインナンバーとして掲載されている例も有る、殆どのカタログは政府や郵政が発行するのでは無く、デイーラーやそれら組織の為でしょうか。

未発行の理由は当時の2 1/2ペンス切手と刷色が似ていた為、大半は破棄処分されたが240枚のみ残された切手が市場に存在する、故に単純計算では、英本国切手のカタログメインナンバーを完集出来るのは世界中で最大240人しか存在しない。

正規に発行された8ペンスとそのカバー2通も紹介、ちなみに過去2番目に入手困難だった英本国切手は、以前紹介した1860年発行1 1/2ペンス切手の未使用との事でした。

5人目)学生時代に収集していた外国切手を、当時の情報と共に少し紹介、金箔切手のリーフはアジマンとガボン発行分、1965年のシュバイツアー博士の切手は世界最初の金箔切手として有名、拡大画像で見ると日本の新動植物国宝切手のミニパックの様なビニール袋に入っている、裏糊もついており、薄い金箔保護と指紋や湿気対策だったのでしょうか。

1967年発行のムバ大統領の切手はシール状の台紙となっており、こちらも薄い金箔保護とコストダウンの為だったのでしょうか。

1967年セントルシア発行の自治制加刷の25セント2枚は、台切手の文字部分を金色で消した後、青色と黒色で加刷された切手だが、本来は赤色の加刷でこの色はスコットカタログにも未掲載との事、何か情報が有れば宜しくお願いしますとの事でした。

発売当時の切手情報や入手は、大阪のカナイスタンプ発行のスタンプレーダー、三重の森下浩、京都のフジスタンプ、名古屋のユキオスタンプなど、懐かしい老舗の名前が上がりました、現在でも営業されているのはユキオスタンプだけですが、当時の先代店主はかなり外国切手に力を入れていたとの事です。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。