2022年1月15日 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第80回Zoom例会』レポートです。参加者13人中7人の発表で質疑応答が有りました。1月1日に開催された第79回Zoom例会は新年度の挨拶や近況報告で発表等は無かった為、記録だけとさせて頂きます。
1人目・山崎文雄氏)メイン収集のハワイより紹介、キングカメハメハ3世(SC#5-9)5セントのブラックプルーフは現在5点確認の内1点、参考カタログ値は6000ドル、13セントは2点確認。
13セント8枚ブロックはオフィシャルリプリント(SC#11R)、元はホノルルアドバイザーコレクション所有、マルティプルは少なく20面シートは1点のみ確認。
13セントペア”SPECIMEN” 加刷はアメリカンバンクノートで行われたもので希少なマテリアル、”REPRINT” 加刷は(SC#11R-S)、やはりマルティプルは少ない。
バンクノートイッシューより、12セント(SC#46)カバーの紹介、12セント料金は当時のオセアニア方面の封書料金だがこの切手の単片貼カバーは非常に少なく、確認されている3通はいずれもニュージーランド宛、1通目は紹介者所有のカバー。
6セント(SC#33)3枚貼カバーはアメリカ本土宛3倍重量便、多数貼はやはり少ない。
2人目・槇原晃二氏)オーストラリア・ビクトリアより、Laureateシリーズ貼り海外宛カバーを2通紹介、1通目はスイス宛書留、裏面の中継印と到着印はメルボルン、イタリア・ブリンディシ、スイス・ロカルノ、右上のAmbulantはスイスの移動郵便印、HwichanSong氏よりSwiss Ambulant Post Officeを解説したリンク先を検索して頂けました。https://swiss-philately.co.uk/wp-content/uploads/2017/02/Swiss_Ambulant_Post_Offices.pdf
2通目はロンドン宛、到着印と左上にフランス・マルセイユ経由の書込み有り、参考資料として当時の日本からスエズ経由ヨーロッパへの郵便ルートの図版を紹介、同時期のオーストラリアからも同等のルートではと思われます。
3人目・武田幸作氏)ツエッペリンカバーを2通紹介、1通目はドイツ・ツエッペリン母港フリードリヒスハーフェン1931年7月24日消印だが、その下に押されているのはロシアの砕氷船MALYGIN号7月27日の消印、当時北極探検で使用されており双方が落ち合うプロジェクトだった様、宛先はスマトラ・メダン宛、裏面に9月14日の到着印、北極からの逓送ルートは不明だが興味深い。
2通目はロシア切手のカバー、レーニングラード1931年7月25日消で現在のサンクトペテルブルク、こちらも1通目と同じMALYGIN号7月27日の消印、受取人のW.J.WIESE氏は探検隊を率いており北極探検で功績を残したロシアの科学者。
4人目・比留間晃則氏)オーストリア・1946年発行アンチファシスト展の有名な不発行切手2種について、内1枚を安価で購入したがこれについての真偽と、小型シートの切抜きに見えるが通常シート以外にも発行が有ったのかを知りたい、質疑応答より本物の田型ブロックを含めていくつかの画像を提示して頂きました、小型シートは発行されておらず、印刷や紙の感じから本物では無いと思われる、相場は約10万円位との事で、この2種は知名度や人気も高い為に昔から偽物や記念品が多く、近年は比較的精巧な物が多く流通しているとの事です。
5人目・北野雅利氏)前記のオーストリア・不発行切手2種は少年時代より興味が有ったが、正規に発行された切手は余り紹介された事が無く調べた所、未使用8枚セットが安価だった為に購入、不発行程では無いが刺激的な図案、使用期間が年末迄と短かった為に使用済やカバーはかなり高価。
6人目・重山優氏)旧中国・アメリカ宛の印刷物カバーを2通紹介、1通目は1946年6月8日、上海永寧加刷20圓2枚貼、ハガキを利用しているが50g迄の外国宛印刷物扱いで40圓、参考としてハガキ料金は120圓、封書料金は190圓だった。
2通目は1947年6月30日、蒋介石誕生60年記念200圓貼ラッパーで切手商差出しの料金表、目打の違いで2種類の印刷所製造別製造に分類出来る、参考として封書料金は1100圓、押されている消印の北平は現在の北京で小さく入っている(巳)はその北平市内の郵便局を特定する文字。
質疑応答で、虎頭雄彦所有の北京発日本宛ハガキについて、下部に逓信省の検閲印、中国側で押されたと思われる切手近くの⑤紫印が何か知りたいとの事、例会中には詳しい事は分かりませんでした、情報やヒントをお持ちの方がおられましたら、教えて頂ければ幸いです。
7人目・吉田敬氏)ゼネラルを続けている紹介者ですが、世界カタログに掲載されていない切手にも興味が有り、いずれも値段や全容は切手商のカタログ等しか無く色々と難しい面が有るが、最近入手した2組を紹介、1点目は1898年に米西戦争後の独立派が発行したローカル切手、電信切手や印紙も発行されていた、マルティプルや使用済は少ない。
2点目は1948年5月10日発行エルサレムのローカル切手、5月14日はイスラエル建国宣言、5月15日は第一次中東戦争開戦日、ヘブライ語の記述からもイスラエル側が用意した切手と思われる、前所有者の独自研究も入ったロットでエラーや定常変種、切手商の鑑定書も含まれていた。
他の最近の入手品では、状態良い蘭印の1番切手、アメリカのルーズベルト5セント普通切手に加刷したハワイ諸島発見150年記念切手フルシートなど、この切手はハワイと郵趣窓口でしか販売されなかった。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。