郵便制度史展2018(4/20-22日開催) 展示作品のご紹介

「郵政博物館(東京スカイツリー・ソラマチ9F)・特別コレクション展」としての2018年度第1回目となる「郵便制度史展2018」(出展者=郵便制度史展2018実行委員会)は、来月4月20-22日の会期で開催されます。

このほど、同展の展示内容9作品38フレームの詳細が固まり、実行委員会から連絡がございましたので、さっそく以下の通りご紹介いたします。

多数の皆様のご来場をお待ち申し上げます。

※展示内容は変更されることがあります。予めご了承下さい。

作品名 郵便条例から大正初期の逓信事業:官制・管轄・局種・消印・取扱
オーナー名 片山七三雄
【概要】
1885年の内閣制度発足、1889年の大日本帝国憲法発布に伴い、各種の近代的な法律が次々と施行されていきました。逓信事業においても、1883年の郵便条例施行など、明治中期から大正初期にかけて内国郵便制度が整備されるのに合わせ、中央管理、地方管理の体制が整備されてきました。これと並行する形で、郵便局の局種や取扱事務、消印も整理統合されたのがこの時代です。
本展示では、この時期の官制・管轄・局種・消印・取扱の変遷を中心に扱うこととします。本来ならば各々個別に扱うべきですが、本展示では、これらの流れを通時的に扱うことを主眼とするため、年代順に展示いたします。
作品名 軍艦郵便
オーナー名 森下幹夫
【概要】
軍艦郵便とは、万国郵便条約に基づき外国の領海や寄港地等にある海軍艦船から本国宛てに郵便を差し出す場合(逆の場合もあり)における閉囊郵便物交換の取扱いを言います。軍艦郵便はこれまで競争展をはじめ展覧会にはあまり出品されたことがありませんでした。理由の一つに、基本的に使用例は普通通常郵便物(大半は第2種はがき)しかなく、台切手(はがき)のバラエティが乏しい上、郵便制度面で見ても大きな変遷がないことから、結果魅力的なアイテムも少なく、展示作品として地味な存在であったことが考えられます。また、展示作品とするには郵便史料以上に海軍史料に目を向ける必要があり、面倒な(裏を返せば面白い)作業が必要となります。
この展示では軍艦郵便と、そうでないものも含め2フレームで概説するもので、不十分な点が多く、一つ一つのアイテムについても、さらに調査を加える必要があります。
作品名 戦後 加算料金時期の外国宛航空郵便
オーナー名 岩崎朋之
【概要】
1920年代、外国郵便への航空扱いが開始されて以降、その料金は基本料金に航空料金が加算される、いわゆる加算航空料金の形で運用されていました。そして、開戦から戦争の激化とともに外信航空郵便は完全に途絶し、終戦後も航空郵便の再開はしばらく待たなければなりませんでした。そして、外国郵便が再開してから約1年後となる1947年8月28日に外国宛航空郵便が再開されることとなりました。その料金体系は戦前同様、基本料金に航空加算料金が加えられる加算料金制となっていましたが、戦前の、ルートや宛先国によって料金が変わる複雑な料金体系から、いくつかの地帯毎に料金が変わる地帯別料金となり、非常に簡略化され利用はし易くなりました。この加算料金時期は、インフレの悪化とも重なっていたため、短期間で幾度もの料金改定に見舞われました。戦後航空郵便再開の1947年8月から、基本料金と航空加算料金がまとめられた併合料金制となる1951年12月1日以前の4年間が、本作品の対象となる加算料金期間ですが、この間で2度の料金改定があり、3期の料金時期が存在します。本作品は期間毎に、各地帯宛の実例を種別に紹介するものです。
作品名 訴訟審判審査書類郵便
オーナー名 中村 悟
訴訟書類郵便制度開設前から昭和23年の新郵便法施行直後までのものを、審判審査書類郵便も含めてまとめました。速達便や重量便はもとより、専用封筒、郵便表示印、「訴」入りの書留番号票等のバラエティにも重点を置いています。審判審査書類郵便については材料が少ないため、フォアランナーを含め一部分にまとめて展示します。訴訟書類郵便制度は、明治24年7月1日に施行されましたが、裁判所自体は明治4年から存在しており、制度施行前の使用例(最古データは明治7年中)も訴訟書類郵便制度史上、必要です。本作品では明治8年の使用例を展示します。さらに、制度施行前の代表的なものとして、書留扱いや、普通便での通知など様々なものに留意しています。訴訟書類郵便の最初期使用例は、明治24年7月9日(制度施行9日目)ですが、本作品では、明治24年9月1日·ハ便差立(3番目に古いデータ)の使用例を展示します。また、新旧シリーズ切手の混貼使用例として、3点のみ確認している、大正白紙切手と旧大正毛紙切手の混貼使用例もお目にかけます。
作品名 第4種郵便史
オーナー名 行德國宏
【概要】
明治22年10月1日の郵便規則の改正から昭和41年7月1日に廃止されるまでの第4種郵便を5フレーム(80頁)にまとめた作品を展示します。
第4種郵便は、(1)各シリーズの低額面切手貼が多く、何らの変哲もない使用例として駄物扱いされているが、書留・速達や代金引換まで存在する、(2)同封された内容品を明確に表示しないと第1種無封郵便と区別ができないややこしさがある、という特徴があります。
各使用例には同封内容品の種類を明記しました。ご参観の皆様のご批評を頂きたいと思います。
作品名 1937年の急速郵便制度改革
オーナー名 池田健三郎
【概要】
昭和12(1937)年は、それまで取扱地域が限られていた速達郵便サービスが原則として全国にあまねく展開された、わが国郵便制度史上きわめて重要な年にあたります。従来は「別配達・速達・内国航空」の3つの急速送達制度が並存していたところを、8月16日以降は内国郵便の急速制度は事実上、「速達」に1本化されており、この日を含む昭和12年中の急速郵便制度の移ろいには目まぐるしいものがありました。
本展示ではそうした一連の流れを、実際に逓送された郵便物によって時系列的に辿っています。昭和12年の速達便など、沢山存在すると思われがちかも知れませんが、この物量とクオリティに到達するまでに30余年を要しています。
作品名 戦後の欧文櫛型印(東京・横浜)
オーナー名 石川勝己
【概要】
戦後の櫛型欧文印は、種類が多くバラバラに見えますが、形状、使用時期により約16種類位に分類できます。ここでは、東京局と横浜局を例にして、分類しています。分類記号は、C欄NIPPON表示はN、JAPAN表示はJとし、2番目に材質が金属印ものはK、ゴム製の印はGとしています。同じ表示、材質で形状が異なるものは、使用時期を順番にⅠ、Ⅱと番号を振っています。今後、この分類によりデータがまとまれば、使用時期との関係で切手により珍品ができてくるでしょう。まだ完収ではありませんが、展示させていただきます。
作品名 日本の郵便機械化―高度経済成長期以降の軌跡
オーナー名 板橋祐己
【概要】
本作は「日本の郵便機械化」を郵便史作品としてまとめたものです(一部に競争展示での使用には相応しくない材料を含みます)。第1フレームでは日本の郵便機械化が本格化していった過程を、世界的な郵便機械化の潮流とともに、郵便機械化企画室に深く関連するマテリアルなどで再構成しています。第2フレームでは発光検知の悲劇と色検知方式の採用を、第3フレームで郵便番号制の歩みについて展開しています。もっとも、例えば郵便番号宣伝キャンペーン切手が色検知方式と郵便番号周知の2つの要素を併せ持っているように、郵便機械化関連の郵趣材料は複層的なものが多くなっています。本展示においても、各テーマ群の重なり合いが生じてしまうのですが、概ね時系列的となる配置を試みています。
作品名 簡易書留郵便
オーナー名 町屋安男
【概要】
簡易書留郵便は、昭和41年7月1日の郵便改革時に一般書留郵便制度の合理化として新設されました。一般書留郵便は、郵便物の引受から配達までの前送達経路を記録し、万一途中で紛失・破損した場合は差出人の申し出た損害要償額の範囲内で、その実損額を賠償する特殊取扱い制度です。これに対して簡易書留郵便は、引受と配達の時だけ記録をして、賠償も二千円を限度とする実損額という簡易記録と定額賠償の取扱い制度となります。
簡易書留郵便史では、郵便改革下における郵便制度の変遷を料金期間で時期区分をして、郵便切手の様々な組み合わせ使用例を展示してみました。