外国切手研究会 第85回Zoom例会レポート

202242日 2000PM – 22:10PM開催『外国切手研究会 第85Zoom例会』レポートです。参加者10人中5人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・山崎文雄氏)ハワイ王国のスタンプレスカバーを3通紹介、ハワイに郵便局が出来たのが1850年、宣教師切手として有名1番切手は1851101日発行。

1通目、1850年アメリカ・マサセッチュー州スプリングフィールド宛、サンフランシスコ局中継印1850812日、切手発行以前のカバーで右上に大きく”SHIP42”料金の書込みが有り42セント前払い、内訳は太平洋側から合衆国東部宛料金40セントと船長支払い分2セントで1851630日迄の料金、サンフランシスコ迄を運んだ船名も判明している。

2通目、ホノルル局185496日、アメリカ・ウインダム宛、サンフランシスコ局中継印1854930日中継印、この年代は宣教師切手切手が発行されており、その場合は13セント切手が貼られる、右側に”HONOLULU US POSTAGE PAID”、中心に”PAID 8 SHIP”の印が押されており、ハワイ内料金5セント、アメリカ国内料金6セント、船長支払い分2セント合計13セントを現金で完納済のカバー、これもサンフランシスコ迄を運んだ船名が判明している。

3通目、ホノルル局1854103日、アメリカ・コネチカット州ハーウイントン宛、サンフランシスコ局中継印1854111日、パナマを経由して西海岸から東海岸へ運ばれており、こちらはサンフランシスコ迄とその先迄運んだ船名も判明している。

2人目・重山優氏)旧中国・重慶華南2版(基数)孫文切手について、重慶華南1版とは額面表記の違いから簡単区別出来る、9額面の内、低額2種と高額2種はカタログ値も高く、特に高額2種類は使い道も限られており未発行に近かったと思われる。

発行日の194968日は既に上海が共産軍により解放されており使用地域は限られていた、主に福建省や広東省でそれも全域では無い、目打バラェテイや銘版付ブロック、別納使用と思われるブロックも入手出来る範囲で所有、JPS旧中国切手カタログの発行枚数はあくまでも印刷枚数で、低額2種と高額2種が出回った数はかなり少なく、カタログ値に反映していると思われる、当時はメータースタンプや収納印も使われた上、混乱している蒋介石側に対して毛沢東側が国幣や金圓券を人民元に交換するといったキャンペーンも行われた為、高額2種は特に少ない。

3人目・武田幸作氏)タイタニックの記念カバーを2通紹介、1通目が船内局消印、2通目は出航地SOUTHAMPTON消印で共に出航日1912410日、結論から言うと残念ながら2通とも偽物カバーとの事、全体的に100年前のカバーとしては状態が良い点と、両カバーに貼られているイギリス切手は1912410日以降に発行された物で決定的、因みに1通目カバーのカシェに描かれているR.M.SRoyal Mail Shipの略でタイタニックは郵便船でもあった、余談だがタイタニックが沈没した1912415日は北朝鮮初代最高責任者・金日成主席の誕生日。

質疑応答よりtitaniccovers.comというサイトの紹介が有りました、http://www.titaniccovers.com/

4人目・槇原晃二氏)ウルグアイ・1866年発行数字シリーズ10C切手貼、イタリア・レサ宛カバーについて、色々な情報が有るが詳細を調査中との事で紹介、1876429日ウルグアイ・モンテビデオ発、フランス船内パックポー印、フランス・パリ中継印、不足料を表す”T”の印が押され、イタリアで不足料切手140C分が貼られている、黒の手書き14?青の手書きで80の文字が描かれている、当時ヨーロッパ宛料金は10Cと思われるので、重量便だったのか、他の要因が有ったのか情報を募集中との事です。

同じくウルグアイ・1941年発行画家ファン・マヌエル・ブラネス死去40周年のプルーフを紹介、イギリスのウオーターロウ&ソン社製の立派な凹版印刷、いずれも10枚ブロックで発行枚数やシート数、画面上の修正箇所や確認事項などが手書されており、製造過程の分かる貴重なマテリアル。

5人目・藤本博嗣氏)スタンペックスジャパン2022出品作品より、旧中国のマテリアルを3点紹介、1点目、小判切手とのコンビネーションカバー、以前から所有していたアメリカ宛マテリアル。

2点目、昨年のスタンペックスジャパン2021で指導を受け入手した、菊切手無加刷とのコンビネーションカバー、数年後に支那加刷が使われる為、無加刷の使用例は非常に少ない、ChfefooよりShanghai経由、Yokohama宛、鉛筆書でWeihaiweiYanteiが記入されており、中継印等は無いが経由地と思われる。

3点目、Foochowで使用されたバイセクトカバー、台風により1分切手が不足した為、郵政総局に許可を得て使われたと言われているが、最近の調査では外国人が作ったフィラテリックな物との意見も有る、カタログのメインナンバーも有る為に必要を感じ、幾つかの偽物も含めてかなり昔にやっと手に入れたとの事で鑑定書も有るが不安も有るとの事、使用期間は3日間しか無く、マテリアルの95%は偽物と言われており、その大半が当時の福州に勤めていた局員が作成した物らしい。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。