2022年5月7日 20:00PM – 21:40PM開催『外国切手研究会 第87回Zoom例会』レポートです。参加者11人中6人の発表で質疑応答が有りました。
1人目・武田幸作氏)全世界で話題のウクライナ切手「ロシアの軍艦、くたばれ」の実逓書留FDCを紹介、詳細は郵趣2022年6月号でも解説されている、4月12日の発売後は一般のTVやインターネットニュースでも取り上げられました、発行枚数は100万枚でウクライナの記念特殊切手としては普通の枚数ながらも、世界中で大人気の為入手は非常に困難となっている、運良くある伝で入手出来たとの事ですが価格は高騰中、ネットオークションでも近年の切手としてはトンデモナイ値段で出品されている様です。
2人目・山崎文雄氏)メイン収集のハワイより最近の入手品を紹介。1点目、キングカメハメハ3世13セント(SC#6)のブラックプルーフ、旧石川良平コレクションで、山崎氏が確認している3点中の1点で希少なマテリアル、第80回で紹介した5セント(SC#5)と揃える事が出来たとの事、参考カタログ値6000ドルだったが、今回入手のオークションでは約9000ドルとなり、円高と手数料でかなりの値段になったとの事です。
2点目、2セント数字切手の使用済、額面のCentsの後がピリオド( . )では無くコンマ( , )になっているバラエテイ(SC#13b)、確認数は未使用1点、カバー1点、使用済はこのマテリアルを含め3点との事、薄いブルーとダークブルーの刷色が有りこれはダークブルーの方、数字切手は横2枚縦5枚の10面シート構成でプレーテイングが可能、専門分類でこの2セントは1A、3A、3Bと呼ばれる3つのプレートが存在し、1Aポジション2のタイプ10のバラエテイになる、参考カタログ値6750ドル。
3点目、バンクノートイッシュー1セント(SC#30)田型のSPECIMEN加刷、通常の見本ではなく、ナショナルバンクノート社からアメリカンバンクノート社へ印刷製造の変更時、同社の見本として保管されていた物が市場に放出されたもの、シートの分割時に裏面糊の上から鉛筆書きでポジションが記載されている。
4点目、バンクノートイッシュー2セント(SC#52)のSPECIMEN加刷、この切手の見本は非常に希少で今まで見た事が無かったとの事、見本に関してはバンクノート社で加刷された物と、UPU加盟国に贈呈された先で加刷した物が存在する為、鑑定書が求められる時も有る。
3人目・重山優氏)同氏のブログでも紹介している、使用済が非常に少ない孫文切手ロンドン版双圏2分について、https://ameblo.jp/sonbun99/entry-12740985950.html
使用済のカタログコレクションでも、殆どの方は未使用で代用か空白になっているとの事、カタログナンバーでは先になっているが、2分の発行日は単圏が先で、双圏は中々売り捌いて貰えなかったと思われ、双圏版1分と同時期の北京版烈士1分の使用済は大量に有る事などから、殆ど出番の無いまま終わってしまったと思われる、出回るのも遅かった為か余り広く配給さていない様で、上海とその周辺の使用例が中心で年代も遅い物は見つけにくいとの事です。
4人目・比留間晃則氏)地元郵趣会の切手展に向けた作品用として、好きなテーマのひとつで入手予定のシーラカンス切手をいくつか紹介、コモロが1954年発行した切手は有名で人気も高い、同国はフランス領の為カラートライアルも存在するが最難関のひとつ、コートジボワールの1980年代の切手も発行枚数が少なくカタログ値は比較的高価、シーラカンスが最初に発見された南アフリカでは小型シートを含めたセットが発行されている。
5人目・槇原晃二氏)フランス・1863年発行ナポレオン3世の切手を印刷前の用紙に貼り付け、そのまま新聞を印刷して消印された物で、新聞税として徴収されたと思われる、プリキャンセルのフォアランナーとの位置付けも有るマテリアル、古くはJPS図解切手収集百科辞典、オットー・ホルヌンク著/魚木五夫訳の97・98ページにも解説が有り、この方式はトルコやオーストリア他でも用いられたとの事です。
ウルグアイ・1882年発行ナショナルシンボルズイッシューの紹介、最初のリーフはトライアルカラープレートプルーフ、この切手の特徴は10×10の100面シートだが、印面に各ポジションが1から100迄数字で印刷されている、他国の切手でも同様の例は有るとの事です、1センティシモと2センティシモの2種類だが、2センティシモは次の切手が発行された時に使用禁止になった後、1884年在庫処分の為に加刷を行い発行され、この切手のみ使用可能とした。
この加刷分の2センティシモは使用例が少なく、紹介のフランス宛プリンテッド・マターは、海外宛1枚貼カバーとしてこの1点のみが確認されている。
6人目・藤本博嗣氏)第83回の続きで、新中国・1986年発行、各地の民家シリーズ4分切手の紹介、このシリーズは100面シートと60面シートが有るが4分は60面シートのみ、第1版から第5版迄有り、第1版のみ図の様に「白壁」となっており、その他の版は「茶壁」となる。
4分切手は市外葉書と市内封書の適正料金、2通のFDCは共に第1版の特徴の「白壁」になっている、発行枚数は公表されていないが、第2版以降は製造面のバラエテイも多く用紙や耳紙、特にシェード違いが多く有り、調査収集を継続中との事、基礎知識としてはJPS郵趣2009年11月号巻頭特集「中国切手・バラエテイ事情」の記事が参考になると思われます。
最後にお知らせと情報の募集)第85回で藤本博嗣氏が発表された旧中国と日本のコンビネーションカバーのレポートに、安藤源成氏より質問コメントを頂きました、ありがとうございます。
「10.JAの上海からU.S.A.宛の小竜Ⅰ角 下駄印消し 新小判10銭 SHANGHAI 年号2字消しのエンタがあります、概説をお願いしたいのです、他に当時のものが数点在ります。」
との事で3点の画像を頂きました、藤本氏のマテリアルを含めて掲載させて頂きます、どんな事でも結構ですので、何か情報を頂ければ助かります、宜しくお願いします。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。