2020年7月11日 20:00PM – 21:30PM開催『外国切手研究会 第12回Zoom例会』のレポートです。参加者11人中5人の発表で質疑応答が有りました。
1人目)前回亡命政権切手の質疑応答の追加情報、チベット亡命政府が1972年と1974年に発行した切手について実逓便は無い模様とコメントしたがFDCは存在するとの情報。
切手収集歴の自己紹介、1965年生まれで少年時代切手といえば10円松と20円鹿しか知らない中、郵便局で見た1975年りんご100年記念切手発行発売告知の紙を見て興味を持ち日本切手の収集を始めた、そんな中でも1965年国際文通週間切手が自分の誕生日発行の為特に思い入れが有る、地元の郵趣会に参加し始め、そこの貼込帳からハンガリー切手を安価に入手したのが外国切手収集の始まり、中学生になりハンガリー切手の恩師が残念ながら亡くなった事とカタログも無かった事もあり、比較的安価でカタログも有る新中国にシフトして行き数年後カタログコレクションをほぼ完集する、その後は暫く次のテーマを色々探す物の今一つ自分に合うのが見つからずにいたが結局時代を遡る事となり旧中国をメインテーマとする、当時上京していた事もあり主に田端スタンプと中川スタンプに通い両店主にはお世話になる、もう一軒の浅岡スタンプでは自分の希望する郵趣知識は得られなかったが中国切手部会を紹介され、初めて郵趣仲間を得た事も有り現在の自分に至るとの事。
2人目)イギリス使用済パケット870枚入りを最近購入、マーチンシリーズを集めたいと思いほぼ完集出来るかと分類したがマーチンシリーズは半分以下の枚数で大型高額切手も入っておらず残念、改めてカタログを見て整理した所結構やりがいが有りそうなシリーズと改めて思った。
本日手に入れた蘭印カバーについて、実逓カバーを集めたくて購入したが実逓か記念品か分からない、1933年12月20日現バンドン近のチマヒ消、同年12月27日バタビア中央で航空印が押され裏面に同年12月30日アムステルダム着印、質疑応答から本国行実逓カバーには間違いない無いがFFCの可能性も、3枚の切手で航空切手だけバダビア中央消の意味は分からず航空料金等を調べて見る必要は有る。
3人目)ポルトガル領モザンピーク(アフリカ)のロランスマルケス(現首都マフト旧称)都市切手のカバーの紹介、切手自体は1893年より1921年頃迄使用例が有る、1通目郵便電報公社のコーナーカード入り封筒使用の本国ポルト行書留カバーで460レイス分の切手貼、1915年1月18日モザンピークカンパニー首都ベイラー消、裏面にリスボンの中継印、2通目ドイツライツリッヒ行書留カバーで450レイス分の切手貼、1901年5月11日消イタリアナポリ経由、3通目ハガキと切手自体はモザンピークの物だがロランスマルケスから本国リスボン行書留ハガキ、1897年1月9日消、本国同年3月12日の着印有、10レイスハガキに書留料金50レイス分の切手が加貼されたと思われる。
いずれも現在スペインの切手商で即売されている物、使用済切手自体は比較的安価だが状態の良いカバーはアフリカ物という事も有り貴重でそれなりの値段との事。
このようにモザンピークとしての切手が有りながら同国で都市切手を発行したケースとして、前回紹介のモザンピークカンパニー(ベイラー)、今回紹介のロランスマルケス、ケリマーン、インハンバーンが有り何も比較的大きな港町、これらの詳しい発行理由は分からないが通貨単位も同じで他都市での書留使用例が有る事から持込分の相互使用も可能だったと思われる。
ハワイ王国クラッシックコレクションの紹介、1862年発行数字切手2セント(スコットNo.16)の専門分類コレクションで単片の方はプレート3、Fタイプポジション9とGタイプポジション9の物、1枚目はオリジナル、2枚目3枚目は同一切手ながら印刷面が欠けたバラエテイで4枚目は印刷面がリストアされた物、これらが同一線上に並べられた迫力のコレクション、特に3枚目のバラエテイは現存報告1点と言われている、1枚目は遷都前の首都ラハイナ消、2枚目はホノルル消、3枚目もラハイナ消だがインクがブルーの物、4枚目は未使用。カバーはプレート3、Fタイプポジション6切手貼、1863年7月2日ラハイナ消ホノルル行、いずれも著名コレクションからの物でプロブナンスや切手戸籍も記載。
1853年キングカメハメハ3世切手のオフィシャルリプリントコレクションの紹介、1899年にリプリントされた物で5セントの方はオリジナルカラーはブルーだがこれはオレンジレッドで印刷されたカラートライアルの様になっている、現存3点の内の1点でダイナンバーC-217、13セントの方はオリジナルに近い色で印刷されている、現存4点の内の1点でダイナンバーC-218、いずれも大変貴重な物。
4人目)同じくハワイ王国、1862年発行数字切手2セント(スコットNo.16)オンピースの紹介、専門的にやっていないので詳細は調べていないとの事だが、専門収集家の前氏によるとタイプ8、ポジション8、ホノルル消でマージンも広く良い品物、後はプレートを調べてみると良いとのアドバイスをされてました。
ヘルゴランドコレクションの紹介、1881年3月28日同地発ドイツブレーメン行カバー、裏面に翌日の到着印が有り地理的にも近かった為と思われる、リーフの方は単片未使用コレクションだが、この切手は払い下げられた原版を用いてのリプリントが有り、その見分けをする為にカバーならオリジナルと思い参考にしたが今一つ分からないとの事、この切手に詳しい某氏のアドバイスによるとミッヘルカタログを参考にすればリプリントされていない切手も有り、それに関してはオリジナルと判断しても良いのだが、切手の原版と共に印鑑の方も払い下げられハンブルグのお土産屋さんが所有していた事も有って、カバーならオリジナルとは必ずしも言えない為に鑑定書に頼るのも一つの手との意見。詳しくは次回以降、作品を使って解説して頂けるとの事。
5人目)前々回紹介されていた、スイスのハマーオークションに出品されていた30サンチーム不足料金切手貼りカバーの件ですが、事前入札が出来なかった為オンラインビットで無事入札落札出来ましたとの報告です。
2人目その2)カバーの郵便料金の調べ方について皆さんはどうされているかという質問、解答例としてはその国の専門カタログに載ってるのならそれを利用する、ドイツならミッヘルなど、旧中国に関する意見として、その情報が正しいとも限らない上に中国本土で詳しい情報を持っている方が居られても今の体制では公開して貰えないので諦めて推測する、台湾の方の情報を利用させて頂く、別の回答例として本国の専門カタログでも郵便料金が掲載されているとは限らない上、最近の状況では文献も余り出版されていないと思われるので、専門家が作成したコレクションの記載情報を参考にする、外国の郵趣会が作っているHPに詳細な記述がある場合も有るのでそれらを利用させて頂く等の意見が有りました。
以上です。今回はハワイ王国のコレクションが圧巻でした。日本では見る機会が少ない切手で詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問等有る方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。