2020年11月21日 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第31回Zoom例会』レポート後編です。参加者12人中7人の発表で質疑応答が有りました。
5人目)日本発リトアニア宛カバーの紹介、ふるさと切手の小型シート切抜使用例を気に入って購入したものだが、差出人以外が記入したと思えるU.S.S.Rが気になった。
1991年4月3日静岡県差出し、リトアニアの独立宣言は1990年3月だが、最初に独立を承認した国はノルウエーで1991年2月、ソ連が渋々承認したのが1991年8月、リトアニアの国連加盟は1991年9月17日、日本の承認はその直前の1991年9月8日だった、ソ連内のリトアニア共和国という扱いでU.S.S.Rを記述しないと日本がリトアニアを国家承認したと捉えられ、国際問題に発展する懸念も有る為、止むを得ずこのような処置が行われたと思われる。
6人目)アイスランド・ファーストイッシューからの初期コレクションを紹介、1番切手の発行は1873年で日本とほぼ同時期、アイスランドは人口も少なく、少し前に今後新切手は発行しない事を発表して話題になった。
当時はデンマークの自治領扱いで切手のデザインもほぼ同じ、印刷製造もコペンハーゲン、人口は約10万人程度だったという事で使用済の方が高い傾向が有り、カバー類もやはり少ない。
7人目)英連邦占領軍切手コレクションの紹介、英連邦軍は大戦後、広島の江田島を中心とした四国中国地方に駐屯したが、そこで使う為の軍事郵便用切手、オーストラリア切手にB.C.O.Fの加刷がされた7種類で、昔はJPS原色日本切手カタログにも掲載されていた為、何かの記憶として知っている方は多いと思います。
無加刷使用例も有る中、加刷切手が発行された背景には色々な理由が考えれらるが、やはり当時の軍人の中にそれなりの収集家がいて、その意向が反映されたのでは無いかと思われる。
製造面では加刷のプルーフやトライアルなども有り、専門書によると加刷バラエティも多く有る。
使用例では広島・呉と江田島が圧倒的に多い、単片貼や全種貼カバーは比較的見かける為、マルティプル貼やフィラテリックで無いカバーをなるべく集めて行きたいとの事。
参考文献としては、2013・2014年頃にオーストラリアのモスグリーンというオークションハウスが、これら切手の纏まったコレクションを売り立てた時のオークションカタログと、1981年出版「B.C.O.F加刷切手と日本及朝鮮における英連邦軍及インド軍の軍事郵便業務」伊東由巳著が挙げられる。
質疑応答として、広島を中心として使用されたこれらのコレクションを歴史資料の観点からも、ヒロシマスタンプショウに出品して欲しい、軍事郵便局の資料を紹介して欲しいなどが有りました、後者については2冊の書籍から1部抜粋して掲載させて頂きます、共に40年程前の出版物なのですが、問題があれば修正させて頂きます。
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