外国切手研究会 第32回Zoom例会レポート・後編

20201128日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第32Zoom例会』レポート後編です。参加者11人中5人の発表で質疑応答が有りました。

4人目)以前JPSミニペックッスで発表した作品から、南方占領地ビルマの部分を紹介、有名な矢野切手、農耕図案切手が発行される以前、英領ビルマの加刷切手や正刷切手を台切手として、宗主国だったイギリス国王の図案を抹消するように孔雀の図案が加刷された。

加刷された孔雀の図案形式から、いくつかの分類がなされている、実逓使用は非常に少なく真偽の判断は難しい。

ビルマに近いインド・アンダマンニコバル諸島でも、英領インド切手に加刷して発行された南方占領地切手も存在するが、簡単な加刷の為にこれも真偽の判断は難しい。

質疑応答として、動物図案の加刷切手は面白いが他にこのような例は無いか? 回答として、タイ切手でライオンの顔が加刷された例を紹介、意味的に同等の例として、第2次世界大戦後、ドイツのヒットラー図案切手の顔を消したり見えなくする目的の加刷切手の例など。

5人目)以前の続きで、中華民国・上海大東4版切手に関する紹介と考察、1から1000迄の9種類、2030のみ上海中央版が存在し、’郵’ の文字や印刷の鮮明さの違い、上海中央版はネクタイ部分に ’T’ のシークレット文字が入っているなどで分類出来る。

目打も上海大東4版はP.14のみ、上海中央版は3種類存在する、厚紙薄紙が有り、シート構成は全て横2010200面、銘版も左右の上下に有り合計4カ所で右下には版番号が有る。

中国国民党末期の発行で使用区域も限られており、大半の消印は上海、インフレも進んでいた為、満足出来る使用済やカバーを揃えるのは困難。

質疑応答として、中国国民党が台湾に移った後この切手が使用出来たか? 回答として、当時の台湾は日本の通貨を戦後も継続して使っていた為、これら金通貨の切手使えなかった。

3人目・その2)自分のコレクションから、南方占領地ビルマ加刷切手カバーを紹介、真偽は如何でしょうかとの事、正直な所難しく画像から判断する限りは怪しいが、本物なら大珍品との事です。

お知らせ)前回、前々回の南マルク共和国の切手の件ですが、とても詳しいコメントを頂いたので紹介させて頂きます、郵趣先進国アメリカの情報ですが、切手としての使用は無かったが、単純に収集家目的のボーガスやシンデレラ切手とは言い切れないかもしれません。

「南モルッカ」とかいう国名の架空の切手があると、収集を始めた子供のころ、何かの切手の記事で読んだ記憶があります。そこで、アメリカの郵趣百科事典「This is Philately(Kenneth A. Wood/1982年刊)を見たところ、次のように書かれていましたので、参考のために紹介します。

South Moluccas:
The South Moluccas Republic was a short-lived entity in the Moluccas, or Spice Islands. These islands lie between the Celebes (Sulawesi) and New Guinea.
The South Moluccas group comprised the islands of Buru, Ceram (Seram), and Ambon, according to Dr. Robert E. Florida writing in Stamp Collector (Jan. 1, 1977).
Some of the inhabitants of these islands wanted to be independent of Indonesia when that country was formed after World War II from what had been the Dutch East Indies.
For a short time during 1951, a provisional government existed, but Indonesia’s military forces brought the islands under its control, and the provisional government went into exile in the Netherlands.
It is this government -in-exile that is presumed to have issued a number of stamp-like labels inscribed “REPUBLIK MALAKU SELATAN” that has come onto the philatelic market in large quantities since 1951. These labels are still encountered, and since none are listed in the major catalogs, they tend to confuse collectors.
Florida lists nine issues released from 1951 to 1974, a selection of which is illustrated. He states that it is doubtful that any of these items ever did postal duty in the islands.
Another label inscribed “REPOEBLIK MALOEKOE SELATAN” is known, and stamps of the Dutch East Indies overprinted “RMS” are rumored to exist.

短期間存在した臨時政府がオランダに亡命し、その亡命政府が作ったラベルらしい、ということですが、詳しい翻訳はお任せします。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。