南方占領地切手コレクターズクラブ第9回ZOOM例会レポート

南方占領地切手コレクターズクラブ第9回ZOOM例会レポート

2021年2月24日 8:00PM~10:20PM 開催の『南方占領地切手コレクターズクラブ』のレ
ポートです。
参加者は6名でした。
以下、話題に上がったマテリアルについて順番に書き記していきます。

1) ビルマ 孔雀加刷カバー
ビルマの孔雀加刷は切手自体、偽物が非常に多いです。さらにエンタイアとなると郵趣家
便ぐらいしか残されていません。その稀少性を逆手にとって真正の切手を用いた偽カバー
が作られたと言われています。画像のカバーは、切手は本物で印影も本物と見られますが
、日付がバックデートと思われる偽造カバーです。

2) マライ 漢字加刷不足料カバー
マライの不足料切手は馬来軍政部単枠加刷、ローマ字加刷、漢字加刷の3種類があります
。これらの未使用はシートも残されているほど多く存在しますが、カバーとなると珍品に
なります。本品は封書料金8cの倍額16cが徴収されたため、4c不足料切手が4枚貼られて到
着地の昭南で抹消されています。

3) ジャワ 停車場印(HALTESTEMPEL)
ジャワでは箱型地名消しの停車場印が使用されました。サトウキビ等を搬出する駅で手紙
を受付け、集配局で日付印を押しました。本品のTjipariは中部ジャワと西部ジャワの境目
に存在し、西部ジャワBandjar2.2.■03■(1943年2月2日)が集配局です。

4) スマトラ 東海岸州2重加刷
スマトラの東海岸州では大日本枠付き加刷がされましたが、まれに二重加刷がされたもの
があります。本品は赤加刷と紫加刷がされており、よく見ると形が異なっているので2つ
以上の印が同時に東海岸州に存在していたことが判ります。

5) マライ等 マラッカ加刷 真贋不明品
写真の右にあるマラッカ加刷3cが問題です。旧英領の占領地切手は著名なコレクターであ
ったRowellが、切手の裏にMDRとサインをしていることがあります。これはしばしば高価
な切手になされているため、真偽の判定に役立つことがありますが困ったことに鉛筆書き
であるため、サインの偽物が存在します。本品も裏にMDRと鉛筆書きされていましたが筆
跡が疑わしく、偽サインの可能性があります。

6) ジャワ アデック刑務所から
本品は刑務所からのはがきで、他にストラスウエーク刑務所の検閲印が押されたのもあり
ます。ジャワを含め、南方占領地には敵国人を収容する収容所がありました。収容所から
はいくつかの制限があるものの、郵便物を差し出しすることができました。刑務所と収容
所の違いは判りません。

7) スマトラ ×加刷

スマトラ西海岸州ではオランダ女王の顔を抹消するような加刷がなされましたが、どれだ
けの印が使われたか、局によってどうであったかなどはまだ未解明の部分があります。本
品はいずれも未報告のもので、占領初期に棒を組合せて×にしていることが特徴です。ま
た踊り子図案の切手に×加刷がされたものも回覧されました。

8) スマトラ 八紘一宇4銭使用
南方占領地では東郷5銭を除き、2次昭和切手はほとんど見られません。スマトラでは女工
1銭や地図10銭切手が郵趣的使用などで若干見られますが、八紘一宇4銭はほとんど見られ
ません。本品はブキチンギの消印が見られるものです。

9) フィリピン 満洲切手のFDCに
本品は日本郵便切手会の満洲切手FDCです。しかし、右下に注目すると占領下フィリピ
ンでFDCなどを精力的に作っていたAfran stampのハンコが見られます。本品から、占領
下においてフィリピンではAfran stampが日本勢力圏の切手を取り扱っていたのではないか
という推測ができます。他のFDCにも同様のものがあるのか発見が待たれます。

話題は主に以上でした。
次回の開催は3月24日水曜日の20時から、です。