外国切手研究会 第43回Zoom例会レポート・後編

2021213日 2000PM – 22:30PM開催『外国切手研究会 第43Zoom例会』レポート後編です。参加者11人中6人の発表で質疑応答が有りました。

3人目)英領全般を収集している紹介者が最近の入手品を紹介。

1品目、19641019日トンガ発行、変形アルミ箔切手の実逓カバー、首都NUKUALOFA発、英国行航空便、日付印も美しく、切手にはローラー印風の抹消印が圧力を掛けて押印されているのがよく解り、この切手の実逓カバーとして好ましい。

2品目、某オークションで出品されていた香港関係ロット、一番欲しかったのはカバーだが、左上の切手が専門カタログにも出ている劉公島初期の消印が押されており、昔から存在は知っていて入手機会を伺っていたマテリアルとの事。

無事入手出来たとの事で中国租借地・威海衛として整理したコレクションを紹介、地理的には山東半島の先端、劉公島はその先に有る島で郵便局開局はこちらの方が先だった、この劉公島初期の消印は開局から約2年弱しか使われておらず、紹介者も旧石川良平コレクション含め2通程しか確認していないとの事です。

威海衛市内にも、PortEdward(愛徳華湊)という郵便局を開国しており、こちらの初期の消印は長方形タイプが使われていた。

質疑応答から、同じく山東半島のチーフーのフランス宛コンビネーションカバーを他の所有者より紹介、魅力的な1品です。

4人目)中国・日本占領地域・華北の紹介、前知識として華北の通貨は中国連合準備銀行券、蒙疆は蒙疆銀行券、華中は儲備券、華南はモウ銀券、その華中と華南は一時期日本の軍票を使っていた、又華南ではモウ銀券より華中の儲備券に変えた後、加刷切手をやめて無加刷切手を流通させた後、軍票立で支払いをさせた、その後元に戻して儲備券に変えたという複雑な事を行っていたとの事。

1枚目リーフ、1941630日無加刷切手最終使用例、華北では加刷切手発行後、原則的に無加刷切手は使用出来なかった、書留速達として希望されたが、別配達に変更して支払われたと思われる。

2枚目リーフ、194171日発行、小字加刷切手使用例、下のハガキは発行4日目の使用例だが、194261日迄はハガキ印面は無加刷のまま使用された。

3枚目リーフ、河南省からの手紙で194178日、華南・紙店集発、アメリカ宛、この地域は当時国民党支配地域だった為、無加刷切手がそのまま使用された。

4枚目リーフ、1941728日、山東・臨城発、日本宛、本来華北地区で無加刷切手は1941630日で使用禁止になったが、あらかじめ貼付されていたものについては有効だった、19419月頃迄の使用例が知られている。

連絡事項として、チャイナ・クリッパー担当者より、最近の海外インターネットオークション関係に出品されている中国関係の偽物について、特定の出品者などのIDなどの連絡が有ったそうです、前編のハワイに関連して、日本の手彫切手、北朝鮮関係など、国内外インターネットオークションでも多くの偽物が出品されており、一見して真偽が分からないマテリアルも多く、今後は個人間の取引が中心になる事も含め、情報発信や対策などで質疑応答が多く有りました。

6人目)紹介者のメイン収集ドイツ・ジャーマンステーツの続編、バイエルンのファーストシリーズを紹介、ドイツ最初の切手として扱われており、ドイツらしい図案で知名度も高い切手。

184911月、1Kr. 3Kr. 6Kr.3種が発行された、ドイツでは当初から距離別料金制であり、1Kr.は市内便基本料金と印刷物料金、3Kr.は近距離基本料金、6Kr.は遠距離基本料金だった。

1Kr.は黒色印刷だが、初期印刷が薄い色で後期印刷が濃い色になっている、シート構成は90面、45面の間にガッターが有るが当時の状況からガッターペアの残存数は非常に少ない、テートベッシュも3点のみ存在が確認されている、プレート1とIIの区分方法はコーナー部分の数字の中の印刷で分類される。

1Kr.の多数貼カバーの存在数は少なく貴重な物、切手に押されている抹消印とは別に、日付印として押されている半円形の印はClosed Mill Wheel Cancellationと呼ばれており初期しか使用されなかった印で、Closedで無い印が後に出現する。

3Kr.は比較的長期間使われ、プレート1からⅤ迄存在する、最初期製造分のプレート1の未使用は存在数が非常に少ないが、使用例は逆に多い。

プレートⅡはプレート1に比べ値段は安価、プレートⅢ、Ⅳ、Ⅴ辺りになると、カバーも1000円以下でも入手可能との事。

6Kr.のプレートⅡに関しては、ミッヘルカタログでは2番シリーズに分類されている、1とⅡの区分方法は、数字6の周りの塗り潰されている円が不完全な円が1番シリーズ、完全な円が2番シリーズとの事、円の下部を見比べると比較的判別しやすい、3Kr.プレート1同様、18496Kr.プレート1の未使用は鑑定書が必修との事。

6Kr.のカバー1通目は18491218日の初期使用例、2通目カバーは数字6の周りが潰れた”Solid Rectangle”と呼ばれるバラエティが貼られた物。

6人目)前回他の方が発表された、ユーゴスラビア帯封使用例について、イタリア・ローマ宛、記載されているMercedes 12.の現住所が分からなく、封筒上の住所では某高級車関係の結果ばかり出てくるのですが、色々と検索方法を試した所、現住所はVia della Mercedeではとの事です。

自分のメイン収集範囲、日本統治下の朝鮮半島より1品を紹介、日本より韓国水原に宛てたハガキで櫛型印のB欄が逆転しているエラー消、宛名書きの文字から、韓国に引越等で移動した元生徒より先生に宛てたハガキと思われる。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。