2021年12月4日 20:00PM – 22:20PM開催『外国切手研究会 第77回Zoom例会』レポート前編です。参加者10人中8人の発表で質疑応答が有りました、今回より基本発表者は実名記載となります。
1人目・中畑智文氏)今年1年を振り返り掘出し物No.1のマテリアルを紹介、某オークションで偽物の可能性有りで安価に出品されていた、ニューファンドランド1857年ファーストシリーズ2ペンス切手、後年にも刷色や紙質が変更されセカンドシリーズ、サードシリーズと発行された、1865年にはタラやアザラシの図案で比較的有名な目打入りシリーズが発行された、商品到着後自分なりに検証してみたがおそらく本物と思われ良い買い物をしたとの事。
このシリーズの偽物は研究用に以前からいくつか所有しており、全ての額面が入ったストリップも有る、本物は凹版印刷に対し偽物は凸版か平版で注意すれは用意に判別出来る、有名なスペラティの偽物も凹版では無かったとの事。
2人目・吉田敬氏)スイス・チューリヒのファーストシリーズ6ラッペン切手、従来は偽物ではないかと言われてたマテリアルの考察、この切手は黒1色刷りに見えるが、実は世界初のバイカラー2色刷切手、1843年最初の発行時はバックに赤のラインが縦に入っていたが、1845年又は1846年の発行より赤のラインが横になった、紹介のマテリアルはいずれもバックにラインが全く入っていない物。
以前はこれら切手に対して2つの意見が有り、赤のラインが退色した物で2級品扱い、もうひとつは偽物ではないかと言われていた、しかしながら現在のスイス郵趣界では10年程前より、これらは3番目のタイプで当初からバックにラインが印刷されていなかった物と認識されており、紹介者がスイスクラッシックの収集を始めた当初は世間にその認識が無かった為、この希少な3枚ストリップを入手する事が出来たとの事。
質疑応答より、武田幸作氏所有のマテリアルを紹介、ゼネラル収集をされている同氏は貴重なマテリアルや面白いマテリアルを多数所有されており、特に4ラッペンはフルマージンの素晴らしい一品です。
3人目・槇原晃二氏)オランダ領東インドより、バタビア郊外Weltevreden発の外信カバーを2通紹介、1通目は1907年8月8日発、ポルトガル領アゾレス諸島オルタ宛、右下に”YOKOHAMA A MARSEILLE”の八角形フランス船内パックポー印、裏面にはリスボンの中継印とオルタの到着印、逓送ルートも資料より考察、マルセイユよりリスボンはスペインの中継印が無い為、陸送ではなく船便だったと思われる。
2通目は1901年11月6日発、日本・伊勢久居宛、裏面には香港VICTORIAとYOKOHAMAの中継印。
4人目・山崎文雄氏)第73回で紹介したカナダ・スモールクイーンイッシュー低額面切手の続編、今回は著名なコレクションを扱った過去のオークションカタログを資料にして紹介、Sc#32の1/2セントの右側100面フルシートは版番号1で上部と下部、右側にモントリオール銘版、左側に目打付ガッターが有り、左側部分の100面シートは版番号2で上部と下部、左側にモントリオール銘版で印刷製造はこの額面のみ200面シートだった、ガッターペアやブロックも存在、2種類の紙質で分類されているが1/2セントは基本モントリオール印刷の為、印刷所の違いで紙質が違うのでは無いと思われる。
Sc#35の1セントはシェードバラェテイが多く、オークションカタログにもイエロー系からオレンジ系迄の多くのシェード違いブロックが出品されていた、銘版はモントリオール・オタワと入っている物とモントリオールのみの物が有り、又いくつかのタイプが存在するようです。
Sc#36の2セントの銘版はモントリオール・オタワと入っている物とモントリオールのみの物、オタワのみの物と3種類が存在、オークションカタログではシェードバラェテイの分類がされているが、この3セントは完全な分類が難しい。
前編は以上で後編に続きます。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。