2020年11月7日 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第29回Zoom例会』レポートです。参加者11人で質疑応答が有りました。
今回はJAPEX2020特別Zoom例会の開催となり、JAPEXに参加された方のお話や質問等を中心に進行しました、マテリアルの発表は1件で、お知らせが3件有ります。
1人目)JAPEXで入手した朝鮮宛・菊ハガキについて、信濃/村井(明治40年10月20日)発、平壌(40年10月25日)、韓・漢江坊(40年10月27日)、龍山(40年10月28日)、4個の消印が押されている点など調べた事を紹介。
受人は軍人で部隊宛だが軍が移動しており、最終的に龍山に転送されたようで、この龍山は日露戦争時から広大な龍山基地があり、戦争終結後は多くの部隊がこの基地に集結された為と思われる。
「韓・漢江坊」の消印だが、「韓」の文字と局名の間に「・」が入っているのは郵便受取所の消印で、当時は郵便局ではなかった、朝鮮近代郵便史や朝鮮総督府郵便局一覧等で調べた所、この漢江坊は明治39年8月1日に郵便受取所として設置、明治41年5月31日限りで郵便所として廃止されており、空白期間は今後調べて行きたいとの事。
お知らせその1)前回発表のドイツ・ベルリン強制付加切手のカバーについて、詳しいコメントを頂きましたので紹介させて頂きます、ありがとうございました。
Hilfs Dienst (援助業務) // 「Einschreiben」は「書留」の意
für Kriegsgefangene und vermißte (戦時捕虜及び行方不明者のための)
der Württ. Ev. Landeskirche (ヴュルテンベルク州立福音教会)
U(?) / Caritasverbandes für Württenberg (ヴュルテンベルクとヴュルテンベルク赤十字のためのカリタス協会)
und des Württ. Roten Kreuzes
Stuttgart – Scharlottenplatz 17 (シュトゥットガルト –シャルロッテンプラッツ 17) … ※これは住所です。
だいたい上のように書かれているように思います(日本語訳もだいたいのもの)。
4行目の出だしが読めません。「U」だとすると「und」(=英and)でしょうが…。「V」のようにも読めます。
ただ、この方は文字を書くのに慣れていないようで、例えば、4行目の「Württemberg」を「Württenberg」と書いたり(「m」を「n」としている)、最終行の「Scharlottenplatz 」を「S Charlottenplatz 」と書いたりしています。なお、カリタス協会はキリスト教の中の福祉団体です。「Caritas」は英語の「Charity」に当たります。
ところで、前回、地名と地区が分からないとおっしゃっていましたが、Postleitgebietzahl(郵便管理地区番号/略号PLGZ)がある程度役に立ちます。郵便番号の前身のようなもので、第2次大戦中、ベテランの郵便局員が戦争に駆り出されたため、及び占領地区の拡大で、ドイツ語が得意でない外国人の雇用が増えたため、合理化の一環として導入されたものです。全国を20個余りの地区に分け、それに番号を与えたものです。
さて、戦後、ドイツはアメリカ、イギリス、フランス、ソ連の4カ国で分割統治されましたが、それぞれの地区は、この番号で振り分けることが出来ます。但し、番号1のベルリンは共同管理なので除外して、それ以外を下に書いておきます。
アメリカ占領下… 13a, 13b, 14a, 16, 17a
イギリス占領下… 20a, 20b, 21a, 21b, 22a, 22c, 23, 24a, 24b
フランス占領下… 14b, 17b, 22b, (18=ザールですが、独自の歩みをします。西ドイツ成立時には含まれていません)
ソ連占領下………… 2, 3a, 3b, 10a, 10b, 15a, 15b, 19a, 19b
このようになっており、例えばこのカバーの書留ラベルには「16」と書かれていますので、このFriedbergはアメリカ占領下だったことが分かります。使用している切手からも区別はできますから、このカバーの場合は旧の占領国が分かったところで意味がありません。しかし、共同発行時代は全国で使われましたので、この番号が少しは役に立ちます。もちろん、すべてのカバーに書かれているわけではありませんが…。
なお、ベルリンはミッヘルカタログの西ベルリンのところに西ベルリンに属する郵便局の一覧があります。したがってそれ以外は東ベルリン(=ソ連占領下)とお考え下さい。以上、ご参考まで。
おしらせその2)前回紹介のアメリカ・ニューヨークの郵趣団体、コレクターズクラブで開催されるオンライン、ワンフレーム切手展ですが、URLが間違えていましたのでお詫びと訂正をさせて頂きます。
https://www.collectorsclub.org/
HPの真中辺りの[Click Here]をクリックして、次ページの
Stroll the Hall to View the Exhibits
Exhibit Gallery to View and Interact
のどちらかをクリックすると作品を見る事が出来ます。
おしらせその3)郵趣振興協会では日本切手研究会出品者におけるオンライン作品解説を、2020年11月29日(日曜日) 15時から18時の予定で開催する事を決定しました、詳細や参加方法等でご不明な点があればメールで御連絡下さいとの事です、宜しくお願いいたします。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。