2021年5月8 20:00PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第55回Zoom例会』レポートです。参加者9人中5人の発表で質疑応答が有りました。
1人目)郵政特別切手コレクション展のお知らせと、そのクラウド展示について、昨年度より郵趣関係のイベントや展示の多くは開催期間の変更や短縮、中止となっていますが、展示に関しては諸外国も含めバーチャルで開催される事も増えてきており、リアルな展示とハイブリッドする事でそのメリットを考えた上で、郵趣振興協会では過去の展示会のリバイバル開催なども含めた、計画や方向性の紹介となりました。
2人目)前回の補足として、国内インターネットオークションで落札された、旧中国切手ロットの話題で出た、郵便目的で製造されたジャンク船の偽物切手と、ジャンク船に加刷された切手の紹介、偽物切手に関しては本物と比べて紙や印刷、目打の出来が悪く簡単に判別できる、1920年発行の加刷切手は3枚セットだが、5分/6分の1枚だけ他の2枚に比べて発行枚数が一桁少なく、現在では入手困難になっている。
前回話題に上がったバングラディシュ・加刷切手について、パキスタンと戦争状態になり独立後に正刷切手が発行される迄、各郵便局や銀行、更にはスタンプディーラーなどでも独自に加刷された為どれだけの種類が有るか分からない、使用済も局名が入ってないタイプが多く使われており、ベンガル語で書かれたカバーも解読は困難で手掛かりになりにくいとの事、自分なりに所有の切手を分類して紹介。
カバーも3通紹介、公用便やイタリア・ローマ宛の国連機関、最後のパキスタン宛航空書簡は最初の正刷普通切手が貼られたカバーだが、イギリス・ロンドン経由が指定されている、通常ならインド経由と考えるが、インドとパキスタンは常に緊張状態が続いており、1974年当時も第三次印パ戦争直後の為だったと思われる。
質疑応答より、バングラディシュ・加刷切手の海外情報サイトの紹介が有りました、参考にして下さい。
https://www.stampsociety.org/articles/pakistan-bangladesh-overprints
3人目)アメリカ発信で不足料扱いとなった外信カバーを3通紹介。
1通目、1890年シリーズ5セント貼、1891年2月17日フランス宛、重量便の為5セント不足で換算25CENTIMES不足、倍額の50CENTIMESを徴収、フランスの不足料切手に押されている三角形の消印は専用なのか分からず、情報を募集中。
2通目、1894年シリーズ2セント3枚貼、1895年2月18日ロンドン経由トルコ宛、フランス・パリに転送、4セント不足の為換算で20CENTIMES不足、倍額の40CENTIMESを徴収、質疑応答よりカバー表面の4Dはロンドンで押された4ペンスの意味、F.BはForeign Branchでロンドンの交換局、経由地のAnversはベルギーとフランスに同名の地名が有るが、おそらくフランスと思われる。
3通目、1908年シリーズ2セント貼、1916年2月10日ポルトガル宛、3セント不足、現地で6センタボス分の不足切手が貼られたが受取拒否の為、アメリカに戻され当初の3セント不足分倍額6セント分の不足料金切手が貼られて差出人より徴収された、ポルトガルで貼られた不足料切手はだれも支払ってなく協定などにより無効扱いになったと思われる。
4人目)前回よりの続きでハワイ王国バンクノートイッシュー、1871年以降発行分切手のアーカイブスを一挙に紹介、エッセイやトライアルカラープルーフ、銘版入ラージダイプルーフなど、存在の確認されているプレートプルーフは全種揃っており、希少なマテリアルも多く現存2点の物も有る。
厚紙の大きなカードに黒色で刷られているベレネットエッセイは、王族関連に肖像部分の出来を確認して承認を得る為の特別な物と思われる。
国際切手展審査員資格を持つ紹介者より、切手展出品を考える場合、やはりこれらアーカイブスはキーマテリアルになりうるとの事、又その展開方法の一例も解説、別件ではこれらリーフ整理に使われているマウントについて、ハウイド社とプリンツ社それぞれの特徴などの解説。
5人目)最近のニューヨーク・タイムズに出た北朝鮮切手関連の記事を紹介、1959年子供の時に下関より北朝鮮帰国事業で家族と共に北朝鮮に渡ったが、2000年に脱国して韓国に渡った方が北朝鮮はけしからん国だと書いている内容。
1950年6月25日は朝鮮戦争開始日、北朝鮮では南朝鮮から米軍を除去する為の闘争開始日で、9年後の1959年に4種類の切手が発行された、10チョン切手は板門店を描き、他の3種類は北朝鮮らしいデザイン、平和統一と書かれている70チョン切手が記事となっている。
先の脱国した方とは別の方の話で、日本に残してきた家族に宛てた手紙に貼った切手の裏に、秘密のメッセージが書かれている内容、北朝鮮に渡った方が日本と手紙をやり取りする場合、必ず検閲が入る為このような手段を用いたと思われる、70チョンは当時の外国宛船便書状料金の為、東欧宛は時々見かけるが日本宛は少ない、このようなカバーが他にも有るかもしれません、以前の記事には手紙の文章が縦書か横書かで、内容の真偽を判断するルールを用いた手段も紹介されていたとの事です。
今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。