外国切手研究会 第72回Zoom例会レポート

2021918日 2000PM – 22:25PM開催『外国切手研究会 第72Zoom例会』レポートです。参加者11人中7人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)タイのカバーを紹介、190183日バンコク発、アメリカ・ニューヨーク・ブルックリン宛、裏面の到着印は927日でR.P.O.RailroadPostOfficeの略で鉄道郵便印、到着迄約2ヶ月程だが当時の逓送ルートが分かれば興味深い、タイの19世紀のカバーは殆ど無く、この20世紀始めでも少ない、1930年代頃から少しずつ見かけるとの事。

2人目)アメリカ・1894年シリーズ、2セント切手貼カバーについて、スコットランド・グラスゴー宛、本来5セントの為に不足料扱になるが現地で配達出来ず、アメリカに戻って倍額の6セントが徴収されている、情報が豊富なカバーだが不明な点を質疑応答。

切手に押されているのはニューヨーク市内局の二連式金属手押印、不足料金3セント=15CENTIMES3ペンス、表面のピンクで記入された地名はMemphis N.Y. 、裏面に押されているニューヨークの消印の内BCHと入っている物はBranchの意味で支局など。

2人目)ハワイ王国のスタンプレスカバーについて、第65回レポートやフィラテリストマガジン32号で発表しきれなかったカバーの紹介。

1通目、1850年アメリカ・マサセッチュー州宛、右上に大きく”SHIP42”料金の書込み、当時はハワイ切手発行前で郵便局も無い時代のカバー、サンフランシスコ中継印は1850812日、因みにハワイ最初の切手は1851101日発行で配備された郵便局はホノルルと、マウイ島のラハイナ、当時ハワイ発のアメリカ行の船はこの二つの港から発着していた為と思われる。

2通目、ホノルル局185496日、アメリカ・ウインダム宛、サンフランシスコ局1854930日中継印、この年代は切手が発行されており、その場合は13セント切手が貼られる、料金支払済を表す”PAID 8 SHIP”の印が押されており、内訳は船長に支払い分が2セント、アメリカ国内の郵便料金6セント。

3通目、ホノルル局1854103日、アメリカ・コネチカット州宛、サンフランシスコ局1854111日中継印、パナマを経由して西海岸から東海岸へ運ばれている、2通目と同じく料金支払済を表す”PAID 8 SHIP”の印が押されており、この場合はハワイの郵便料金5セントはフリーだったとの事です。

3人目)PHILANIPPON 2021出品作品について、詳細は御本人がフィラテリストマガジン32号で紹介されていますが、例会では審査員から頂いたアドバイスを中心に解説して頂きました、郵趣の楽しみのひとつで有る切手展出品は、その改善を行う事により点数や賞の向上の可能性が有る為、出品を検討している方にはジャンルが違っていても参考になるお話でした。

4人目)ハンガリー・1955年発行、世界初アルミ箔切手の紹介、イタリア宛書留FDCで到着印も有、趣旨としては国際軽金属工業会議記念で単なるゲデモノ切手でない所も魅力、無目打も有るそうです、1955年は日本なら切手趣味週間「ビードロを吹く娘」の年代、第62回レポートで紹介したソビエト連邦のアルミ箔切手は1965年でこの10年後でした。

5人目)西ドイツ・ロト葉書について、紹介の実逓便はホイス1次図案改訂(1957年発行)、詳細はドイツ切手や葉書について詳しく解説した日本語サイトが有りました、ありがとうございます。http://www1.plala.or.jp/stein/GSK_honbun/BRD/FL.html

ラジオ放送のロトという懸賞付きクイズ番組に応募する為に発行された葉書で、宛先が印刷されているのもその為、かって日本でもラジオ・テレビ問わず葉書で応募する懸賞が多数有りましたが、現在はネットの普及で少なくなりました。

6人目)スタンプショウ=ヒロシマ2021で展示した、英連邦占領軍B.C.O.F.加刷切手作品について、過去のB.C.O.F.加刷切手作品は、大半が郵便史か郵便史的作品と思われ、日本の中では特殊な使われ方をした切手という事も有り、それらを突き詰めるのも面白いと思われる。

今回はワンフレーム作品という事も有り、製造面を中心とした伝統郵趣に構成されており、プロローグ、から始まり、プルーフやカラートライアル、バラエティという展開での作品で新鮮でした、製造面に関しては調査中の内容も有り、今後の発展や発表に期待が持てます。

7人目)オーストリアを中心に収集している紹介者より、オーストリア宛に使用された連合ハガキを2通紹介、ドイツと同様の動きをしていた同国が日本と大きく関わるのは第一次世界大戦の頃。

1通目、1899年長崎よりWien宛てた使用例、移民の国アメリカでは先祖などを調べる有料無料のサービスが有り、受取人と差出人はオーストリアに住んでいたユダヤ人という事、両人共ホロコーストの犠牲となったという事迄判明している、歴史を語る一品です。

2通目、1900年横浜より当時軍港が有ったPola(現クロアチア・Pula)に宛てた使用例、この年は義和団の乱で同国は戦艦4隻を中国に派遣しており、修繕の為日本にも何回か寄港している、受人の上書きからもその時にオーストリアの軍人が差出したものと思われる。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。