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外国切手研究会 第78回Zoom例会レポート

20211218 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第78Zoom例会』レポートです。参加者8人中6人の発表で質疑応答が有りました。

1人目・山崎文雄氏)前回で紹介したカナダ・スモールクイーンイッシュー低額面切手の続編、3セントについて、今回も自分のコレクションと過去のオークションカタログを資料にして紹介、当時の国内用基本料金だった為、紙や目打、シェードなどのバラェテイが非常に多く、それらを整理した資料を見てもその多さが分かる。

Sc#37はモントリオール印刷でシェードはローズ系、Sc#41はオタワ印刷でシェードはバーミリオン系、スコットカタログでも別ナンバーになっている、シェードの分類は基本未使用だが、余りにも種類と組合せが多く難しい所が有る、使用済は一部のバラェテイを除き比較的安価な為、消印のタイプ違いを含めて色々と楽しむ事が出来る、カバーも2通紹介、共に差出人が印刷されている封筒で白封より人気が高い、書留切手が貼られたカバーの方は有名なシンガーミシン社の物。

過去のオークションカタログより銘版付きブロックを見ると、モントリオール印刷は100面シート、オタワ印刷は200面シートだったと思われる、又オタワ印刷では無目打も有るようです。

2人目・槇原晃二氏)第34回前編、第59回で紹介した1946年インドネシア独立1周年記念切手の続編を紹介、以前の説明と重複しますが、日本の敗戦後1945817日スカルノ大統領が独立を宣言したが、再植民地化を狙うオランダとの間で1949年迄戦争が続き、その間2つの郵政が存在する事となった。

この時期のジャワ切手は大きな分類として4つに分けられる、日本の南方占領地切手やオランダ領東インド切手を無加刷で使用した例、それら切手の国名をペンなどで消した切手、それら切手の国名抹消とインドネシア共和国名を加刷した切手、インドネシア共和国の正刷切手は1946年に発行され、独立1周年記念切手は全13種類が発行された。

分類の基本は用紙やシェード、目打の有無となる、20面シートで発行されており、マージンには数字とプレートのアルファベットが入っており、プレートABが存在する。

50Senはシート内にOpen SClosed Sと呼ばれるバラエテイが存在しており、紹介の15枚ブロックではその内11枚がClosed Sになる。

3人目・武田幸作氏)1986年発行アンチグア・バーブダより隣国のセントキッツ・ネイビス宛公式FDCを紹介、裏面には到着印も有る、オリジナル切手は522日発行だが、BARBUDA MAILと加刷されて828日に発行されたもの。

アンチグア・バーブダとセントキッツ・ネイビスは共に切手収集家には御馴染みだが、一般の方には余り知名度が無いカリブ海の小国で、人口も少なくFDCでも書留実逓便は少ないと思われる、セントキッツ・ネイビスは2年程前にセントクリストファー・ネイビスと国名変更されているが、以前もその国名であった。

4人目・吉田敬氏)ヨーロッパの雑誌より寄稿を求められて執筆途中の記事を一部紹介、内容的は日本とスイスとの郵便の歴史、非常に興味深い紹介でしたが、発表前でもあり校正等も掛けていないとの事で、冒頭部分の紹介だけとさせて頂きます。

5人目・中畑智文氏)今年1年を振り返り、前回とは対照的に残念だった入手品を紹介。

1件目、海外オークションで半分見えない状態で出品されていた3Sen連合ハガキ、YOKOHAMAの白抜抹消印が2個とLONDONE.Cの到着印が確認出来たが、下半分が見えない状態で出品されていた、左側の抹消印の下に切手が貼付された書留使用例ではと思い落札したが、日付印代わりに抹消印が押されていた使用例だった。

2件目、イギリス・レッドペニー6枚貼のケープホープ宛カバー、よく見ると右下の1枚はコーナーレターが合っておらず、5枚ブロック+1枚のカバーだった。

3件目、イギリス・最初の凸版切手6ペンスのカバー、カナダ宛で裏面にも到着印が押されており、比較的状態も良いと思ったが、折り畳み封筒が切られた状態のカバーだった。

6人目・重山優氏)旧中国・暫作参分の東川加刷と呼ばれる切手について、台切手に四川省重慶で加刷された物、加刷の出来が余り良くなくてバラエテイがカタログにも多く記載されており、紹介者もいくつものバラエテイを所有、文字間隔で第一次と第二次と分類されるが、実際には何方にも取れる加刷も多い、第一次は加刷が比較的スッキリ見えるが、第二次は加刷がボヤけて見える。

大東版と呼ばれる台切手にも2種類有り、透かし有りと無しが有る、透かし有りには第二次しか存在しない、シェードも透かし有りは比較的薄い緑、透かし無しは比較的濃い緑。

この暫作参分は伍分より八分に封書料金が値上げされた為、その差額用に発行された物だが、発行時には既に封書料金が値上げされて本来の使用目的には使えなかったり、当時の中国には切手ブームが有り未使用で保管された事などで、使用例や使用済は多くない。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第77回Zoom例会レポート・後編

2021124日 2000PM – 22:20PM開催『外国切手研究会 第77Zoom例会』レポート後編です。参加者10人中8人の発表で質疑応答が有りました、今回より基本発表者は実名記載となります。

5人目・中野健司氏)ニューヨーク・ロバートシーゲルオークションより、日本関連で興味深いマテリアルが多数出品されており紹介。https://siegelinternational.com/

中国と日本関連のオークションで大半は中国だが、PDFカタログも非常に詳しい、ペリー提督が他の船の艦長に宛てた1853年のスタンプレスカバーは参考として見積り価格日本円約500万円より、幕末のアメリカ領事館の手紙、在日アメリカ外国局・HAKODATE局カバー、 アメリカ1869年シリーズ貼在日アメリカ外国局・HIOGO局カバーなど、珍品マテリアルが多く出品されており参考価格も凄い物ばかりです、今回はPart1との事で続きが予定されているのかもしれません、日本とアメリカ関連との事で、いくつかのマテリアルにはEx Ryohei Ishikawaの記載が有ります。

6人目・比留間晃則氏)当日に東京綿商会館で開催の切手市場で購入したマテリアルをいくつか紹介、ベトナムやパレスチナの実逓カバーやガイアナやパプアニューギニアのパケットだが、ガイアナは加刷切手が多く含まれており使用済でも意外と高価、パプアニューギニアも額面変更加刷が含まれており、やはり高価な物が多い。

中東より日本宛カバーでオマーン初期の切手が貼られている物、スーダンの数字図案の1番切手4種類とエジプト切手に加刷した8種類がペアの全種貼カバーなども希少。

紙付き使用済も近年の物は実逓の使用済入手が難しい物や国が多数有る、今回一番の掘出し物はラオス切手に1985と赤で加刷された物で当時いくつかの加刷切手が発行されているが、この1枚はスコットカタログで100ドルの値段が付いている。

外国切手に関しては、比較的高価な物、古いマテリアルやコレクターが多い国などはネットオークションなどでも入手しやすいが、その逆に関してはそうでも無く、良い買い物をされたようです。

7人目・武田幸作氏)ニジェールコーストよりドイツ宛書留カバーの紹介、1897727BONNY RIVER発、切手は1894年発行の4種類貼、ロンドンとリバプールの中継印は共に820日、裏面にはバーデン・バーデンの到着印が821日、そこから転送されバーデン・ケーニヒスフェルトの到着印が823日。

英領植民地発の為一度本国に送られ、外国便扱いでドイツに宛てられたと思われる、イギリスのアフリカ植民地からのカバーは余り見かけず、ニジェールコーストはその中でも比較的少ない様です。

8人目・重山優氏)御自身のブログに殆ど毎日記事を投稿されているが、古い郵趣関連雑誌と共に入手した日本普通切手カバーの話、この辺りは集めた事が無いとの事で、日本関連にも詳しい槇原晃二氏に協力して頂き分類したとの事。

外国切手例会の為に関連するマテリアルを一部紹介、菊切手3銭貼カバーは同一年代使用例だが、国内が丸一型印に対して台湾では既に台湾型櫛型印が使用されている。

小判切手貼りカバーは国内使用例だがUPU3種が貼られている、昭和の時代にはジュニアにもブームが有り、ほぼUPU3種に特化した田辺猛氏の著書「小判切手の集め方」を思い出しました。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第77回Zoom例会レポート・前編

2021124日 2000PM – 22:20PM開催『外国切手研究会 第77Zoom例会』レポート前編です。参加者10人中8人の発表で質疑応答が有りました、今回より基本発表者は実名記載となります。

1人目・中畑智文氏)今年1年を振り返り掘出し物No.1のマテリアルを紹介、某オークションで偽物の可能性有りで安価に出品されていた、ニューファンドランド1857年ファーストシリーズ2ペンス切手、後年にも刷色や紙質が変更されセカンドシリーズ、サードシリーズと発行された、1865年にはタラやアザラシの図案で比較的有名な目打入りシリーズが発行された、商品到着後自分なりに検証してみたがおそらく本物と思われ良い買い物をしたとの事。

このシリーズの偽物は研究用に以前からいくつか所有しており、全ての額面が入ったストリップも有る、本物は凹版印刷に対し偽物は凸版か平版で注意すれは用意に判別出来る、有名なスペラティの偽物も凹版では無かったとの事。

2人目・吉田敬氏)スイス・チューリヒのファーストシリーズ6ラッペン切手、従来は偽物ではないかと言われてたマテリアルの考察、この切手は黒1色刷りに見えるが、実は世界初のバイカラー2色刷切手、1843年最初の発行時はバックに赤のラインが縦に入っていたが、1845年又は1846年の発行より赤のラインが横になった、紹介のマテリアルはいずれもバックにラインが全く入っていない物。

以前はこれら切手に対して2つの意見が有り、赤のラインが退色した物で2級品扱い、もうひとつは偽物ではないかと言われていた、しかしながら現在のスイス郵趣界では10年程前より、これらは3番目のタイプで当初からバックにラインが印刷されていなかった物と認識されており、紹介者がスイスクラッシックの収集を始めた当初は世間にその認識が無かった為、この希少な3枚ストリップを入手する事が出来たとの事。

質疑応答より、武田幸作氏所有のマテリアルを紹介、ゼネラル収集をされている同氏は貴重なマテリアルや面白いマテリアルを多数所有されており、特に4ラッペンはフルマージンの素晴らしい一品です。

3人目・槇原晃二氏)オランダ領東インドより、バタビア郊外Weltevreden発の外信カバーを2通紹介、1通目は190788日発、ポルトガル領アゾレス諸島オルタ宛、右下に”YOKOHAMA A MARSEILLE”の八角形フランス船内パックポー印、裏面にはリスボンの中継印とオルタの到着印、逓送ルートも資料より考察、マルセイユよりリスボンはスペインの中継印が無い為、陸送ではなく船便だったと思われる。

2通目は1901116日発、日本・伊勢久居宛、裏面には香港VICTORIAとYOKOHAMAの中継印。

4人目・山崎文雄氏)第73回で紹介したカナダ・スモールクイーンイッシュー低額面切手の続編、今回は著名なコレクションを扱った過去のオークションカタログを資料にして紹介、Sc#321/2セントの右側100面フルシートは版番号1で上部と下部、右側にモントリオール銘版、左側に目打付ガッターが有り、左側部分の100面シートは版番号2で上部と下部、左側にモントリオール銘版で印刷製造はこの額面のみ200面シートだった、ガッターペアやブロックも存在、2種類の紙質で分類されているが1/2セントは基本モントリオール印刷の為、印刷所の違いで紙質が違うのでは無いと思われる。

Sc#351セントはシェードバラェテイが多く、オークションカタログにもイエロー系からオレンジ系迄の多くのシェード違いブロックが出品されていた、銘版はモントリオール・オタワと入っている物とモントリオールのみの物が有り、又いくつかのタイプが存在するようです。

Sc#362セントの銘版はモントリオール・オタワと入っている物とモントリオールのみの物、オタワのみの物と3種類が存在、オークションカタログではシェードバラェテイの分類がされているが、この3セントは完全な分類が難しい。

前編は以上で後編に続きます。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第76回Zoom例会レポート

20211120日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第76Zoom例会』レポートです。参加者8人中6人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)戦前朝鮮半島の第三種郵便使用例を紹介、田沢5厘切手貼付新聞帯封だが私的には初見との事、釜山日報は当時の朝鮮半島の3大日本語新聞のひとつ、消印は不鮮明だが裏面に報恩支局と発送人印が押されている物が有り、おそらく報恩郵便局と思われる、5部共1937年使用例だが新聞発行日と消印が違っており質疑応答より、日刊新聞だが必ずしも当日発送されていたのでは無かった、釜山の本社から報恩支局に輸送されてから発送された為にズレが有る、必要な号だけ受け人が取り寄せた現在のバックナンバーサービスの為、マテリアルの価値を高める為に発送日と関係無い新聞と帯封を組合わせた可能性などが推測されました。

2人目)第74回例会で4人目の方が発表された、1927年ラトビア発日本宛絵葉書に興味が有り、少し調べて分かった事を紹介、差出地のPRIMULASはこの地方の中心地GAVEL(エルガワ)から少し離れた場所でポーランド領時代も有りミタウという名称だった、シベリア半島経由で朝鮮半島に送られたと思われる、ラトビア時代のPRIMULAS2種類の消印が使われており、参考資料によれば日本の櫛型印のようなタイプと櫛の無いタイプが有った、開局は1920217日だが、郵便局としてはロシア時代の1913年開局で当時はクールランドという地方名だった、現在も入手可能な文献も2種類紹介。

3人目)沖縄・1953年発行の文化財シリーズ、高額切手のカナダ宛公式実逓FDCを紹介、このシリーズは低額面3種と高額面5種が分けて発行されている、当時の沖縄は本土の円とは貨幣価値の違うB円が使われてお、1ドル360円時代にB円は120円だった、この時代カナダ宛航空便がB円で30円の為かなりの超過料金だった事が分かる、沖縄切手に詳しい参加者からもこの100円切手の実逓FDCは始めて見たとの事、封筒の中には写真と簡単な手紙も入っており差出人と受人共に収集家と思われ、ドルとB円交換レートの件も書かれていました。

4人目)郵趣用語的な話題について、アメリカのドイツ切手収集家団体が発行している、ジャーマンポスタルスペシャリスト月刊誌10月号より新連載のGermanColonialPhilately、かってドイツが持っていた植民地の郵便についての記事について、日本でもForerunnerという用語は先駆けや先駆者という意味で、この場合植民地の切手が発行される以前にドイツ本国の切手が使用されたという事に使われるが、Misfeatureについては英語では適合するぴったりの訳が無いが、植民地の切手が発行された後にも関わらず、ドイツ本国の切手が使用する事が出来た同時平行使用に使われる用語と紹介されている、1993年発行JPS水原明窓氏著「朝鮮近代郵便史」の朝鮮加刷切手にMisfeatureの記述が有った事を思い出し繋がったとの事です。

英国スタンレー・ギボンズ社が所有している、世界最高額の1856年発行英領ギアナ1セント切手の話題、同社は今年のサザビーズオークションで約9億円で落札したが、現在Showpiece社を通して区分所有権を日本円で約113千円で8万口販売しているそうです、既に約5万口は販売済みとの事、購入者は自分のデジタル署名入の画像を利用する事が可能で、100口?購入された方にはレプリカを進呈、さらに500口?以上購入された方には、ロンドンのスタンレー・ギボンズ社に来店時にはプライベート・ビューの権利も有るとの事です。

5人目)スイス初期では国際展で出品入選している紹介者が、同国が第1次と第2次世界大戦時に発行し郵便物に付加的に貼られた国防・戦意高揚の切手に近いラベルについて紹介、第1次より第2次の方が種類やバリエーションが圧倒的に多い、スイスではこのラベルだけの分厚いカタログも発行されており、オンカバーなども同国のオークションではよく見かけるとの事。

スイス自体は国際機関も有る中立国で連合国側にも枢軸国側にも加担していないが、第2次大戦時にはドイツの傀儡政権が樹立されたフランスやドイツに併合されたオーストリア、ドイツ本国、イタリア本国と枢軸国側に囲まれた形で大半の国境を接しており、ドイツの圧力には屈せざるを得なかった、枢軸国側の領空侵犯領空は黙認し、対して連合国側の領空侵犯領空には撃墜をした為に連合国側から空襲を受けた都市も有った、このような背景から自国を守る意識が劇的に上がり、多くのラベルが段々と直接的な図案になり発行されたと思われる。

6人目)アメリカの大統領差出スタンプレスカバーについて、紹介のカバーはアイゼンハワー大統領差出だが、大統領就任者とその夫人は任期中は勿論、任期が終わった後でも基本的に郵便は無料となっている、但しこの制度を乱用されないよう後年は国会議員も含め、違反者には罰金制度も出来たとの事です。

質疑応答より、韓国・李承晩大統領差出の郵便物を紹介、大統領官邸景武台よりアメリカ宛だが、当時の適正料金71ファン切手が貼られており、現役大統領でも有料だったようです。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

南方占領地切手コレクターズクラブ 第17・18回ZOOM例会レポート

南方占領地切手コレクターズクラブ 第17・18回ZOOM例会レポート

2021年10月27日 8:00PM~10:00PM /11月24日開催の『南方占領地切手コレクターズクラブ』のレポートです。

 

以下、話題に上がったマテリアルについて順番に書き記していきます。

1)スマトラ 西海岸州 大日本郵便はみだし加刷

中部スマトラの西海岸州やリオ州などでは、切手やステーショナリーにいろいろな大きさの「大日本郵便」加刷がなされました。西海岸州では一時的にハガキが不足し蘭印軍軍事はがきに切手を貼り、その上にはみだし加刷がなされました。

リオ州では郵便物や為替証紙に切手を貼りつけた後に加刷を行うはみだし加刷が主流でしたが、西海岸州ではこのハガキしかそのような加刷はありません。

2)スマトラ タパヌリ 東海岸二重加刷

タパヌリでは日の丸加刷をしましたが、東海岸州で加刷された切手に更に日の丸加刷がなされているものがありました。本品は農耕透かしなし3c切手で、今まで報告が無かったものです。

3)スマトラ 東海岸州 二重加刷

スマトラの東海岸州では大日本枠付き加刷を行いましたが、この加刷は2色以上で同一切手上に加刷されています。本品には農耕透かしあり7.5c切手に紫色と赤紫色が二重に加刷されており、戦後の独立戦争中使われたものですが、面白いものです。

4)海軍地域 偽消し

南方切手に偽物加刷が多いですが、消印にも偽物がしばしばみられます。しかし漢字に疎い人が作ったのか、漢字圏の人が見るとすぐに偽物と判るものもあります。本品もそのような一品で、アンペナンの和文印ですが、C欄の帝国政府の漢字が崩れているので偽物と看破できます。

5)海軍地域 バンジェルマシン黒加刷

バンジェルマシン局で加刷されたとされている錨は様々な色で加刷が行われています。しかしポンチャナク局の錨に存在するような黒色加刷は従来存在しないとされてきました。しかしこの度、バンジェルマシン錨にも黒色加刷が存在しそうだという発表がありました。

6)フィリピン 軍事郵便絵葉書

南方占領地では軍事郵便用に様々な絵葉書が作成されました。本品は通信面に緑色でフィリピンの風景が印刷されていますが、何種類作成されたかは不明です。

7)スマトラ パレンバン南

スマトラでは当初、蘭印時代の英文消印が使用されましたが、1943年2月から和文消印が使用されるようになりました。和文消印はほとんどの局はカタカナでの表記でしたが、このたびパレンバン州パレンバン局で漢字が使われた消印が見つかりました。日本では今まで知られていませんでした。

8)フィリピン 乃木2銭使用

フィリピンでは日本切手の販売はなかったとされています。しかし、日本国内から切手を持ち込んでの使用がみられます。本品は食糧増産切手のFDCに乃木2銭も貼ったものです。

 

 

話題は主に以上でした。次回は12月29日20時から開催予定です。

外国切手研究会 第75回Zoom例会レポート

2021116日 2000PM – 20:30PM開催『外国切手研究会 第75Zoom例会』レポートです。参加者6人の発表で質疑応答が有りました。

今回はJAPEX2021特別Zoom例会の開催となり、マテリアルや研究調査の発表は無く、出品された方や会場に足を運ばれた方のお話や質問等を中心に進行しました。

緊急避難宣言も解除され、暫くの間中止や延期、大幅な制限等で郵趣に関わらずイベント関係が抑えらえていた事も有り、会場の浅草周辺も含めて人出はかなり多かったとの事、マテリアルその物を収集するという趣味においては、そういった事情も含めて普及し始めたZoom例会やインターネットでの公開を中心とした切手展などを考えても、リアルな切手展での鑑賞やブース巡りが少しずつ復活する事は嬉しいですね。

今回は以上です。例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第74回Zoom例会レポート

20211016日 2000PM – 22:00PM開催『外国切手研究会 第74Zoom例会』レポートです。参加者11人中8人の発表で質疑応答が有りました。

お知らせ)前回紹介させて頂いた、西ドイツ・気送菅郵便カバーですが、これは気送菅郵便物では無いとのコメントを頂きました、訂正とお詫びをさせて頂きます、以下その内容です。

このカバーは気送管郵便によって送られたのではありません。「ベルリンでの郵便為替契約は気送管郵便で送りましょう」というような意味の機械標語印が日付印として使われているだけで、普通の郵便物です。「PschA」は「Postscheckamt(郵便為替振替局)の略。「Sch A」は「Scheckamt」のことでしょう。

1人目)英領ギアナ・初期の切手コレクションを紹介、1856年発行の1セント切手が世界最高額の切手として余りにも有名だが、1850年に1番切手を発行した同国は1852年より普通切手の図案に1913年迄は帆船、その後1931年迄は帆船と国王の図案が一部の暫定切手以外に延々と採用されていた。

1889年より発行された加刷切手は台切手が存在しない切手で、加刷に見える2色印刷切手、1890年にはこれら1ドル、2ドル、3ドル、4ドルの高額面切手に対して、1セントの低額面加刷を行った切手が発行された、一説には高額面切手の在庫を減らして価値を高め、コレクターに購入してもらう目的だったとも言われている。

2人目)JAPEX 2021に出品予定の作品、「米国普通切手1847-1888」の紹介、局長臨時切手、1847年発行の1番切手より、1888年迄発行されたラージバンクノートシリーズと呼ばれる切手迄の5フレーム作品です、ポイントとなる点や注目のマテリアル等を解説して頂けました、タイトルリーフのみ紹介させて頂きます。

3人目)19世紀の英国英領関係のテーマチック的な作品を構成整理している中のリーフを紹介、185671日アメリカ・ニューヨーク発、713日英国・リバプール経由、サイレンセスター着、アメリカ切手24セント分貼付、データを整理中だがアメリカからの適正料金貼付なのか、ニューヨーク19の表示印の意味などが分からない、質疑応答より同様の表示印が押された24セント分貼付カバーを2通紹介して頂けました、おそらく交換局で押された印鑑で、19の意味は16セントが英国迄の船舶料金で3セントが英国国内料金、合計19セント徴収済を示す印、5セントがアメリカ国内料金で合計24セントがアメリカ英国間の基本料金だったのではとの事です。

先日某オークションでイギリス・ペニーブラックを数点落札、手持のマテリアルと合わせて再構成した34版のコレクションを紹介、ペニーブラックは1版より11版迄存在し、1版は更に2つに分類出来る為全部で12の版が有る、この34版はアピールポイントが少なく展開が難しいとの事ですが、4版の逆透かしや”D”のダブルレター、Manchesterの特徴的なマルタ消印なども有り、仮貼り状態と御謙遜されてますが、コンディションも含め素晴らしいコレクションです。

4人目)1927年ラトビア発、日本宛絵葉書の紹介、差出地のKRIMUNASGoogleで調べた所、首都からも離れており特に何も無い場所だった、絵葉書写真のLiepajasも調べた所、バルチック艦隊の母港の一つで、日露戦争時にはこの港から日本海に向けて出航していたとの事で、意外な関連性を発見した、中継印のCHOSEN SHINGISHU(新義州)は中朝国境の街で当時は大陸との窓口のひとつだった、この欧文櫛型印は自分が所有していたマテリアルのとは明らかに櫛の長さが違い興味深い、不足扱になった理由や新義州から京都へのルートなども調べたいとの事です。

5人目)最近入手したカバーを紹介、1通目は以前より収集しているベルリン救済強制切手Notopfer Berlinの仏占領地区版を貼付したカバー、質疑応答よりこの切手に詳しい参加者より情報を提供して頂けました、仏占領地区=ブュテンベルグで使われた救済強制切手は3段階に分けられ、最初は米英占領地版をそのまま使用しており期間は非常に短い、その次は米英占領地版に赤色加刷したものを使用、加刷文字のバラエテイが有り5つのタイプに分類出来る、最後に黄色の正刷切手が発行された、シェードのバラエテイで3つのタイプに分類出来るとの事です、Notopfer Berlinに関しては以前にも紹介させて頂いた下記サイトが概要を知るのに良いかと思われます、ありがとうございました。http://online.fliphtml5.com/immj/qvuq/#p=1

2通目は2010年ドイツ・切手の日切手のFDC、ヘリゴランドに興味が有り思わず入手した、ハンブルグから各島を経由してヘリゴランドへも向かう高速汽船を描くポスターの図案、押されているヘリゴランド局の消印は切手の船を描いているように見えるが、マストの位置と煙突からの風向きなどから2隻の船の様にも見える不思議な図案。

6人目)前回紹介の海外オークションに出品されている旧中国カバーについて、非常に興味は有ったが購入は見合わせた、現在も販売中との事、理由として表面裏面共に大きな私印が押され鮮明な昆明局の郵便印より目立っている、裏面の中継印や到着印が不鮮明で日付が読めない事、他の方も同じ理由で入札されないのかもしれません。

自分のコレクションより旧中国・価格表記郵便について、1938年上海より日本・大阪宛だが、カバー左側に押されている価格表記の印が完全に日本語、本来中国語では保價信函でカバー上部の印刷、長い間違和感が有ったが最近その回答を発見した、1982JPS郵趣に鈴木孝雄氏が書かれている記事の中に、上海事変の時期4ヶ月だけ日本側が運営した中国局の話が有り、押されている消印も文中の上海第5局そのものだった、所有している関西郵趣機関誌にも同様の記事が有り、先人の貴重な情報を再確認したとの事です。

7人目)JAPEX 2021に出品予定の作品、「A History of Modern France 」フランス植民地帝国の盛衰の紹介、これまで伝統郵趣作品を中心に出品してきた紹介者が、初めてテーマチィク作品として出品との事、マテリアル選定、構成のポイント、伝統郵趣とは違ったアピールポイントなどを解説して頂けました、タイトルリーフのみ紹介させて頂きます。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第73回Zoom例会レポート

2021102日 2000PM – 21:50PM開催『外国切手研究会 第73Zoom例会』レポートです。参加者10人中4人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)西ドイツ・気送菅郵便カバーについて、空気圧(エアシューター)を利用して郵便物を運ぶシステムで、一時期ヨーロッパでも数カ国が利用していた、紹介の品は西ベルリンで使われたカバーで消印は1955921日、下部の消印Postsacheは通信事務、PschAは郵便局の略語、気送菅郵便専用の官製葉書も発行されていたようで、詳細が解説された日本語サイトが有りました、ありがとうございます。http://www1.plala.or.jp/stein/GSK_honbun/ReichI/B14.html

2人目)カナダ・スモールクイーンイッシューの低額面2種を紹介、このシリーズは1870年から89年迄約20年発行された、尚初期のカナダは幾つかの州に分かれており、1851年発行の1番切手はビーバー図案で有名、1882年発行の1/2セントは紙が白っぽいモントリオール印刷、紙が灰色っぽいオワタ印刷が有るが、確実な分類は銘版付ブロックで、過去の著名なコレクションもそうなっているとの事、混貼のアメリカ宛書留カバーに貼られた6セントはこの1/2セントより大きいが、こちらもスモールクイーンイッシューになる。

1870-73年発行の1セントはモントリオール印刷のみ、シェードバラェテイが多く、イエロー系からオレンジ系迄いくつか分類出来る、このスモールクイーンイッシューと前のラージクイーンイッシューは製造面バラェテイが豊富で収集が楽しめるカナダクラッシック切手との事。

3人目)海外オークションに出品されている旧中国カバーについて、30年雲南省・昆明発、ソ連・レニングラード宛、援蒋ルートで運ばれたと思えるが詳細が分からない、第70回でも紹介の方に解説して頂きました。

年号は民国30年で西暦1941年、封筒右側はフランスの検閲印とラベルが使われている、仏印を通過しており、おそらくハノイではないか、中立国宛やヨーロッパ宛と違いソ連宛は殆ど見た事が無い、裏面のロシアの中継印を読み解けば、逓送ルートがトルコから北上したのかヨーロッパ経由か分かるかもしれないとの事でした。

雲南省繋がりで旧中国コレクションより、1926815日発行の雲南加刷切手の紹介、この当時中央と地方の貨幣価値が全然違っており、日本の朝鮮加刷や支那加刷と同様、安価な地方貨幣で切手を購入して中央の貨幣で換金し、その差額で利鞘を得る行為をさせない為、使用地域限定の加刷を行ったもの。

1949512日発行の雲南加刷切手の紹介、国共内戦の末期に通常の銀とは違う半値銀を流通させようとした時に発行されたが、時期的に殆ど使われなかった、高額の使用済は難しい。

4人目)戦前の朝鮮半島で一時期使われた垂直型局名櫛型印について、鳴美発行の百科事典では2局が確認されているとの記載だが、韓国の収集家のblogで江原・外金剛局、紹介者の入手品で全北・金馬局を紹介、他にも参加者より京城本町3丁目局や他局も所有しているとの事、非常に面白い印影でこの消印の情報も募集しています。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

外国切手研究会 第72回Zoom例会レポート

2021918日 2000PM – 22:25PM開催『外国切手研究会 第72Zoom例会』レポートです。参加者11人中7人の発表で質疑応答が有りました。

1人目)タイのカバーを紹介、190183日バンコク発、アメリカ・ニューヨーク・ブルックリン宛、裏面の到着印は927日でR.P.O.RailroadPostOfficeの略で鉄道郵便印、到着迄約2ヶ月程だが当時の逓送ルートが分かれば興味深い、タイの19世紀のカバーは殆ど無く、この20世紀始めでも少ない、1930年代頃から少しずつ見かけるとの事。

2人目)アメリカ・1894年シリーズ、2セント切手貼カバーについて、スコットランド・グラスゴー宛、本来5セントの為に不足料扱になるが現地で配達出来ず、アメリカに戻って倍額の6セントが徴収されている、情報が豊富なカバーだが不明な点を質疑応答。

切手に押されているのはニューヨーク市内局の二連式金属手押印、不足料金3セント=15CENTIMES3ペンス、表面のピンクで記入された地名はMemphis N.Y. 、裏面に押されているニューヨークの消印の内BCHと入っている物はBranchの意味で支局など。

2人目)ハワイ王国のスタンプレスカバーについて、第65回レポートやフィラテリストマガジン32号で発表しきれなかったカバーの紹介。

1通目、1850年アメリカ・マサセッチュー州宛、右上に大きく”SHIP42”料金の書込み、当時はハワイ切手発行前で郵便局も無い時代のカバー、サンフランシスコ中継印は1850812日、因みにハワイ最初の切手は1851101日発行で配備された郵便局はホノルルと、マウイ島のラハイナ、当時ハワイ発のアメリカ行の船はこの二つの港から発着していた為と思われる。

2通目、ホノルル局185496日、アメリカ・ウインダム宛、サンフランシスコ局1854930日中継印、この年代は切手が発行されており、その場合は13セント切手が貼られる、料金支払済を表す”PAID 8 SHIP”の印が押されており、内訳は船長に支払い分が2セント、アメリカ国内の郵便料金6セント。

3通目、ホノルル局1854103日、アメリカ・コネチカット州宛、サンフランシスコ局1854111日中継印、パナマを経由して西海岸から東海岸へ運ばれている、2通目と同じく料金支払済を表す”PAID 8 SHIP”の印が押されており、この場合はハワイの郵便料金5セントはフリーだったとの事です。

3人目)PHILANIPPON 2021出品作品について、詳細は御本人がフィラテリストマガジン32号で紹介されていますが、例会では審査員から頂いたアドバイスを中心に解説して頂きました、郵趣の楽しみのひとつで有る切手展出品は、その改善を行う事により点数や賞の向上の可能性が有る為、出品を検討している方にはジャンルが違っていても参考になるお話でした。

4人目)ハンガリー・1955年発行、世界初アルミ箔切手の紹介、イタリア宛書留FDCで到着印も有、趣旨としては国際軽金属工業会議記念で単なるゲデモノ切手でない所も魅力、無目打も有るそうです、1955年は日本なら切手趣味週間「ビードロを吹く娘」の年代、第62回レポートで紹介したソビエト連邦のアルミ箔切手は1965年でこの10年後でした。

5人目)西ドイツ・ロト葉書について、紹介の実逓便はホイス1次図案改訂(1957年発行)、詳細はドイツ切手や葉書について詳しく解説した日本語サイトが有りました、ありがとうございます。http://www1.plala.or.jp/stein/GSK_honbun/BRD/FL.html

ラジオ放送のロトという懸賞付きクイズ番組に応募する為に発行された葉書で、宛先が印刷されているのもその為、かって日本でもラジオ・テレビ問わず葉書で応募する懸賞が多数有りましたが、現在はネットの普及で少なくなりました。

6人目)スタンプショウ=ヒロシマ2021で展示した、英連邦占領軍B.C.O.F.加刷切手作品について、過去のB.C.O.F.加刷切手作品は、大半が郵便史か郵便史的作品と思われ、日本の中では特殊な使われ方をした切手という事も有り、それらを突き詰めるのも面白いと思われる。

今回はワンフレーム作品という事も有り、製造面を中心とした伝統郵趣に構成されており、プロローグ、から始まり、プルーフやカラートライアル、バラエティという展開での作品で新鮮でした、製造面に関しては調査中の内容も有り、今後の発展や発表に期待が持てます。

7人目)オーストリアを中心に収集している紹介者より、オーストリア宛に使用された連合ハガキを2通紹介、ドイツと同様の動きをしていた同国が日本と大きく関わるのは第一次世界大戦の頃。

1通目、1899年長崎よりWien宛てた使用例、移民の国アメリカでは先祖などを調べる有料無料のサービスが有り、受取人と差出人はオーストリアに住んでいたユダヤ人という事、両人共ホロコーストの犠牲となったという事迄判明している、歴史を語る一品です。

2通目、1900年横浜より当時軍港が有ったPola(現クロアチア・Pula)に宛てた使用例、この年は義和団の乱で同国は戦艦4隻を中国に派遣しており、修繕の為日本にも何回か寄港している、受人の上書きからもその時にオーストリアの軍人が差出したものと思われる。

今回は以上です。詳細は下記画像をクリックして頂ければ大きな画像で見て頂く事ができます例会内容に興味が有る方や御質問、感想等頂ける方、興味の有るマテリアルを御持ちの方、些細な事でも結構ですのでコメントをお待ちしております。

南方占領地切手コレクターズクラブ 第16回ZOOMレポート

南方占領地切手コレクターズクラブ 第16回ZOOM例会レポート

2021年9月22日 8:00PM~10:00PM 開催の『南方占領地切手コレクターズクラブ』のレポートです。

 

以下、話題に上がったマテリアルについて順番に書き記していきます。

1)  ジャワ ニューギニア宛て封緘ハガキ

ニューギニアは日本占領下で開局した郵便局は非常に少なく、消印が確認されている局はMANOKWARIしかありません。海外の文献によると、戦前は開局していたものの戦争の影響で戦時中は閉局していた局が多いようです。本品はニューギニアのHollandiaに宛てたジャワからの封緘ハガキで、兄弟カバーが数通存在するとのことです。左下の紫色の検閲はジャカルタで行われたものですが、その隣のハンコがニューギニアで検閲した際のものではないかと言われています。

 

2) スマトラ アチェ

スマトラのアチェ州では☆の中にアチェ州を意味するアをあしらった図の加刷がされています。加刷の色は赤色と紫色があるとされていますが、それ以外にも茶色の加刷があるとされています。本品の下2枚の切手が茶色加刷とされているもので、従来の赤加刷とは色が異なります。

3)  蘭印 加刷切手

南方切手は加刷切手が多く、その加刷の容易さゆえ種類によっては当時から偽物があります。本品は蘭印の数字5c切手のロットですが、このうちいくつかが偽物の加刷であると思われます。どれが偽物かわかるでしょうか?答えは下部に白字で記載してあるので反転してご覧ください。

上段左から2つ目ランポン二行加刷、左から4つ目小スンダ錨加刷、最下段左のバンカビリトン加刷が偽物とおもわれます。 バンカビリトンに至っては非常に精巧であり、子の加刷切手で高価なものは特に注意が必要です。

 

4) スマトラ 統一手押加刷

スマトラでは正刷切手が発行される少し前にスマトラ全土で使えるよう〒マークを主体とした加刷切手を発行しました。これは機械加刷と手押加刷に分けられ、手押し加刷はさらに左書きと右書きに分けられます。

本リーフは踊り子7.5cを台切手とした右書き加刷をまとめたもので、二重加刷や三重加刷の他、非常に珍しいタパヌリ州日章旗加刷との二重加刷が含まれています。

話題は主に以上でした。

次回は10月27日の午後8時からです。

以下は上記マテリアルの画像です。